給与差押え中でも個人再生できる?止まる時期・勤務先への影響を司法書士が解説

給与差押えが始まっていても、個人再生を申し立てることはできます。

ただし、司法書士へ依頼したことや、裁判所へ申立書を提出したことだけで、差押えがその日に自動的に止まるわけではありません。

結論からいうと、差押えの原因となった債権が個人再生の対象になるかを確認し、個人再生の申立てとともに強制執行の中止命令などの検討が必要です。再生手続開始決定後は、再生債権に基づく強制執行が法律上中止されるのが原則ですが、給与が実際に本人へ戻る時期は即日ではなく、裁判所の決定や差押命令の取消し、勤務先の給与計算日程などで変わります。

そのため、給与差押えを放置すると、毎月の手取りが減り、個人再生後の返済計画も立てにくくなります。裁判所や勤務先から届いた書類をお手元にご準備いただき、早めに相談してください。(届いた書類を既に処分した状態でもご相談は可能ですのでご安心ください)

この記事でわかること

  • 給与差押え中でも個人再生を申し立てられるか
  • 申立てから差押え停止までの考え方
  • 会社に届く書類と勤務先への影響
  • 差し押さえられた給与が戻る可能性
  • 個人再生・自己破産・任意整理の選び方
横濱つきあかり法務事務所

給与差押えはどのように始まる?

債権者が給与を差し押さえるには、判決、支払督促、和解調書、公正証書などの債務名義を得たうえで、裁判所へ債権差押命令を申し立てるのが一般的です。

裁判所が差押命令を出すと、勤務先は「第三債務者」として命令を受け取ります。そのため、給与差押えが始まれば、少なくとも給与担当部署には借金の差押えを知られることになります。

差押えの範囲は原則として給与の4分の1ですが、手取り額が一定額を超える場合は範囲が広がることがあります。税金等の滞納処分は民間債権の差押えと手続や範囲が異なりますのでご注意ください。

個人再生の申立てだけでは自動的に停止しません

受任通知にも差押えを止める効果はない

司法書士が貸金業者へ受任通知を送ると、電話や郵便による督促は止まります。

しかし、すでに裁判所の差押命令が出ている場合、受任通知だけで強制執行が止まるわけではありません。また、勤務先が独自の判断で本人へ給与を全額支払うこともできません。

「専門家へ依頼したから次の給料は全額受け取れる」と考えるのは危険です。差押事件の裁判所、事件番号、債権者、給与日を確認し、個人再生の申立準備を急ぎましょう。

申立前に差押えを避けられるとは限らない

返済を止めてから申立てまでに時間がかかると、債権者が訴訟や支払督促を進めることがあります。

個人再生では、債権者一覧表、財産目録、家計収支、給与・税金資料など多くの書類が必要です。書類が不足したままでは申立てが遅れます。

訴状、支払督促、差押命令が届いたら、提出期限や異議申立期間を確認し、相談の際はお手元にご準備ください。

差押えを止めるために検討する手続き

再生手続開始前の中止命令

個人再生の申立て後、裁判所は必要があると認めるとき、個別の強制執行を一時的に中止する命令を出すことがあります。

なお、中止命令は自動的に出るものではありません。給与差押えが続くと家計が成り立たず、再生計画の作成が困難になる事情などを裁判所へ説明し、必要な申立てと資料提出を行います。

裁判所は事案を個別に判断しますので、申立ての準備状況や履行可能性に問題があれば、希望どおりの時期に命令が出るとは限りません。

再生手続開始決定後

再生手続開始決定が出ると、再生債権に基づく強制執行は法律上中止されるのが原則です。

ただし、差押命令の効力を最終的になくし、勤務先が留保した給与をどのように扱うかについては、取消命令など別の裁判所手続が必要になる場合があります。

差し押さえられた給与が、いつから、どの範囲で本人へ支払われるかは、差押債権者への支払い前か、勤務先が供託しているか、裁判所の命令内容などで変わります。

勤務先へ裁判所の決定が届く前に、勤務先の給与担当者へ「差し押さえはもう止まった」と伝えるのは避けてください。

税金や養育費は別に確認する

個人再生をしても、税金や社会保険料は通常の借金のように減額されません。滞納処分による給与差押えは、貸金業者の強制執行とは別に対応します。

また、養育費なども、個人再生で免責・減額されない債権に当たる場合があります。

差押通知の債権者が自治体、税務署、元配偶者などの場合は、個人再生で止まると決めつけず、個別に確認をしてください。

勤務先への影響はどこまである?

