任意整理では返済額が高すぎる方へ|個人再生を考えるべき7つのサイン
「任意整理をすれば、毎月の返済を減らせると思っていた」
「将来利息がなくなっても、残っている借金の返済額が高すぎる」
「収入はあるけれど、この金額を何年も払い続けるのは難しい」
このようなお悩みはありませんか。
結論からいうと、任意整理後の返済額が家計から無理なく出せない場合は、個人再生を検討した方が良い可能性があります。
任意整理は、債権者と話し合って返済条件を見直す手続です。
しかし、借金自体が大きい場合、将来利息をカットしても、毎月の返済額が楽にならないことがあります。
一方、個人再生は、裁判所の認可を受けて借金を一定額まで減額し、原則として3年間で返済していく手続です。継続的な収入があり、住宅ローンを除く借金などが5,000万円以下であることなどが利用条件になります。
この記事では、任意整理では返済が難しい方に向けて、個人再生を考えるべき7つのサインを司法書士が分かりやすく解説します。
個人再生を考えるべき7つのサイン
次の項目に複数当てはまる場合は、任意整理だけでなく、個人再生も含めて返済方法を見直すことをおすすめします。
- 任意整理後の返済額が家計を圧迫している
- 借金を5年の均等分割(60回払い)しても返済できない
- 毎月の返済をボーナスや新たな借入れに頼っている
- 借金が300万円以上あり、返済するには減額が必要
- 給料などの安定した収入がある
- 住宅ローンがあり、ローン中の自宅を残したい
- 自己破産は避けたいが、一定額なら返済できる
当てはまったからといって、必ず個人再生ができるわけではありません。
ただし、任意整理の返済額を無理に受け入れる前に、個人再生を利用した場合の返済額も試算する価値があります。
任意整理と個人再生は何が違う?
任意整理は返済条件を話し合う手続
任意整理は、裁判所を通さず、債権者と話し合って今後の返済方法を決め直す手続です。
将来利息のカットや返済期間の延長を交渉しますが、借金の元金が大幅に減るとは限りません。
たとえば、借金が300万円あり、5年間60回で返済すると仮定した場合、毎月の返済額は約5万円です。
借金が500万円なら、毎月約8万3,000円です。
収入があっても、家賃や住宅ローン、教育費、生活費を支払いながら、この返済を借金がゼロになるまで続けるのは難しいことがあります。
個人再生は借金の減額を目指す裁判所の手続き
個人再生では、法律上の基準により算出された金額を、原則3年間で返済します。
特別な事情がある場合は、最長5年まで返済期間を延長できることがあります。
再生計画どおりに返済すると、原則として残りの借金の支払義務が免除されます。
ただし、実際の返済額は、借金総額だけで決まるわけではありません。
保有している財産の価値や、選択する個人再生の種類などによって、返済額が高くなることがあります。給与所得者等再生では、可処分所得の2年分も返済額を決める基準になります。
個人再生を考えるべき7つのサインを詳しく解説
サイン1.任意整理後の返済額が家計を圧迫している
最も重要なのは、任意整理後の返済額を毎月無理なく支払えるかどうかです。
「給料日に払うことはできる」というだけでは十分ではありません。
返済後に生活費がほとんど残らず、急な医療費や車検、家電の故障に対応できない状態では、長期間の返済を続けることが難しくなります。
家計から返済に回せる金額が月4万円なのに、任意整理後の返済額が月7万円になるのであれば、その返済計画には無理がある可能性があります。
和解する前に、個人再生を利用した場合の返済額と比較することが大切です。
サイン2.借金を5年の均等分割(60回払い)しても返済できない
任意整理を検討するときは、まず借金を60回で割ってみましょう。
たとえば、次のようになります。
- 借金300万円:月約5万円
- 借金400万円:月約67,000円
- 借金500万円:月約83,000円
- 借金600万円:月10万円
実際の和解条件は債権者ごとに異なり、必ず60回払いにできるわけではありません。
そのため、元金を60回で割った金額でも支払えない場合は、任意整理による解決が難しい可能性があります。
サイン3.毎月の返済をボーナスや新たな借入れに頼っている
毎月の給料だけでは返済できず、夏や冬のボーナスで補っている方も注意が必要です。
