差押えされやすい財産とは?給料・預金・家財の違いを司法書士が解説

借金を長く放置してしまうと、
「何を差し押さえられるのだろう」
「給料が先なのか、銀行口座なのか、それとも家の中の物なのか」
と不安になる方は少なくありません。

結論からいうと、差押えされやすい財産としてよく問題になるのは、給料、預金、家財などです。
ただし、どれが狙われやすいかは、債権者がその財産を特定できるかどうかで大きく変わります。大阪地方裁判所は、預金差押えでは「どの銀行のどの支店か」、給与差押えでは「どこの会社に勤めているか」を特定して申立てる必要があると案内しています。

また、給料の差押えには上限があり、裁判所は原則として給料の4分の1、月給で44万円を超える場合は33万円を除いた金額を差し押さえることができると説明しています。家財についても、何でも差し押さえられるわけではなく、法テラスは生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具などを差押禁止動産として案内しています。

この記事では、差押えされやすい財産の種類、給料・預金・家財の違い、どんな場合に狙われやすいのか、そして差押えを止めるために今できる対応を、司法書士がわかりやすく解説します。


結論|差押えされやすい財産は「特定しやすく、回収しやすい財産」です

差押えされやすい財産は、
単純に「高価なもの」ではありません。

実際には、
債権者が見つけやすく、裁判所に申立てしやすく、回収しやすい財産が問題になりやすいです。
裁判所は、債権執行として給与や預金の差押え手続を案内しており、申立てには対象財産の特定が必要だとしています。大阪地方裁判所も、預金差押えでは銀行と支店、給与差押えでは勤務先の特定が必要だと明記しています。

そのため、一般的には

・勤務先がわかるなら給料
・銀行や支店がわかるなら預金
・ほかの財産がつかみにくいときは家財

という形で問題になりやすいです。
一方で、家財については差押禁止動産があり、生活に必要なものまで自由に持っていけるわけではありません。

まずは、
差押えされやすい財産は「回収のしやすさ」で考える
という視点が大切です。

関連記事:「借金を放置するとどうなる?督促・裁判・差押えまでの流れを司法書士が解説」


この記事でわかること

この記事を読むと、次のことがわかります。

どの財産が差押えされやすいのか

給料、預金、家財のうち、
どれが実務上問題になりやすいのかがわかります。
裁判所の案内から、給与や預金は独立した債権執行の対象であり、家財は動産執行の対象になることがわかります。

給料・預金・家財の違い

差押えのされ方、
会社や家族に知られるリスク、
生活への影響の違いが整理できます。給料差押えは勤務先への送達が前提となり、預金差押えは銀行や支店の特定が必要です。家財差押えでは差押禁止動産の範囲が問題になります。

差押えされない財産はあるのか

あります。
法テラスは、生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具などを差押禁止動産として案内しています。

差押えを止めるにはどうすればよいか

差押えの段階や、任意整理・個人再生・自己破産の違いをふまえて、今から取れる対応がわかります。
金融庁の多重債務者相談マニュアルは、弁護士・司法書士が受任して貸金業者に通知すれば通常は督促行為が止まると案内しています。


差押えされやすい財産の基本

差押えには「財産の特定」が必要です

差押えは、
何でもあいまいに申し立てられるわけではありません。

大阪地方裁判所は、
預金差押えでは「どの銀行のどの支店に口座があるか」、
給与差押えでは「どこの会社に勤めているか」を特定する必要があると案内しています。
つまり、債権者が情報を持っている財産ほど、差押えの対象になりやすいということです。

差押えのしやすさは「回収しやすさ」と関係します

差押えの対象として考えられやすいのは、
債権者にとって回収しやすい財産です。

給料は継続的に発生しやすく、
預金は口座がわかれば差押えがしやすいです。
一方、家財は換価しにくく、差押禁止の範囲もあるため、必ずしも最優先とは限りません。裁判所委員会の議事概要でも、給料債権や預金債権の差押え件数が多く、動産執行は執行不能で終わる場合も多いとの実務的な言及があります。


差押えされやすい財産1|給料

給与差押えは実務上とてもよく問題になります

給料は、
差押えの対象として非常によく問題になります。

裁判所は、債権執行のページで、
給料差押えについて具体的な計算方法まで案内しています。
これは、給与差押えが実務上よく利用される典型的な手続のひとつであることを示しています。

