執行官が家に来るのはいつ?動産執行の流れと当日の対応
「執行官が家に来るかもしれない」
「いつ来るのか分からず落ち着かない」
「当日はどう対応すればいいのか不安」
このような悩みを抱える方は少なくありません。
結論からいうと、執行官が家に来るのは、債権者が動産執行を申し立て、執行官が日時を定めた後です。 裁判所は、動産執行について、申立ては目的物の所在地を管轄する地方裁判所に所属する執行官に対して書面で行い、執行官は申立てがあったときは速やかに強制執行の日時を定めると案内しています。さらに民事執行規則では、やむを得ない事由がある場合を除き、その日は申立てがあった日から1週間以内の日としなければならないと定めています。
ただし、動産執行は、ある日まったく前触れなくゼロから始まる手続ではありません。通常は、その前に判決、和解調書、公正証書、仮執行宣言付支払督促など、強制執行の根拠になる書類がそろっています。動産執行自体も、判決などの債務名義に基づいて動産を差し押さえ、売却して債権の満足を得る手続として裁判所が案内しています。
また、家の中の物が何でも差し押さえられるわけではありません。法テラスは、生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、1か月分の食料や燃料などを差押禁止動産として案内しています。
この記事では、執行官が家に来るタイミング、動産執行の流れ、当日の対応、差押えを止めるために今できることを、司法書士がわかりやすく解説します。
結論|執行官が家に来るのは、動産執行の申立て後に日時が定まった段階です
執行官が家に来るのは、単に返済が遅れているからではありません。
債権者が動産執行を申し立て、執行官が執行日時を定めたあとに、自宅などで動産執行が行われます。
裁判所は、動産執行の手続の流れとして、申立て、日時の指定、差押え、換価の順で進むと案内しています。
民事執行規則では、執行官は申立てがあったとき速やかに執行開始日時を定め、原則として申立日から1週間以内の日とすると定めています。
つまり、「返済を少し滞納したらすぐ家に来る」というものではありません。
一方で、
ここまで進んでいるなら、すでに問題はかなり切迫しています。
動産執行は、判決などの債務名義に基づく強制執行であり、単なる督促の段階ではありません。
関連記事:「動産執行とは?執行官が家に来る理由と差押えを止める方法を司法書士が解説」

この記事でわかること
この記事を読むと、次のことがわかります。
執行官が家に来るのはいつか
動産執行の申立て後、執行官が日時を定めて執行に来る流れがわかります。
原則として日時は申立日から1週間以内に定められます。
動産執行の流れ
申立て、日時の指定、差押え、換価という基本の流れが整理できます。
競り売りの期日は、原則として差押えの日から1週間以上1か月以内の日とされています。
当日に何が起こるのか
執行官が何を確認し、
どんな物が対象になり、
どんな物が差押禁止なのかがわかります。
今からできる対処法
差押えを止めるために、どの段階で何をすべきか、債務整理をどう考えるかがわかります。
金融庁の多重債務者相談マニュアルでは、弁護士・司法書士が受任して貸金業者に通知すれば通常は取立てが止まると案内されています。
執行官が家に来るのはいつ?
動産執行の申立てがされたあとです
執行官が家に来る前提として、債権者による動産執行の申立てが必要です。
裁判所は、動産執行の申立ては書面で行い、目的物の所在地を管轄する地方裁判所に所属する執行官に申し立てると案内しています。
つまり、単なる督促の途中で、いきなり執行官が来るわけではありません。
執行官が日時を定めます
申立てがあると、執行官は速やかに強制執行の日時を定めます。
これは裁判所の動産執行案内でも明記されています。
さらに民事執行規則では、原則としてその日は申立てがあった日から1週間以内の日でなければならないとされています。
そのため、「いつ来るのか分からないまま何か月も放置される」というより、申立てがされた後は比較的早く進みやすい手続といえます。
その前に裁判所の書類が届いていることが通常です
動産執行は、「判決」、「和解調書」、「公正証書」、「仮執行宣言付支払督促」など、強制執行の根拠になる書類があることを前提に進む手続です。
裁判所も、動産執行を「判決などの債務名義に基づいて」行う手続と説明しています。
つまり、裁判所からの封筒をずっと無視していた結果、動産執行の段階まで進むことが多いです。
関連記事:「裁判所から支払督促が届いたらどうする?無視のリスクと今すぐ取るべき対応を司法書士が解説」