給与担当者にはすでに知られている

差押命令は勤務先へ送達されるため、給与担当者や経理担当者には差押えの事実が知られます。

一方、個人再生を申し立てたことが会社全体へ通知される制度はありません。差押えの中止・取消しに関する裁判所書類は勤務先へ届きますが、社内で情報を扱う範囲は会社の実務担当者により異なります。

また、給与差押えや個人再生だけを理由に当然に解雇されるものではありませんが、就業規則、職種、会社からの借入れ、社内貸付制度などの確認が必要です。

会社から借入れがある場合

会社の従業員貸付金も、原則として債権者一覧表へ記載します。会社が再生債権者になれば、会社からの借り入れが個人再生の対象となる旨の通知を裁判所より受けるため、個人再生を知られることになります。

なお、会社に知られたくないと自己判断で会社だけに返済を続けてしまうと、特定の債権者に優先して返済をしたとして裁判所で問題になることがあります。

また、会社の借り入れに対する返済方法として給与天引きがされている場合も、依頼している専門家へ相談をしてください。

差し押さえられた給与は戻る?

差押命令が出た後でも、債権者へ実際に支払われる前の金銭について、裁判所の中止・取消し命令により本人へ戻る可能性があります。

一方で、すでに債権者が取り立てた金額は、原則として当然に返還されるわけではありません。

そのため、差押えの進行段階と給与支払日が重要になってきます。

勤務先が差押部分を供託している場合も、供託金を誰が受け取れるかは裁判所の決定と手続きを確認する必要があります。

家賃、住宅ローン、公共料金が引き落とせなくなる前に、当面の生活費と口座残高を整理してください。

個人再生を選ぶための条件

個人再生は、将来にわたり継続・反復した収入を得る見込みがあり、減額後の借金を原則3年、事情により5年で返済する手続です。

給与差押えが止まっても、再生計画による返済を続けられなければ利用は困難です。差押え前の手取りではなく、住居費、扶養費、税金、住宅ローンなどを含めた実際の家計収支で判断をします。

住宅を残したい場合は住宅ローン特則も検討できますが、住宅ローンの滞納や代位弁済が無いかの確認が必要です。

また、収入に対して返済余力が不足する場合は、自己破産も比較します。

なお、任意整理は裁判所を使わないため、すでに行われた給与差押えを法的に中止させる効果はありません。

相談前に準備したい資料

  • 債権差押命令と届いた封筒
  • 差押事件の事件番号が分かる書類
  • 判決、支払督促、和解調書、公正証書
  • 最近の給与明細と賞与明細
  • 給与のうち差し引かれた額が分かる資料
  • 借入先、残高、返済額の一覧
  • 通帳または取引履歴
  • 家賃・住宅ローン・保険・税金の資料
  • 家計収支表

すべて揃っていなくても相談できます。特に、差押命令、給与日、勤務先が留保している金額は早めに伝えてください。

よくある質問

個人再生を依頼すれば次の給与から差押えは止まりますか?

依頼や受任通知だけでは止まりません。裁判所の中止命令や開始決定などが必要で、実際に止まる時期は個別に裁判所が判断します。

給与差押えで会社を解雇されますか?

差押えや個人再生だけで当然に解雇されるものではありません。ただし、職種や就業規則への記載、会社からの借入れがある場合は個別に確認が必要です。

すでに差し押さえられた給与は返ってきますか?

債権者へ支払済みの金額は、原則として返ってきません。また、未払い・供託中の金額は裁判所の命令と進行状況によって異なります。

税金の給与差押えも個人再生で止まりますか?

税金の滞納処分は一般的な再生債権に基づく強制執行とは扱いが異なるため、自治体や税務署との分納協議などを検討します。

任意整理で給与差押えを止められますか?

任意整理には強制執行を停止させる効果がありません。債権者の合意が得られるか、個人再生・自己破産が適切かを急いで検討します。

まとめ|差押え中は「申立て」と「中止手続き」を急ぐ

給与差押え中でも個人再生は可能ですが、受任通知や申立てだけで直ちに差押えが止まるわけではありません。

再生手続開始前の中止命令、開始決定後の法的効果、差押命令の取消しなどを、事件の進行に合わせて検討します。

税金等の滞納処分や養育費は扱いが異なりますので、差押命令を確認し個人再生で対応できる債権かを最初に区別することが大切です。

横濱つきあかり法務事務所では、給与差押えを受けた方の個人再生・自己破産について無料相談を受け付けています。次の給与日前でも、裁判所から届いた書類をお手元にご準備いただき相談ください。(届いた書類を紛失している場合でもご相談は可能ですのでご安心ください)

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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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