差し押さえられるのは原則4分の1です

裁判所によると、
給料の差押えは原則として4分の1です。
ただし、月給で44万円を超える場合は、33万円を除いた金額が差押えの対象になります。
また、すでに退職している場合などは差押えできないと説明されています。

会社に知られるリスクがあります

給与差押えの大きな特徴は、
勤務先が手続に関わることです。

裁判所は、差押命令を債務者と第三債務者に送達し、第三債務者への送達で差押えの効力が生じると案内しています。
給料の場合、この第三債務者が勤務先になります。
そのため、給与差押えまで進むと、会社に借金問題が知られる可能性があります。

関連記事:「借金相談したら会社にバレる?勤務先に知られるケースと対策を司法書士が解説」


差押えされやすい財産2|預金

預金差押えは口座が特定されれば強い手段です

預金も、
差押えの対象として非常に重要です。

大阪地方裁判所は、
銀行預金等の差押えの場合、どの銀行のどの支店に口座があるかを特定する必要があると案内しています。
つまり、銀行と支店がわかっていれば、預金差押えはかなり現実的な手段になります。

口座番号までは不要な場合があります

大阪地方裁判所の案内では、
通常の銀行預金差押えでは、口座番号までは不要とされています。
この点は、
「口座番号がわからなければ差押えされない」と考えてしまう方にとって注意点です。
ただし、インターネット専業銀行では支店記載の要否が異なるなど、例外もあります。

預金は生活への影響が大きいです

預金差押えは、
差し押さえられた時点で生活に直接影響しやすいです。
給料差押えのように毎月一部が控除されるのとは違い、口座残高に一気に影響するためです。
そのため、給与差押えと並んで非常に不安の大きい差押えです。これは預金がそのまま金銭回収に結びつきやすい性質からも理解できます。

関連記事:「給料や預金の差し押さえとは?対処法を司法書士が解説」


差押えされやすい財産3|家財

家財差押えは「動産執行」として行われます

家の中の家具や家電などは、
動産執行の対象になり得ます。

裁判所の民事執行規則では、
動産執行の申立書には差し押さえるべき動産が所在する場所を記載し、執行官は差し押さえるべき動産の選択にあたって債務者の利益も考慮しなければならないと定めています。

ただし、何でも差し押さえられるわけではありません

家財について一番大事なのは、
差押禁止動産があることです。

法テラスは、
差押禁止動産として、

・生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳、建具
・営業に欠くことができない器具
・実印などの重要な印鑑
・仏像、位牌
・学習に必要な書類や器具

などを挙げています。

家財差押えは心理的負担が大きいです

家財差押えは、
金額面だけでなく、
自宅に執行官が来ること自体の心理的負担が大きいです。

さらに、家族や同居人に知られるきっかけにもなりやすいです。
一方で、実務上は動産執行が執行不能で終わる場合も多いという裁判所委員会資料の指摘もあり、給料や預金に比べて回収効率が高いとは限りません。

関連記事:「動産執行とは?執行官が家に来る理由と差押えを止める方法を司法書士が解説」


どの財産が一番差押えされやすいのか

勤務先がわかっていれば給料が有力です

債権者が勤務先を把握していれば、
給与差押えは非常に有力です。
継続的な収入があり、裁判所も具体的な差押え割合を案内しているため、実務上も使いやすい手段といえます。

銀行と支店がわかっていれば預金も有力です

銀行名と支店名が特定できれば、
預金差押えも現実的です。
大阪地裁の案内からも、口座番号がなくても申立てできる場合があることがわかります。

家財は最後の手段になりやすいことがあります

家財差押えは、
差押禁止動産の問題があり、
換価しにくいことも多いため、
給料や預金に比べると回収面では不利なことがあります。
そのため、勤務先や口座情報がつかめない場合などに問題になりやすいです。これは裁判所委員会資料の実務的指摘とも整合します。


差押えされない財産はある?