関連記事:「裁判所から訴状が届いたらどうする?支払督促との違いと今すぐ取るべき対応を司法書士が解説」

動産執行の流れ
1.申立て
まず、債権者が動産執行を申し立てます。
申立て先は、動産の所在地(例:返済が滞っている人の自宅住所)を管轄する地方裁判所に所属する執行官です。
2.日時の指定
申立て後、執行官が執行日時を定めます。
民事執行規則上、原則として申立日から1週間以内です。
3.差押え
動産執行は、執行官が目的物を差し押さえることで始まります。
裁判所は、差押えは執行官が差し押さえるべき動産の占有を自己に移すことによって行うと案内しています。
また、差押動産の評価は原則として差押えの際に執行官が行います。
4.換価
差し押さえた動産は、執行官が競り売りなどの方法で換価します。
裁判所は、競り売りの期日は原則として差押えの日から1週間以上1か月以内の日と定められていると案内しています。
このように、動産執行は「来て終わり」ではなく、差押えから換価まで含む手続です。
当日に何が起こるのか
執行官が対象物を確認します
当日は、執行官が差し押さえるべき動産を確認します。
裁判所の案内どおり、差押えの対象になるのは法令上差押え可能な動産で、評価も原則としてその場で行われます。
何でも持っていけるわけではありません
ここはとても大切です。
法テラスは、
差押禁止動産として、
・生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具
・営業に欠くことができない器具
・実印などの重要な印鑑
・仏像、位牌
・学習に必要な書類や器具
などを挙げています。
そのため、生活に必要な物まで無制限に差し押さえられるわけではありません。
家族に知られる可能性があります
動産執行は自宅で行われるため、家族や同居人に借金問題が知られるきっかけになりやすいです。
また、近隣に執行官の出入りを見られる可能性もあります。これは動産執行が自宅等の現場で行われる制度であることから避けにくい実務上の不利益です。
当日の対応で気をつけたいこと
まずは落ち着いて書類を確認する
当日は不安が強くなりがちですが、まずは落ち着いて対応することが大切です。
すでに動産執行の段階に入っているなら、根拠になる債務名義や手続の流れが存在しているはずです。
そのため、何が起きているかを確認せずに感情的に動くより、手続の段階を把握することが重要です。
差押禁止動産まで対象と思い込まない
家の中の物を見て、「全部持っていかれるのでは」と思ってしまう方もいます。
しかし、実際には差押禁止動産があります。
生活必需品や1か月分の食料などは、法テラスの案内でも差押禁止動産です。
その場しのぎで放置を続けない
動産執行まで進んでいるなら、借金問題全体を整理しない限り不安は終わりません。
そのため、当日のショックだけで終わらせず、できるだけ早く今後の方針を相談することが大切です。
放置するとどうなるか
家財だけの問題では終わらないことがあります
動産執行が問題になる方は、給料や預金の差押えもあわせて心配すべきことがあります。
裁判所は、給与や預金の差押えについても債権執行手続として案内しています。
差押えの対象が広がることがあります
勤務先がわかれば給与差押え、銀行や支店がわかれば預金差押えが問題になります。
大阪地方裁判所は、給与差押えでは勤務先、預金差押えでは銀行・支店の特定が必要だと案内しています。
生活や人間関係への影響も大きいです
動産執行は、単に物を差し押さえるだけでなく、家族や同居人、近隣との関係にも影響しやすい手続です。
そのため、金額だけでなく心理的な負担も大きくなりがちです。
これは自宅訪問型の強制執行という制度の性質からも理解できます。
関連記事:「差押えされやすい財産とは?給料・預金・家財の違いを司法書士が解説」

