任意整理は一部の借入先だけでもできる?対象から外せる借金と5つの注意点を司法書士が解説
「消費者金融とクレジットカードは任意整理したいが、通勤に使う車のローンは残したい」
「保証人になっている家族へ迷惑をかけないよう、保証人付きの借金だけは対象から外せないか」
結論からいうと、任意整理では、事情に応じて一部の借入先だけを交渉の対象にすることを検討できます。
ただし、任意整理の対象から外した借金を含めて返済を続けられることが前提です。カードや車を残したいという希望だけで決めると、家計が改善しないこともあります。
この記事では、対象外を検討することがある借金と、判断前に知っておきたい5つの注意点を司法書士が解説します。
この記事でわかること
- 任意整理で一部の借入先だけを対象にできる理由
- 任意整理の対象から外すことを検討することがある借金
- 借入先を選ぶ前に確認したい5つの注意点
- 一部だけ任意整理した場合の返済額の考え方
任意整理は一部の借入先だけでもできる?
任意整理は、裁判所を通さず、各借入先と個別に将来利息の減免や分割回数などを交渉する手続きです。
法テラスの解説でも、任意整理は債権者の全部または一部と交渉し、返済方法などについて和解する手続きとされています。そのため、消費者金融だけを対象にし、自動車ローンを外すといった方法を検討できる場合があります。
ただし、債権者には減免や長期分割に応じる義務がありません。一部だけを対象にする場合も、最初に全借入先の残高と返済額を把握し、家計全体から方針を決めます。
参考:法テラス「債務整理」
任意整理の対象から外すことを検討することがある借金
次の借金は、生活や家族への影響を確認したうえで、対象から外すことを検討する場合があります。
住宅ローン
住宅ローンを対象外にし、契約どおり返済を続けられれば、自宅を維持できる可能性があります。ただし、住宅ローン以外を整理しても家計が改善しない場合は、個人再生も比較検討します。
自動車ローン
自動車ローンを対象にすると、契約内容や所有者によっては車の返還を求められる可能性があります。通勤などで車が必要なら対象から外すことを検討しますが、同じローン会社や関連会社に別の借入れがある場合は確認が必要です。
保証人・連帯保証人がいる借金
保証人がいる借金を対象にすると、債権者から保証人へ請求される可能性があります。本人が契約どおり返済できるなら対象から外すことを検討しますが、保証契約と家計の両方を確認して判断します。
給与振込口座がある銀行のカードローン
銀行カードローンを対象にすると、その銀行の口座が一時的に利用できなくなったり、預金と借金が相殺されたりする可能性があります。給与振込や公共料金の引落しに使っている場合は、口座変更を含めて事前に準備します。
一部の借入先だけ任意整理をするときの5つの注意点
注意点1|任意整理の対象から外すクレジットカードが使い続けられる保証はない
任意整理の対象から外したカードでも、カード会社が信用情報や利用状況を確認し、利用停止、利用限度額の引下げ、更新拒否とする可能性があります。
カードを残すためだけに対象外とすると、返済額が十分に下がらないことがあります。口座振替やデビットカードなどの代替手段を準備しましょう。
注意点2|任意整理の対象から外した借金の返済を含めると家計が赤字になることがある
住宅ローン、自動車ローン、奨学金、対象外のカードなど、継続する支払いをすべて加えた金額で家計を確認します。金融庁も、毎月の返済額を計算し、無理なく確実に返済できるか確認するよう案内しています。
注意点3|同じ会社・同じグループの別契約に影響することがある
同じ会社にカード、キャッシング、自動車ローンなど複数の契約がある場合、一つだけを切り離せないことがあります。銀行カードローンでは保証会社との関連も確認します。
注意点4|任意整理の対象から外した借金に対する督促や裁判は止まらない
対象外にした借金には契約どおり返済を続ける必要があります。すでに延滞している場合、督促、一括請求、裁判などが自動的に止まるわけではありません。裁判所からの書類があれば、すぐに当事務所のような専門家へ相談してください。
注意点5|個人再生や自己破産へ変更すると扱いが変わる
個人再生や自己破産では、任意整理のように一部の借入先だけを自由に選んで手続きをするめることが原則としてできません。ほかの債権者へ払えない状態で特定の債権者だけに返済すると、破産手続上の問題(偏頗弁済)になる可能性もあります。手続きを変更する可能性がある方は、自分だけで支払先を選ぶ前に専門家へ相談してください。
一部だけ任意整理した場合の返済額を計算する
| 借入先 | 残高 | 検討する方針 |
|---|---|---|
| A社・B社・C社 | 合計200万円 | 任意整理の対象 |
| 自動車ローンD社 | 100万円 | 対象外として月25,000円を返済 |