差押禁止動産があります

はい、あります。

法テラスが案内する差押禁止動産には、生活に欠くことができない基本的な家財が含まれます。
そのため、生活に必要なものまで何でも持っていけるわけではありません。

ただし「全部安全」という意味ではありません

差押禁止の範囲があるからといって、
安心しきれるわけではありません。

給料や預金は別の手続で差押えの対象になりますし、
家財でも差押禁止に当たらないものは問題になり得ます。
そのため、差押禁止財産があることだけで放置するのは危険です。


差押えを止めるための対処法

まずは今どの段階かを確認する

差押えが現実化しているのか、
まだ督促段階なのか、
裁判所から支払督促や訴状が届いているのかで、
取れる対応は変わります。
支払督促では、異議申立てをしないと仮執行宣言付支払督促を経て強制執行が可能になります。

関連記事:「裁判所から支払督促が届いたらどうする?無視のリスクと今すぐ取るべき対応を司法書士が解説」

任意整理は早い段階で有効です

任意整理は、
裁判所を通さずに返済条件を見直す方法です。
金融庁の多重債務者相談マニュアルでは、弁護士・司法書士が受任し、貸金業者に通知すると通常は取立てが止まると案内されています。
ただし、すでに始まった強制執行が任意整理だけで当然に止まるわけではありません。

関連記事:「任意整理とは?メリット・デメリットや手続きの流れを司法書士が解説」

個人再生や自己破産が必要な場合もあります

差押えが目前、または始まっているなら、
個人再生や自己破産まで含めて検討する必要があります。

個人再生や自己破産は、
裁判所を通じて借金問題全体を整理する手続です。
差押えの進行状況によっては、こちらの方が現実的なことがあります。これは、差押えそのものが裁判所手続の段階に入っているためです。

関連記事:「個人再生とは?住宅を守りながら借金を減額できる手続きを司法書士が解説」

関連記事:「自己破産とは?借金が免除される制度を司法書士が解説」


司法書士に相談するメリット

どの財産が狙われやすいか整理しやすい

司法書士に相談すると、
勤務先が知られているのか、
銀行口座が把握されていそうか、
自宅訪問型の執行リスクがあるのかを整理しやすくなります。
差押えは財産特定が重要なので、ここを整理する意味は大きいです。

手続の選び方を間違えにくい

任意整理で間に合うのか、
個人再生や自己破産を急ぐべきかは、
差押えの進み方で変わります。
早めに相談するほど、取れる対応は広くなりやすいです。

取立てや不安を早く軽くしやすい

金融庁の多重債務者相談マニュアルでは、
受任通知で通常の取立てが止まると案内されています。
差押えへの不安があるときほど、
一人で抱え込まず早めに相談する意味があります。

関連記事:「借金相談はどこにするべき?司法書士・弁護士・法テラスの違いを解説」


よくある質問

Q1.一番差押えされやすいのは給料ですか?

状況によります。
勤務先がわかっていれば給与差押えは有力ですが、銀行と支店がわかれば預金差押えも強いです。どちらも特定できるかどうかが重要です。

Q2.預金差押えには口座番号が必要ですか?

大阪地方裁判所の案内では、通常の銀行預金差押えでは口座番号までは不要とされています。
ただし、銀行名と支店名などの特定は必要です。

Q3.家の中のものは全部差し押さえられますか?

全部ではありません。
法テラスは、生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具などを差押禁止動産として挙げています。

Q4.給与差押えになると会社にバレますか?

可能性があります。
給与差押えは勤務先が第三債務者になるため、手続に関わるからです。

Q5.差押えが不安なら今からでも相談する意味はありますか?

あります。
督促段階なら任意整理が有効なことがありますし、差押え直前なら個人再生や自己破産まで含めて検討する必要があります。早いほど選択肢は広いです。


まとめ

差押えされやすい財産は、
給料、預金、家財が代表的です。
ただし、どれが狙われやすいかは、債権者がその財産を特定できるかどうかで変わります。預金差押えでは銀行と支店、給与差押えでは勤務先の特定が必要です。

また、給料は原則4分の1まで、
家財には差押禁止動産があり、
生活に必要なものまで無制限に差し押さえられるわけではありません。
法テラスは、生活必需品や1か月分の食料・燃料、66万円以下の現金などを差押禁止動産として案内しています。

大切なのは、
差押えされやすい財産を心配するだけでなく、差押えの前に動くことです。
放置するほど、給料、預金、家財のどれかに手続が及ぶ可能性は高くなります。


差押えが不安で、
給料が危ないのか、
銀行口座が危ないのか、
家の中の物まで取られるのか分からず不安な方は少なくありません。

ですが、差押えは、
今の段階を整理して早めに対応すれば、回避できる可能性があります。
督促段階なら任意整理、差押えが近いなら個人再生や自己破産など、取れる方法は状況によって違います。

差押えが不安な方、裁判所の書類が届いた方、給料や預金を守りたい方は、できるだけ早くご相談ください。

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🖋この記事の監修者
司法書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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