相続人全員が相続放棄をした場合

今回は、相続人全員が相続放棄をした場合についてお話をします。

近年、空き家問題が増えてきています。空き家問題とは、相続人が分からず、家が放置され崩壊寸前になってしまったり、その土地か欲しくて購入しようにも現在の所有者がわからいため購入が出来ず、土地の有効活用ができなくなっているというものです。
令和6年4月から始まった相続登記の義務化もこのような背景があります。

ただ、このような空き家が増えてしまっている原因にはこのような不動産を相続しても財産的価値がなく、逆に税金や維持費がかかるため、いらないということが多いようです。
そうすると、相続登記の義務化が始まれば相続放棄が多くなることが予想されます。

ちなみに、相続放棄をすると最初から相続人ではなかったことになるため、相続登記の義務も生じることはありませんが、相続放棄を簡単に考えてはいけません。
例えば、自分が死んだ後に残した山中にあるボロボロの家と土地を奥さんと子供たちが相続放棄をしたとします。
そうすると、第1順位の相続人がいなくなったので第2順位の自分の親に行きますが、自分の親は先に死んでしまってもういない場合は第3順位の兄弟に行きます。

ただ、その兄弟も相続放棄をしてしまったとします。
とすると、次の相続人は誰でしょう?そうです、相続人がいなくなってしまうんです。
ただ、山中の土地とボロ家は残っています。このボロ家はどうしましょう?
奥さんさん、子供、兄弟は、自分たちは相続放棄しちゃったから何も知らないよー、ですよね?

いいえ違います。
相続人がいなくなった場合は、利害関係人が相続財産管理人の選任を申し立てることになります。
この相続財産管理人が選任されて、ボロ家の管理が相続財産管理人に引き継がれるまでは、相続人となるはずだった人たちが管理をしなければなりません。
法律では自己の財産と同じように扱うよう定められていますので、簡単に言ってしまうと、自分の財産を大切にするように、この財産も相続財産管理人に引き継がれるまでは、大切に世話をしてあげてねっていうことです。

相続登記の義務化され、安易に相続放棄を考える人が多くなるかと思いますが、相続放棄をしたからとって、その家については関係ないよ、っていうことにはなりません。
相続財産管理人に引き継がれるまでは、自分が相続した時と同じような責任が生じます。
ネットで調べた結果や周りから相続放棄しちゃいなよ、って安易に勧められたりするかもしれませんが、相続放棄は慎重に検討するようにしてください。

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