奨学金が返せない場合はどうする?減額返還・猶予と自己破産・個人再生・任意整理の違いを司法書士が解説

「奨学金の返済が苦しい」
「毎月の支払いが重く、滞納しそう」
「自己破産や個人再生まで考えた方がいいのか分からない」

このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。

結論からいうと、奨学金が返せないときは、まず放置せず、減額返還や返還期限猶予などの制度を確認し、それでも家計全体が苦しい場合は、自己破産・個人再生・任意整理を含めて早めに専門家へ相談することが大切です。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、返還が困難な場合の制度として減額返還や返還期限猶予を案内しており、延滞が長引くと個人信用情報への登録や法的手続きにつながることがあります。

この記事では、奨学金が返せないときにまず何をすべきか、そして自己破産・個人再生・任意整理の違いについて解説します。


奨学金が返せないときの結論は「放置しないこと」です

奨学金の返済が苦しくなったとき、もっとも避けたいのは放置です。
日本が癖支援機構(JASSO)では、返還が難しくなった場合に減額返還制度返還期限猶予制度が用意されています。また、延滞が続くと督促が行われ、一定の場合には個人信用情報機関(俗にいうブラックリスト)への登録対象になります。

つまり、奨学金の問題は、
「払えないならすぐ相談・すぐ手続き」
が基本です。

特に、奨学金だけでなく、カードローン、クレジット、リボ払い、消費者金融など他の借入れもある場合は、奨学金単独ではなく家計全体・借入れ全体で対策を考えることが重要です。

奨学金を滞納するとどうなる?

督促や信用情報登録の対象になる

日本学生支援機構(JASSO)では、返還を延滞すると本人に督促が行われます。
さらに、延滞3か月以上になると個人信用情報機関への登録対象となり、新たに返還を開始する方は、返還開始から6か月経過時点で延滞3か月以上の場合に登録対象となります。信用情報機関へ登録されると、その後のクレジットカードや携帯電話の分割払い、住宅ローンなどの審査に影響することがあります。

保証人・連帯保証人に請求が及ぶことがある

人的保証を利用している奨学金では、本人が延滞した場合は連帯保証人に請求され、本人・連帯保証人ともに返還が難しい場合は保証人に請求されます。長期の延滞が解消されないと、支払督促の申立てなど法的手続きが取られることもあります。

機関保証を利用している場合でも安心とはいえません。一定期間の督促後、保証機関が代位弁済をすると、今度は保証機関から代位弁済額の一括請求を受けることがあります。

まず検討したい日本学生支援機構(JASSO)の救済制度

月々の返還額を少なくする「減額返還制度」

減額返還制度は、返還額を減らせば払える人向けの制度です。
日本学生支援機構(JASSO)では、当初の返還月額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2に減額でき、1回の願出は12か月まで、通算適用期間は15年(180か月)が限度とされています。
ただし、これは返済総額そのものが減る制度ではなく、返還期間を延ばして毎月の負担を下げる制度です。

返還を待ってもらう「返還期限猶予」

返還期限猶予は、一定期間、返済そのものを先送りする制度です。
日本学生支援機構(JASSO)では、経済困難や失業、傷病などの場合に利用でき、原則として通算10年(120か月)が限度です。

第一種奨学金では所得連動返還方式への変更が使える場合もある

平成29年度以降に第一種奨学金(無利子で借りる)の貸与を受けた方は、一定の条件のもとで定額返還方式から所得連動返還方式へ変更できる場合があります。所得に応じて月々の返還額が決まるため、該当する方は検討の余地があります。

それでも払えないなら債務整理を検討する

日本学生支援機構(JASSO)の制度を使っても返済が難しい場合、または他の借入れも含めると家計が完全に赤字で回らない場合は、債務整理を検討する段階です。

関連記事:「債務整理の費用が払えないときはどうする?分割払い・法テラス・相談の流れを司法書士が解説」

自己破産・個人再生・任意整理の違い

任意整理とは

任意整理は、「裁判所などの公的機関を利用せず、当事者(お金を借りた側と貸した側)が私的に話し合いをして、支払額や支払方法について合意する手続」です。

任意整理は、
毎月いくらなら払えるか
を前提に組み直す手続なので、継続収入があり、返済原資を確保できる人に向いています。
ただし、任意整理による実際の返済額は話し合いによる和解で決めることになりますので、希望する毎月の返済額に対してお金を貸している側が応じない(もっと毎月の返済額を上げてほしい)場合は、返済額を見直さなくてはなりません。

奨学金の場面では、奨学金そのものは日本学生支援機構の制度(減額返還・返還期限猶予)で調整し、それ以外のクレジットカードなどの借入れだけを任意整理するという考え方が有力なケースもあります。日本学生支援機構(JASSO)の「返還のてびき」でも、債務整理の事由による猶予は、奨学金債権を債務整理に含めていない場合に限るとされています。