仮に将来利息が減免され、借金200万円を均等に返済する場合の単純計算です。
| 返済回数 | 任意整理後の返済額 | 車のローンを含む月額 |
| 36回 | 約55,600円 | 約80,600円 |
| 60回 | 約33,400円 | 約58,400円 |
実際の条件は債権者や取引状況で異なります。減免や60回払いが約束されるものではありません。対象となる200万円だけでなく、自動車ローンを含む月額を、生活費を確保して払えるかが判断の基準です。
借入先を選ぶ際の手順
- 対象外にしたい借金も含め、借入先、残高、返済額、返済日を一覧にする
- 担保、保証人、給与口座、家族カード、ETCカードなどの関連契約を確認する
- 生活費と臨時出費を差し引き、追加借入れなしで払える月額を計算する
- 任意整理で払えない場合は、個人再生や自己破産も比較する
借入件数が増えている方は、返済のための借入れや生活費不足がないかも確認してください。
任意整理は、一般的に元本の大幅な減額を前提とする手続きではありません。一部を対象外にすると返済額が高すぎる場合は、「残したい契約」だけで決めず、家計を立て直せる方法を選ぶことが重要です。
よくある質問
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消費者金融だけを任意整理できますか?
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消費者金融だけを対象にできます。ただし、対象外のクレジットカードや銀行ローンを含め、毎月の返済を継続できることが前提です。同じ会社や関連会社の契約がある場合は、影響を個別に確認します。
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1枚だけクレジットカードを残せますか?
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残せるとは限りません。任意整理の対象から外しても、カード会社の判断で定期的に信用情報を確認した結果、利用停止や更新拒否となる可能性があります。カードを残すためだけに対象外とすると、任意整理後の返済が苦しくなることもあります。
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自動車ローンを対象外にすれば必ず車を残せますか?
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必ず残せるわけではありません。返済状況、車の所有者、契約内容、ほかの借入先との関係によって異なります。対象外のローンを契約どおり返済できるかも確認します。
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保証人がいる借金だけ対象外にできますか?
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対象外にすることはできます。ただし、本人がその借金の返済を継続できることが必要です。すでに延滞している場合や期限の利益を失っている場合は、保証人へ請求される可能性があるため早めに相談してください。
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延滞していなくても相談できますか?
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相談できます。延滞前なら、給与口座や引落し方法の変更、家計の見直しを落ち着いて準備しやすい場合があります。借入先と残高が完全に分からなくても、分かる範囲から始められます。
まとめ|借入先を選ぶときも家計全体で判断する
任意整理では、事情に応じて一部の借入先だけを交渉の対象にすることを検討できます。
住宅ローン、自動車ローン、保証人付きの借金などは、生活や家族への影響を踏まえて対象外を検討する場合があります。ただし、次の点には注意が必要です。
- 対象外のカードが使い続けられる保証はない
- 対象外の返済を含めると家計が赤字になることがある
- 同じ会社や関連会社の別契約へ影響することがある
- 対象外の借金に対する督促や裁判は止まらない
- 個人再生や自己破産へ変更すると借入先の扱いが変わる
「何を残したいか」だけでなく、「対象外の借金を含めても、借りずに返済できるか」で判断しましょう。
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※本記事は一般的な情報を解説したものです。手続きの可否や結果は、借入先、契約内容、借金額、収入、財産、保証人、担保などによって異なります。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。