ボーナスは、勤務先の業績などによって減額される可能性があります。
また、返済のためにクレジットカードのキャッシングや別のカードローンを利用している場合、借金はさらに増えていきます。
「次のボーナスが入れば何とかなる」という状態を繰り返している場合は、すでに通常の返済が難しくなっているサインです。
サイン4.借金が300万円以上あり、借金の減額が必要
個人再生には「借金が300万円以上なければ利用できない」という決まりはありません。
ただし、借金額が大きくなるほど、任意整理で返済をする負担も大きくなります。
特に、借金が300万円、400万円、500万円と増えている場合は、将来利息だけでなく、借金自体を減額しなければ家計を立て直せないことがあります。
借金額だけで手続きを決めるのではなく、収入、生活費、家族構成、財産、住宅ローンなどを含めて判断することが重要です。
サイン5.給料などの安定した収入がある
個人再生は、減額後の借金を継続して返済する手続です。
そのため、将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みが必要です。会社員や公務員だけでなく、条件を満たせば個人事業主やパート勤務の方なども対象になります。
「収入があるから債務整理はできない」と思われる方もいますが、むしろ安定した収入があることは、個人再生を検討するうえで重要な条件です。
収入はあるものの、借金が大きすぎて返済できない方に適した可能性があります。
サイン6.住宅ローンがあり、ローン中の自宅を残したい
個人再生には、一定の条件を満たす場合に、自宅を残しながら住宅ローン以外の借金を整理できる「住宅資金特別条項」という制度があります。
住宅ローン自体が減額される制度ではありませんが、住宅ローンを返済しながら、カードローンやクレジットカードなどの借金を減額できる可能性があります。
自宅の名義、住宅ローンの契約内容、設定されている抵当権などによって利用できるかどうかが変わるため、事前の確認が必要です。
任意整理の返済と住宅ローンの両方を支払うのが難しい場合は、住宅ローン特則を利用した個人再生を検討しましょう。
サイン7.自己破産は避けたいが、一定額なら返済できる
借金を全額返済するのは難しくても、減額後の金額であれば返済できるという方もいます。
このような場合、自己破産だけでなく個人再生を検討できる可能性があります。
個人再生は、返済義務をすべてなくす手続きではありません。
裁判所に認められた再生計画に従い、一定額を返済しなければなりません。
そのため、「月3万円なら継続して払える」「住宅ローンとは別に一定額を返済できる」という方は、個人再生の返済シミュレーションを行うことをおすすめします。
個人再生をすると返済額はいくらになる?
小規模個人再生の最低弁済額の基準は、一般に次のように定められています。
- 借金500万円以下:100万円
- 500万円超1,500万円以下:借金総額の5分の1
- 1,500万円超3,000万円以下:300万円
- 3,000万円超5,000万円以下:借金総額の10分の1
ただし、保有財産の価値が上記の金額を上回る場合などは、返済額も高くなる可能性があります。
借金300万円の場合
任意整理で60回払いにすると、単純計算で月約5万円です。
個人再生の場合は返済総額が100万円になり、3年間で返済すると仮定した場合、月平均は約3万円です。
借金500万円の場合
任意整理で借金を60回払いにすると、月約83,000円です。
個人再生の場合は返済総額が100万円になり、3年間で返済すると仮定した場合、月平均は約3万円です。
借金800万円の場合
任意整理で元金を60回払いにすると、月約13万3,000円です。
個人再生の場合は返済総額が160万円になり、3年間で返済すると仮定した場合、月平均は約45,000円です。
これらは、あくまで最低弁済額を基準にした単純な参考例です。
実際には、預貯金、保険の解約返戻金、自動車、不動産、退職金見込額などの財産や、選択する手続によって返済額が変わります。
住宅ローンがある場合は、個人再生の返済とは別に住宅ローンの支払いも続ける必要があります。
個人再生が向いていないケース
次のような場合は、個人再生以外の方法を検討することがあります。
継続した収入を見込めない