関連記事:任意整理とは?メリット・デメリットを司法書士がわかりやすく解説👇

個人再生とは

個人再生は、裁判所を使って本人名義の全ての借金(奨学金だけ除外は出来ません)を対象に5分の1まで圧縮し、原則3年で均等分割返済していく手続です。継続的な収入見込みがあり、住宅ローンなどを除く無担保債務の総額が5,000万円以下の人が利用でき、再生計画どおり返済すると残りの債務の免除を受けられます。

また、個人再生では、債務額に応じた最低弁済額のルールがあり、たとえば債務総額が500万円以下なら100万円が基準になるなどの考え方があります。

個人再生が向いているのは、
今の総額では払えないけれど、毎月の返済額が少なくなれば返済できる人
です。
ローン中の住宅を守りたい、自己破産は避けたい、という方が選ぶことも多い手続です。

関連記事:個人再生とは?借金の大幅減額や住宅ローン特約で家を残す方法を司法書士が解説

自己破産とは

自己破産は、返済ができない状態にある人が裁判所に申し立て、免責許可決定を受けることで、法律上の返済義務の免除を目指す手続です。免責許可決定が確定すると、負っていた債務を法律上返済する責任がなくなります。

もっとも、自己破産には一定の資格制限があり、手続中(自己破産手続き完了後は制限は有りません)は就けない職業があるなどの制約があります。ただし、選挙権を失ったり、戸籍に記載されたり、保証人ではない家族が影響を受けることはありません。。

奨学金で自己破産を検討するのは、
収入や家計の状況からみて、減額しても分割しても返済の見込みが立たない場合
です。
ただし、保証人や連帯保証人がいる場合、その人に請求が移る可能性があるため、自分が破産をする場合「誰に、どのような請求がいくか」を事前に確認することも大切です。

関連記事:「自己破産すると家族に迷惑はかかる?配偶者・子ども・同居家族への影響を司法書士が解説」

どの方法を選ぶべき?

大まかな目安は次のとおりです。

日本学生支援機構(JASSO)の制度が向いている人

毎月の返済は苦しいが、減額や猶予があれば立て直せそうな人です。
他の借入れが少ない場合は、まずここから検討するのが基本です。

任意整理が向いている人

安定収入があり、奨学金以外の借入れを整理すれば家計が安定する見込みがある人です。
奨学金は契約通りに支払い、他の借入れだけを任意整理するという方法が可能です。

個人再生が向いている人

安定収入はあるが、借金総額が大きく、任意整理では完済の見込みが立たない人です。
ローン中の住宅を守りたい方にも検討価値があります。

自己破産が向いている人

収入が少ない、または不安定で、分割払いの継続が現実的でない人です。
生活再建を最優先に考える場面で選ばれます。

奨学金問題を司法書士に相談するメリット

奨学金が返せないときは、
「自己破産すべきか」
だけでなく、
日本学生支援機構(JASSO)の制度を使うべきか、他の借入れだけ整理すべきか、奨学金も含めて法的手続を選ぶべきか
を整理する必要があります。

司法書士に相談するメリットは、次の点にあります。

まず、家計と借入れ全体を見て、どの方法が現実的かを整理しやすいこと。
次に、催告書や督促、裁判所書類が来ている場合でも、今すぐ何をすべきかを具体的に把握しやすいこと。

関連記事:「受任通知とは?司法書士に依頼するといつ督促が止まる?相談後の流れを解説」

相談前に準備しておきたいもの

相談時には、次のものがあるとスムーズです。

  • 奨学金の返還に関する通知書
  • 督促状、催告書、支払督促など届いた書類
  • 他の借入れの一覧
  • 毎月の収入と支出が分かるメモ
  • 保証人・連帯保証人の有無が分かる資料

資料がそろっていなくても相談はできますが、ある程度まとまっていると、より具体的な見通しを立てやすくなります。

関連記事:「訴状が届いたらどうする?無視のリスクと答弁書提出までの流れを司法書士が解説」


まとめ

奨学金が返せないときは、まず放置しないことが何より大切です。

日本学生支援機構(JASSO)には、減額返還や返還期限猶予などの制度があります。
そのため、すぐに自己破産と決めつける必要はありません。

一方で、奨学金以外の借入れも多く、家計全体が苦しい場合は、
任意整理
個人再生
自己破産
を比較して、早めに方針を決める必要があります。

特に、保証人や連帯保証人がいるケースでは、対応が遅れるほど影響が広がりやすくなります。
「まだ大丈夫」と先延ばしにせず、今のうちに状況を整理することが、生活再建への近道です。


奨学金の返済が苦しい方へ

奨学金は、減額返還や猶予で対応できる場合もあれば、他の借入れを含めて債務整理を検討した方がよい場合もあります。
大切なのは、今の自分に合った方法を早めに見極めることです。

当事務所では、奨学金を含む借金問題について、状況を整理したうえで、自己破産・個人再生・任意整理のどれが適しているかを分かりやすくご説明しています。
「まだ相談するほどではないかも」と感じる段階でも大丈夫です。
お気軽にご相談ください。

🖋この記事の監修者
司法書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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