差押えを止めるための対処法
まずは今どの段階かを確認する
動産執行がまだ申立て前なのか、
申立て後なのか、
すでに差押えが始まっているのかで、
取れる対応は変わります。
動産執行は債務名義に基づく手続なので、その前段階の裁判所書類の有無も重要です。
任意整理は早い段階で有効です
任意整理は、
裁判所を使わずに返済条件を見直す方法です。
金融庁の多重債務者相談マニュアルでは、弁護士・司法書士が受任し、貸金業者に通知すれば通常は取立てが止まると案内しています。
ただし、すでに始まった強制執行が任意整理だけで当然に止まるわけではありません。
動産執行がかなり進んでいるなら、ほかの手続も含めた検討が必要です。これは動産執行が既に裁判所の執行段階にあるからです。
関連記事:「任意整理とは?メリット・デメリットや手続きの流れを司法書士が解説」

個人再生や自己破産が必要な場合もあります
差押えが目前、または始まっているなら、
個人再生や自己破産まで含めて考える必要があります。
これらは裁判所を通じて借金問題全体を整理する手続で、執行が進んだ場面では現実的な選択肢になることがあります。
関連記事:「個人再生とは?住宅を守りながら借金を減額できる手続きを司法書士が解説」

関連記事:「自己破産とは?借金が免除される制度を司法書士が解説」

司法書士に相談するメリット
今の段階を整理しやすい
司法書士に相談すると、
動産執行の申立て前なのか、
すでに日時が決まっているのか、
給料や預金の差押えリスクもあるのかを整理しやすくなります。
強制執行は手続の段階によって取るべき対応が違います。
どの手続を選ぶべきか判断しやすい
任意整理で間に合うのか、個人再生や自己破産を急ぐべきかは今の進行状況で変わります。
動産執行はすでに執行段階なので、早い判断が重要です。
不安を早く軽くしやすい
執行官が家に来るかもしれない状況では、不安がとても大きくなります。
ですが、今の段階を整理し取れる手段を確認することで、必要以上に動けなくなることを防ぎやすくなります。
取立て停止の観点でも、早期相談には意味があります。
関連記事:「借金相談はどこにするべき?司法書士・弁護士・法テラスの違いを解説」

よくある質問
Q1.執行官は申立ての何日後に来ますか?
裁判所の案内では、申立てがあると執行官は速やかに日時を定めます。
民事執行規則では、原則として申立日から1週間以内の日とされています。
Q2.家に高価な物がなくても来ますか?
来る可能性はあります。
動産執行は正式な強制執行手続であり、家財の換価だけでなく、他の財産が把握しにくい場合の手段として用いられることがあります。
Q3.家の中の物は全部差し押さえられますか?
全部ではありません。
法テラスは、生活必需品、1か月分の食料・燃料、66万円以下の現金などを差押禁止動産として挙げています。
Q4.当日はどう対応すればいいですか?
まずは落ち着いて、今どの手続段階かを確認することが大切です。
差押禁止動産があることも知っておきましょう。
そして、その場しのぎで終わらせず、早めに今後の対応を相談することが重要です。
Q5.今からでも止められる可能性はありますか?
状況によりますが、あります。
まだ督促段階なら任意整理が有効なことがありますし、執行が進んでいるなら個人再生や自己破産まで含めて検討が必要です。早いほど選択肢は広いです。
まとめ
執行官が家に来るのは、動産執行の申立てがされ、執行官が日時を定めた後です。
裁判所の案内では、申立て後、執行官は速やかに日時を定め、民事執行規則では原則として申立日から1週間以内の日とされています。
また、動産執行は、判決などの債務名義に基づく強制執行であり、その前に裁判所の書類が届いていることが通常です。
何でも差し押さえられるわけではなく、差押禁止動産もあります。
大切なのは、
・今どの段階かを確認する
・裁判所の書類を放置しない
・差押禁止動産を知っておく
・早めに相談する
この4点です。
動産執行が不安なときほど、手遅れになる前に動くことが重要です。
執行官が家に来るかもしれない。
いつ来るのか分からず不安。
当日どう対応すればいいのか分からない。
そのような方は、一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
動産執行は、すでに強制執行の段階に入っているサインですが、今の状況を整理すれば、取れる対応が見えてくることがあります。
差押えが不安な方ほど、早めに動くことが大切です。
執行官が家に来るのではと不安な方、裁判所の書類が届いている方は、できるだけ早くご相談ください。
🖋この記事の監修者
司法書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

