訴状が届いたらどうする?無視のリスクと答弁書提出までの流れを司法書士が解説

裁判所から「訴状」が届くと、
「どうして自分に届いたのか」
「無視したらまずいのか」
「何を書いて返せばいいのか」
と不安になる方が多いです。

結論からいうと、訴状は絶対に放置してはいけません。
民事訴訟では、被告になった人に対して訴状と最初の期日の呼出状が送られ、答弁書で言い分を出すことが重要です。答弁書を出さず、期日にも対応しないと、原告の請求どおりの判決が出ることがあります。

訴状が届いた段階で早めに内容を確認し、期限までに答弁書を提出することが大切です。
この記事では、訴状が届いたときにまずやるべきこと、無視するリスク、答弁書提出までの流れを、一般の方向けにわかりやすく解説します。


訴状が届いたら、まずやるべきこと

訴状が届いたら、最初にやるべきことはシンプルです。
封筒の中身を全部確認し、提出期限と裁判の日程を把握することです。

裁判所から被告に送られる書類には、通常、訴状のほか、最初の期日の呼出状や答弁書用紙などが同封されています。裁判所も、被告になった場合はそれらをよく読み、訴状に対する言い分を答弁書に書いて提出するよう案内しています。

1. まずは「何を請求されているのか」を確認する

訴状には、原告が何を求めているのかが書かれています。
たとえば、次のような請求です。

・借金の支払いを求める請求
・家賃滞納に関する請求
・売掛金や未払い金の請求
・損害賠償請求

大切なのは、請求されている金額だけを見るのではなく、その理由まで確認することです。
「いつの契約なのか」
「どの取引に基づくのか」
「遅延損害金が含まれているのか」
まで見ておきましょう。

身に覚えがある場合でも、金額や経緯が正確とは限りません。
逆に、まったく身に覚えがない請求であっても、放置すると不利になるおそれがあります。

2. 提出期限と第1回口頭弁論期日を確認する

訴状が届いたら、次に答弁書の提出期限裁判所へ行く日を確認します。

裁判所の案内では、答弁書は提出期限までに提出するよう求められており、最初の期日には自分の言い分を説明できるよう準備しておく必要があります。

「まだ日にちがある」と思って後回しにすると、あっという間に期限が来ます。
特に、証拠を探したり、専門家に相談したりする時間も必要なので、届いたその日から動くことが大切です。

3. 訴状以外の資料もまとめて保管する

訴状だけでなく、同封されていた資料はすべてまとめて保管しましょう。

たとえば、
・訴状
・証拠書類の写し
・期日呼出状
・答弁書用紙
・送達場所等の届出書

こうした資料は、答弁書を書くときにも、司法書士や弁護士へ相談するときにも必要です。
封筒ごと保管しておくと安心です。

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訴状を無視してはいけない理由

訴状を放置してしまう方は少なくありません。
しかし、訴状の放置には大きなリスクがあります。

1. 答弁書を出さず、期日にも対応しないと不利な判決の可能性がある

裁判所は、被告が答弁書を提出せず、口頭弁論期日にも出頭しないと、原告の言い分どおりの判決がなされることがあると案内しています。簡易裁判所のQ&Aでも、被告が最初の期日に出頭せず、答弁書等で争う意思を明らかにしていない限り、原告の請求どおりの判決が出ることがあると説明されています。

つまり、「反論があるのに何もしない」ことが一番危険です。
裁判所は、何も主張しない被告の本心までは汲み取ってくれません。

2. 判決が出ると、差押えにつながるおそれがある

判決が確定し、相手がその内容に従わない場合、原告は強制執行を申し立てることができます。さらに、判決に仮執行の宣言が付いている場合には、判決確定前でも強制執行を申し立てることがあると、裁判所は案内しています。

放置の結果、
・給料の差押え
・預金口座の差押え
・自宅の動産に対する執行
などにつながる可能性があります。

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3. 送達場所の届出を軽く見ない

裁判所からの書類を確実に受け取るため、送達場所等の届出が必要になることがあります。裁判所の案内では、この届出をしないと、その書面が届いた場所で今後の送達が行われ、現実に書類を受け取れなくても受領したとみなされることがあると説明されています。

引っ越し予定がある方や、普段自宅で郵便を受け取りにくい方は、特に注意が必要です。


答弁書提出までの流れ

訴状が届いたあと、被告が行う基本的な流れは次のとおりです。

1. 訴状の内容を読んで、認める部分・争う部分・分からない部分を分ける

裁判所の答弁書記載例でも、訴状に書かれた事実について、
間違いないもの
違っているもの
知らないもの
に分けて記載するよう案内されています。

たとえば、
「お金を借りたこと自体は認めるが、請求額が違う」
「契約した覚えがない」
「原告が主張するやり取りは知らない」
というように整理していきます。

ここが曖昧なままだと、答弁書も書きにくくなります。

2. 自分の言い分と証拠を整理する

答弁書には、単に「違います」と書くだけでは足りません。
どこがどう違うのか、できるだけ具体的に整理することが大切です。裁判所の記載例でも、違う理由は請求原因の項目ごとに分けて、できるだけ詳しく書くよう示されています。

