任意整理と個人再生の違いとは?どちらを選ぶべきかを司法書士がわかりやすく解説

借金の返済が苦しくなってきたとき、
「任意整理と個人再生は何が違うの?」
「自分にはどちらが合っているの?」
と悩む方は少なくありません。

結論からいうと、毎月の返済を続けられる見込みがあり、できるだけ柔軟に整理したい方は任意整理、任意整理では返済が厳しいものの、安定した収入があり、借金を大きく減らしたい方は個人再生が検討候補です。
任意整理は裁判所を使わない話し合い(任意に借入先毎に分割和の相談を行い和解をする)の手続きで、個人再生は裁判所を使って借金を大幅に減額する手続です。
なお、個人再生の場合は継続的な収入の見込みがあり、原則として無担保債務総額(借り入れにあたり不動産や有価証券などの担保や保証人を必要としない借入金の合計残高)が5,000万円以下であることなどが前提になります。

この記事では、任意整理と個人再生の違いを、専門知識のない方にも分かりやすく整理して解説します。
「どちらを選ぶべきか分からない」という方は、ぜひ最後までご覧ください。


任意整理と個人再生の違い【まず結論】

任意整理と個人再生の一番大きな違いは、裁判所を使うかどうかです。

任意整理は、裁判所を使わずに、債権者と個別に話し合って、支払額や支払方法について合意を目指す手続です。
これに対して個人再生は、裁判所に申立てをして、減額後の借金を原則3年で返済する再生計画を立て、裁判所の認可を受けて返済をする手続です。

つまり、
「話し合いで整理するのが任意整理」
「裁判所の手続で大きく減額を目指すのが個人再生」
と押さえるとわかりやすいです。

任意整理と個人再生の違いを6つに分けて解説

1. 手続の進め方の違い

任意整理は、債権者(お金を借りている相手)に債務額(借金の額)や取引履歴の開示を求め、その後、支払額や支払方法を交渉していく流れです。和解(合意)ができれば、その内容に沿って返済を続けます。一般的には、将来利息のカットや、3~5年程度の分割払いを目指して交渉することが多いです。
※取引履歴の開示により過去に払い過ぎている利息(過払い金)があることが判明した場合は、現在残っている借金からその払い過ぎていた金額が差し引かれ、そのうえで残った借金に対し分割払いの和解交渉を行います。

一方、個人再生は裁判所への申立てが必要です。継続的な収入(正社員・派遣社員・アルバイトなど雇用形態は問いません)の見込みがあり、無担保債務総額が5,000万円以下であることなどの条件を満たしたうえで、再生計画案を作成し、認可を受けて返済していきます。任意整理よりも必要書類が多く、手続きが複雑になりやすい傾向がありますので、個人再生を希望される場合は早目のご相談をおすすめします。

2. 借金の減り方の違い

任意整理は、あくまで債権者との話し合い(任意整理を希望する側が、契約の際に交わした約束以外の方法で分割払いのお願いをする)です。
そのため、大幅な元本カットが必ずできる手続ではありません。実務上は、将来利息や遅延損害金の調整、分割回数の見直しが中心になることが多いです。
※借金を減額できるのは、過去に払い過ぎた利息(過払い金)がある場合です。

これに対し個人再生は、裁判所の手続によって債務の額が大幅に縮減(5分の1の額または100万円のどちらか大きい方)されるのが大きな特徴です。毎月の収入から必要な生活費を確保したうえで、任意整理では返済計画が立たない場合でも、個人再生なら返済が出来ることがあります。

3. 対象にする借入先の違い

任意整理は、債権者の全部または一部を相手に交渉する手続です。つまり、状況によっては、特定の借入先だけを整理対象にすることを検討しやすいのが特徴です。
例:A社とB社は任意整理をし、車のローンはこれまで通り支払いを続ける(車は使い続ける)ということもできます。

これに対し個人再生は、裁判所を通じた手続のため、原則として債務全体(本人名義の借金全てを対象)を前提に進めることになります。
「一部だけ整理したい(これまで通り利用をしたい借入先がある)」という希望が強い場合は、任意整理を選択する必要があります。

4. 家を残せるかの違い

住宅ローンがある方にとって大きなポイントが、自宅を残せるかどうかです。

個人再生には、住宅ローン特則があります。この特則を使えるのは、住宅ローンで購入等した自宅に現実に居住していること(投資目的や別荘など本人の居住の実態が必要)、そして住宅ローン債権者以外の債権者のための抵当権が設定されていないこと、さらに住宅ローンは当初の契約通りに延滞せず返済を継続するなどが条件です。条件を満たせば、住宅を失わずに債務整理できる可能性があります。

任意整理でも住宅ローンの返済継続を目指すことはありますが、相手方との合意が必要で、延滞が長いと難しくなる場合があります。「家を残したい」という希望が強い方は、個人再生を早めに検討したほうがよいケースが多いです。

関連記事:「個人再生で車は残せる?ローン中の自動車がどうなるかを司法書士が解説」👇

5. 財産・官報・信用情報の違い

任意整理も個人再生も、信用情報機関への登録により、数年間(平均として5年~10年程度※目安のため明確な期日の設定は有りません)は借入れやクレジットカード作成が難しくなる点は共通しています。

◎借り入れやクレジットカード作成の審査の段階で信用情報機関を確認され借金の残額がゼロの表示であっても、任意整理や個人再生、自己破産など債務整理で借金問題を解決していること自体が情報として5年から10年程度の期間は登録をされます。なお、信用情報機関に登録をされている情報は債権者側が情報共有を目的としているため、債務整理後数年間経過しても裁判所や当事務所等が消すことはできるものではなく、あくまで信用情報を登録をした債権者自身が「債務整理から〇年経過しているし、生活の立て直しがされているだろうから信用情報機関の登録情報は消しても問題無い」と判断して消すことになりますので、〇年〇月〇日から●年●月●日まで経過したら必ず消えるという決まりはありません。

