一括請求されたらどうする?無視のリスクと今すぐ取るべき対応を司法書士が解説

借金の返済が遅れてしまい、ある日突然「残額を一括で支払ってください」という通知が届くことがあります。

このような一括請求を受けると、「もう終わりなのではないか」、「すぐに全額払えないと差押えされるのか」と強い不安を感じる方も少なくありません。

結論からいうと、一括請求された場合に大切なのは、放置せず、請求内容を確認し、できるだけ早く今後の対応を決めることです。借金問題には、任意整理、個人再生、自己破産などの方法があり、状況に応じて解決を目指せる場合があります。法テラスも、返済が難しい場合は早めに債務整理を検討すること、債務整理には主に任意整理・破産手続・個人再生手続・特定調停があることを案内しています。

※この記事では、主に消費者金融、カードローン、クレジットカードのキャッシングや分割払いなど、一般的な借金の一括請求を想定して解説します。

一括請求されたら、まず知っておきたいこと

一括請求とは、これまで毎月分割で支払っていた借金について、残っている金額をまとめて支払うよう求められることです。一般的に、返済の遅れなどによって「期限の利益」を失うと(例:50万円を貸りる際に、一括では返済できないから利息を付けて毎月2万円で分割払いしたいという契約を交わした場合、お金を貸した側は契約通りに利息(利益)を付けて毎月返済を最後まで続けてもらえば得られる予定の利益が、途中で返済をされないことでその利益を失うこと)、残額全体の請求につながります。民法は、期限は原則として債務者の利益のためにあるとしつつ、一定の場合には期限の利益を主張できなくなると定めています。※借入の契約時に交わす契約書には「期限の利益を喪失した場合は一括請求をする」ということが記載されています。

つまり、一括請求の通知が来た時点で、債権者側は「もう分割払いの前提では対応しない」という立場になっている可能性があります。だからこそ、通知を見て見ぬふりをしたり、怖くてそのまま放置したりするのは大変危険です。

まず確認したい3つのポイント

一括請求の通知が届いたら、まず次の3点を確認しましょう。

1つ目は、どこから届いた通知なのかです。元の貸金業者なのか、保証会社なのか、債権回収会社なのか、あるいは裁判所からの書類なのかで、対応の緊急性が変わります。ご相談をいただく際には、督促状、債権回収会社からの通知書、裁判所から届いた書類などがあると状況の把握がスムーズにできます。

2つ目は、請求額の内訳です。元金だけでなく、利息、遅延損害金、手数料などが加わっていることがあります。請求額を見て慌てる前に、何に対する請求なのかを落ち着いて確認することが大切です。これは今後、分割交渉や債務整理を検討するうえでも重要です。

3つ目は、裁判所の書類かどうかです。特に裁判所からの書類には「〇〇日までに答弁書を裁判所へ提出して」など期限が設定されていることが多いため、通常の督促状とは重みが違います。ここを見落とすと、後で差押えにつながるおそれがあります。

一括請求が来る主な理由

返済の遅れで期限の利益を失った

最も多いのは、返済の遅れです。契約書には、一定期間の延滞があった場合に期限の利益を失う条項が定められていることが多く、その結果、分割払いではなく残額の一括請求に切り替わります。民法上も、期限の利益という考え方自体が前提になっています。

数日程度の遅れで直ちに一括請求になるとは限りませんが、延滞が重なると状況は一気に悪化しやすくなります。電話や郵送での督促を軽く考えているうちに、一括請求へ進んでしまうこともあります。

保証会社の代位弁済後に請求されることもある

住宅ローンや各種ローンでは、保証会社が関わっていることがあります。この場合、返済が滞ると保証会社が代わりに支払い、その後は保証会社から一括請求を受けることがあります。通知の差出人が変わっているため、「これって振込詐欺?架空請求?」など何の請求か分からず戸惑ったり、無視をしてしまう方もいます。

こうしたケースでも、やるべきことは同じです。請求の根拠を確認し、放置せず、早めに今後の方針を決めることが重要です。※請求の根拠を確認する際は、請求をしてきている相手に直接連絡をする前に、当事務所のような借金問題に強い専門家へお問い合わせをいただくことをお勧めします。

一括請求を無視するとどうなる?

督促が続き、状況が悪化しやすい

一括請求を無視しても、借金がなくなるわけではありません。むしろ、遅延損害金が増えたり、交渉の余地が小さくなったりして、状況が悪くなりやすくなります。返済が難しい場合には、早めに債務整理を検討する必要があります。

また、貸金業者からの請求や督促に追われて、精神的に追い詰められてしまう方も少なくありません。金融庁の多重債務者相談マニュアルでも、借金問題の相談者は日々の取立てや資金繰りのため極度の疲労状態にあることが示されており、司法書士・弁護士が受任して貸金業者に通知すれば取立てが止まることが案内されています。

支払督促や訴訟に進むことがある

請求を放置すると、債権者が裁判所の手続を取ることがあります。たとえば支払督促では、債務者は支払督促正本を受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てることができ、異議を出さなければ債権者は仮執行宣言の申立てをすることができます。さらに、仮執行宣言付支払督促正本が送達されると、それに基づいて強制執行の申立てが可能になります。

そのため、裁判所から封筒が届いたのに放置するのは特に危険です。

関連記事:裁判所から支払督促が届いたらどうする?無視のリスクと今すぐ取るべき対応を司法書士が解説

差押えにつながる可能性がある

支払督促や訴訟を経て債務名義(債権者が債務者の財産に差し押さえを行うために必要な、債権の存在と範囲を公的に証明した文書のこと)ができると、預金や給与などに対する強制執行が行われる可能性があります。裁判所も、仮執行宣言付支払督促に基づいて強制執行の申立てができると案内しています。