個人再生では、減額後の借金を継続して返済する必要があります。
収入がなく、今後も安定した収入を得る見込みがない場合は、再生計画を実行できない可能性があります。
減額後の借金も返済できない
借金が減額されても、毎月の返済額を家計から出せなければ、個人再生による解決は困難です。
この場合は、自己破産を含めて検討する必要があります。
財産の価値が高い
個人再生では、自己破産をした場合に債権者へ配当されると見込まれる財産価値以上の金額を返済する必要があります。
預貯金や保険、不動産などの財産が多い場合は、想定していたほど返済額が下がらないことがあります。
任意整理で無理な和解をする前に相談することが大切
任意整理後の返済が始まってから個人再生へ切り替えることを検討することもできます。
しかし、すでに返済が遅れている場合や、債権者から一括請求を受けている場合は、対応できる時間が限られることがあります。
大切なのは、任意整理と個人再生のどちらが適しているかを、和解前に比較することです。
司法書士へ相談することで、次のような点を整理できます。
- 任意整理後の毎月の返済見込額
- 個人再生を利用した場合の最低弁済額
- 家計から無理なく返済できる金額
- 住宅ローン特則を利用できる可能性
- 預貯金や保険などが返済額に与える影響
- 個人再生申立てに必要な書類
司法書士は、裁判所提出書類の作成などを通じて、個人再生手続を支援することができます。
借金額だけで判断せず、収入、支出、財産、住宅ローンをまとめて確認することが重要です。
よくある質問
任意整理の手続中でも個人再生へ変更できますか?
状況によっては変更を検討できます。
任意整理の和解前だけでなく、和解後に返済が難しくなった場合も、個人再生が利用できないか確認する価値があります。
ただし、すでに滞納や裁判手続が始まっている場合は、早めの対応が必要です。
借金が300万円未満でも個人再生はできますか?
借金が300万円未満であることだけを理由に、個人再生が利用できなくなるわけではありません。
ただし、個人再生には裁判所へ納める費用や専門家費用なども必要です。
借金額が比較的少ない場合は、任意整理と個人再生のどちらが家計再建に適しているかを比較する必要があります。
会社員は個人再生を利用できますか?
会社員は、継続した給与収入が見込まれるため、個人再生を検討しやすい立場といえます。
ただし、毎月の収入から生活費や住宅ローンを差し引いた後に、再生計画の返済額を支払えることが必要です。
個人再生をすれば必ず借金が5分の1になりますか?
必ず5分の1になるわけではありません。
借金総額、保有財産、可処分所得、住宅ローンの有無などによって返済額が変わります。
インターネット上の簡易的な計算だけで判断せず、個別に試算することが大切です。
まとめ|任意整理の返済が高すぎるなら個人再生も比較しましょう
任意整理は、借金問題を解決する有効な方法の一つです。
しかし、借金の元金が大きい場合は、将来利息をカットできても毎月の返済額が高くなり、生活が苦しくなることがあります。
特に、次のような方は個人再生を検討する余地があります。
- 任意整理後の返済額が家計を圧迫している
- 借金を5年で割っても支払えない
- ボーナスや新たな借入れで返済している
- 安定した給与収入がある
- 住宅ローンを払いながら自宅を残したい
- 自己破産は避けたいが、一定額なら返済できる
無理な返済計画で和解すると、途中で払えなくなり、再び債務整理が必要になる可能性があります。
任意整理の返済額が高すぎると感じた段階で、個人再生を利用した場合の返済額も確認しましょう。
無料相談のご案内
横濱つきあかり法務事務所では、任意整理と個人再生のどちらが適しているか、収入や生活費、借金額、住宅ローンなどを確認しながら検討します。
「任意整理を勧められたが、返済額が高すぎる」
「借金を減らさなければ完済できそうにない」
「住宅ローンを払いながらカードローンを整理したい」
このような方は、返済が遅れる前にご相談ください。
ご相談いただいたからといって、すぐに依頼を決める必要はありません。
まずは、任意整理と個人再生それぞれの返済見込額を比較し、ご自身に合った解決方法を確認することが大切です。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。