ただし、違いもあります。
任意整理は、自己破産のように財産を失うことはなく、官報に氏名や住所等が掲載されることもありません。
これに対し個人再生は、自己破産のように財産を失うわけではないものの、官報公告があります。

「できるだけ周囲に知られにくい方法を選びたい」、「裁判所を通すことに抵抗がある」という方には、任意整理のほうが心理的なハードルが低いことがあります。

6. 費用や手間の違い

任意整理は裁判所を使わないため、個人再生よりも書類や手続の負担が比較的軽く、スタートしやすい傾向があります。
一方、個人再生は裁判所への申立て、家計資料や財産資料の整理、再生計画案の作成などが必要になり、一般に任意整理よりも手間と費用がかかりやすいです。これは、両者の制度設計の違いから当然のことといえます。

そのため、返済可能性がある程度あるなら任意整理、任意整理では追いつかないなら個人再生という判断になることが多いです。

関連記事:「債務整理の費用が払えないときはどうする?分割払い・法テラス・相談の流れを司法書士が解説」👇

任意整理が向いている人

任意整理が向いているのは、次のような方です。

毎月の返済原資はある方

任意整理は、合意後も返済を続ける手続です。
そのため、家計を見直せば返済を継続できる方に向いています。逆に、元本返済すら難しい場合は、任意整理では解決しきれないことがあります。

できるだけ柔軟に整理したい方

任意整理は、債権者ごとに交渉する手続です。
そのため、「住宅ローンは払いたい」「この借入先は外したい」といった事情がある方に向いている場合があります。

裁判所を使わずに進めたい方

官報公告を避けたい、手続をできるだけシンプルにしたいという方にも、任意整理は相性が良いことがあります。

個人再生が向いている人

個人再生が向いているのは、次のような方です。

任意整理では返済が追いつかない方

任意整理は大幅な元本減額が前提ではありません。
そのため、借金総額が大きく、将来利息を止めても返済が苦しい場合には、個人再生のほうが現実的なことがあります。個人再生は裁判所の手続により、債務の大幅な縮減(借金を5分の1まで圧縮)が期待できます。

安定した収入がある方

個人再生は、減額後の借金を原則3年間の均等分割で返済していく制度です。
そのため、継続的な収入の見込みが必要です。給与所得者のほか、個人事業主でも利用できる場合がありますが、収入状況の確認が重要です。

住宅を残したい方

住宅ローンがあり、しかも自宅を守りたい方は、個人再生の住宅ローン特則が使えるかどうかをまず確認すべきです。
家を守りながら他の借金を整理したい方にとって、個人再生は非常に重要な選択肢です。

迷ったときはどちらを選ぶべき?

迷ったときは、次の順番で考えると整理しやすいです。

まず、任意整理で現実的に返済できるかを見ます。
将来利息が止まり、3~5年程度で無理なく返済できるなら、任意整理で解決できる可能性があります。

次に、任意整理では厳しい場合、個人再生でどの程度まで圧縮すれば返済継続が可能かを検討します。
継続収入があり、家を残したい事情がある方では、個人再生が有力になることが少なくありません。

つまり、
「返せるなら任意整理」
「返せないが安定収入があるなら個人再生」
という考え方が基本になります。

関連記事:「受任通知とは?司法書士に依頼するといつ督促が止まる?相談後の流れを解説」

司法書士に相談するメリット

借金問題では、手続を知ること以上に、自分に合う方法を早く見極めることが大切です。

司法書士が債務整理を受任し、貸金業者に通知を出した場合、通常は貸金業者からの連絡が止まります。精神的な負担を早く軽くできる点は大きなメリットです。

また、債務整理の相談は資料が手元になくても可能です。
「まだ何も準備できていない」
「相談するには書類をそろえないといけないと思っていた」
という方でも、まずは相談から始められます。

さらに、費用面が不安な方は、収入や資産などの条件を満たせば、法テラスの無料法律相談や費用立替制度を利用できる可能性があります。

どの手続が合うかは、借入額、家計、住宅ローンの有無、家族状況で大きく変わります。
一人で判断せず、早めに司法書士へ相談することが、遠回りを避ける近道です。

関連記事:「自己破産すると家族に迷惑はかかる?配偶者・子ども・同居家族への影響を司法書士が解説」


まとめ

任意整理と個人再生の違いを簡単にまとめると、次のとおりです。

任意整理は、裁判所を使わずに債権者と話し合う手続です。
比較的柔軟に進めやすく、官報公告もありません。
その反面、債権者の合意と返済原資が必要です。

個人再生は、裁判所を利用して借金を大幅に減額し、原則3年間の均等払いで返済していく手続です。
継続収入が必要ですが、住宅ローン特則を使える場合は自宅を残せる可能性があります。

どちらがよいかは、借金の総額だけでなく、毎月の家計、住宅ローンの有無、今後の生活設計によって変わります。
「自分はどちらが合うのか分からない」という段階でも、相談する価値は十分あります。


借金の返済が苦しいのに、
「任意整理でいいのか」
「個人再生のほうがいいのか」
を一人で判断するのは簡単ではありません。

当事務所では、現在の借入状況や家計の状況を丁寧に整理し、無理のない解決方法を一緒に検討しています。
督促が続いていて不安な方、住宅ローンがあり自宅を残したい方、費用面が心配な方も、まずはお気軽にご相談ください。

早めの相談が、選べる方法を広げることにつながります。

🖋この記事の監修者
司法書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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