一括請求の時点ですぐ差押えになるとは限りません。ですが、何もしないまま時間が経つほど、差押えに近づく可能性は高まります。だからこそ、早い段階で動くことに意味があります。

関連記事:給与差し押さえはいつ止まる?破産・個人再生で止まるタイミングを司法書士が解説|

一括請求されたときの正しい対処法

通知や書類を捨てずに保管する

まずは、届いた通知書、封筒、請求書、契約書、利用明細などを捨てずに保管して、当事務所のような借金問題の経験豊富な専門家へ相談しましょう。相談時には、債権者一覧表、督促状、債権回収会社からの通知書、裁判所からの書類、給与明細、預貯金通帳などが役立ちます。なお、資料が手元になくても相談は可能ですのでご安心ください。

書類がそろっていれば、請求の根拠や現在の債務額を把握しやすくなり、相談もスムーズです。なお、裁判所からの通知は捨ててしまうと、対応期限や債権者名が分からなくなることがありますので、裁判所名が記載された封筒が届いた場合は必ず確認するようにしましょう。

家計と借金の全体像を整理する

次に、現在の収入、毎月の生活費、借入先の数、借入残高、おおよその返済額を整理しましょう。債務整理では、借金の総額と収入・資産との関係を見ながら、どの手続が合うかを判断することになります。

ここで大切なのは、「今月だけ何とかなるか」ではなく、今後も継続して返済できるかという視点です。一時しのぎで新たな借入れや返済をしてしまうと、かえって問題が深くなることがあります。

支払いが難しいなら、債務整理を検討する

自力での返済が難しい場合には、債務整理を検討することになります。
債務整理の主な方法としては、任意整理、自己破産、個人再生があります。

任意整理は、裁判所を使わずに債権者と話し合い、支払額や支払方法について双方の合意を目指す手続です。自己破産とは異なり支払いを続けることが前提なので、返済原資の確保と家計管理が重要になります。

関連記事:任意整理とは?メリット・デメリットを司法書士がわかりやすく解説【借金問題の解決方法】

個人再生は、返済総額を少なく(借金総額の5分の1、または100万円のいずれか大きい金額)したうえで、原則3年間の分割返済を行う再生計画を裁判所に認めてもらう手続です。住宅ローン特則を使えるケースでは、住宅ローンはこれまで通り返済を続け、それ以外の全ての借金を5分の1に圧縮したうえで返済をすることで、自宅を残せる可能性があります。

関連記事:個人再生とは?住宅ローン特約で家を残す方法を司法書士が解説

自己破産は、支払い不能の場合に、もし財産が有れば一定の財産を債権者に平等に分配し借金の返済に充当したうえで、残った債務(借金)について免責を受ける裁判所の手続です。財産処分などのデメリットはありますが、返済継続が難しい場合の有力な選択肢になります。

関連記事:自己破産とは?手続きの流れを司法書士がわかりやすく解説

司法書士に相談するメリット

状況に合った解決方法を選びやすい

一括請求を受けたときは、焦ってしまい、何から手を付ければよいか分からなくなりがちです。司法書士に相談すると、請求内容、借金総額、収入、資産、家族状況などを踏まえて、任意整理がよいのか、個人再生や自己破産を検討すべきかを整理しやすくなります。債務整理の方法は複数あり、どの方法が適切かは個別事情によって異なります。

貸金業者からの直接の連絡が止まることが多い

弁護士や司法書士が債務整理を受任し、貸金業者に通知をすると、通常、貸金業者からの直接の連絡は止まります。督促の電話や郵送が続いてつらい状況では、これだけでも大きな安心につながります。

裁判所書類や交渉の見通しを立てやすい

認定司法書士は、140万円以下の民事事件で依頼者の代理人として和解交渉や裁判、調停などを行い、すべての司法書士は金額に関係なく裁判書類の作成を通じて本人訴訟を支援できる(個人再生や自己破産手続きの支援ができる)と日本司法書士会連合会は案内しています。案件の内容や金額によって対応範囲は異なるため個別確認は必要ですが、裁判所からの書類が届いた場合や、交渉の見通しを立てたい場合にも、司法書士へ相談する意味は大きいといえます。

また、法テラスでは経済的に困っている方を対象に、実際に依頼をする司法書士や弁護士の手続き費用の立替(生活保護受給中の方は返還免除)制度を用意してます。もちろん、当事務所も法テラスへ登録しておりこの制度を利用できますので、依頼をしたいけど事務所費用の支払いに不安がある方は当事務所を通して法テラスへ援助申請の申し込みを行っております。ぜひお気軽にご相談ください。

関連記事:借金相談はどこにするべき?司法書士・弁護士・法テラスの違いを解説

まとめ

一括請求されたときに最も大切なのは、放置・無視をしないことです。

一括請求は、返済の遅れなどにより分割払いの前提が崩れ、残額全体の支払いを求められている状態です。放置や無視をすると、督促が続くだけでなく、支払督促や訴訟、最終的には差押えへ進む可能性があります。

ただし、一括請求されたからといって、必ずしも手遅れではありません。借金問題の経験が豊富な専門家へ相談をして、請求内容を確認や借金全体と家計を整理し、任意整理・個人再生・自己破産などの方法を含めて早めに検討すれば、生活の立て直しにつなげることができます。

「一括請求の通知が来た」
「全額は払えないが、どう対応すればいいか分からない」
「裁判所から書類が届いて不安」

このようなお悩みがある方は、できるだけ早くご相談ください。

一括請求は、早く動くほど解決方法を選ぶことが可能です。
当事務所では、請求内容の確認から、今後の見通し、債務整理の選択肢まで、状況に応じて丁寧にご案内しています。

🖋この記事の監修者
司法書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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