証拠になりそうなものとしては、
・契約書
・領収書
・振込履歴
・LINEやメール
・請求書や督促書
などがあります。

「手元に何もない」と思っても、通帳やスマホの履歴から確認できることもあります。

3. 答弁書を作成する

答弁書では、通常、
・請求を争うのか
・訴状に書かれた事実のどこを認めるのか
・どこを否定するのか
・自分の主張は何か
を整理して書きます。

注意したいのは、安易に「認めます」としないことです。裁判所の記載例では、争う場合や、争いがなくても和解での解決を望む場合には棄却を求める側にチェックし、「認めます」にチェックを入れると請求の認諾として事件が終了する場合があると説明されています。

つまり、
「一括では払えないので分割で話し合いたい」
という場合でも、書き方を誤ると不利になることがあります。


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4. 期限までに提出する

裁判所は、答弁書を提出期限までに提出するよう案内しており、提出方法として、裁判所への提出のほか、相手方へ副本を直接送付する扱い、ファクシミリ送信可とする案内例も公表しています。実際の提出方法は、同封書類や担当書記官の案内に従うことが重要です。

「書き終わったら出そう」ではなく、
まず期限を逆算して準備するようにしましょう。

5. 出頭できない事情があるなら、早めに連絡する

病気などやむを得ない事情で期日に行けない場合は、簡易裁判所のQ&Aでも担当書記官へ相談するよう案内されています。別の裁判所の案内でも、出頭できない場合は早めに担当書記官へ連絡するよう記載されています。

自己判断で欠席するのではなく、まず連絡することが大切です。


司法書士に早めに相談するメリット

訴状が届いたときは、不安から判断が遅れがちです。
そのため、早い段階で司法書士に相談するメリットがあります。

1. 期限管理と必要書類の整理がしやすい

訴状対応は、時間との勝負です。
司法書士に相談すれば、
・まず何を確認すべきか
・どの資料を集めるべきか
・いつまでに何をするか
を整理しやすくなります。

とくに、初めて裁判書類を受け取った方にとっては、これだけでも大きな安心材料になります。

2. 争うべき点と和解の可能性を整理しやすい

訴状が届いたからといって、必ず全面的に争うべきとは限りません。
請求の一部は認めつつ、分割払いや和解で解決を目指すケースもあります。裁判所も、訴訟の途中で話し合いによる解決、つまり和解が可能であることを案内しています。

自分一人だと感情的になりやすい場面でも、第三者に整理してもらうことで、現実的な対応を選びやすくなります。

3. 事件の内容に応じて適切なサポートを受けやすい

裁判所の案内では、簡易裁判所では司法書士等に委任できる一方、地方裁判所では弁護士でなければ訴訟代理人になれないとされています。

そのため、どの裁判所の事件か、請求内容が何かによって、受けられるサポートは変わります。
だからこそ、書類が届いた早い段階で相談し、適切な対応方針を決めることが大切です。


こんな場合は特に早めの相談がおすすめです

・訴状の内容に身に覚えがない
・金額が大きい
・答弁書の書き方が分からない
・すでに提出期限が近い
・一括で払えない
・差押えが心配
・裁判所からの書類を初めて受け取った

このような場合は、後回しにするほど不利になりやすいです。
訴状は、無視する書類ではなく、すぐ対応する書類だと考えておきましょう。

まとめ

訴状が届いたら、まずは落ち着いて中身を確認し、提出期限と期日を把握することが大切です。
そして、請求内容を整理し、期限までに答弁書を提出しましょう。

訴状を無視すると、原告の請求どおりの判決が出てしまう可能性があります。
さらに、判決の内容によっては、差押えなどの強制執行につながるおそれもあります。

「争うべきなのか」
「分割の話し合いができるのか」
「どこまで自分で対応できるのか」
が分からないときは、早めに専門家へ相談するのが安心です。


訴状が届いた場合、対応が遅れるほど不利になりやすくなります。
答弁書の提出期限が近い、請求内容に納得できない、支払い方法について相談したいという方は、早めにご相談ください。

横濱つきあかり法務事務所では、訴状が届いた方からのご相談を承っています。
書類をお手元にご用意のうえ、お早めにお問い合わせください。

🖋この記事の監修者
司法書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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