退職したら借金はどうなる?仕事を辞める前に知る債務整理と返済のポイントを司法書士が解説
「今は給料で返済できているけれど、退職後も払えるか不安」
「転職先が決まるまで、カードの返済を続けられるだろうか」
「退職金で借金をまとめて返した方が良いのか」
このようなお悩みはありませんか。
結論からいうと、退職しても借金の支払義務が自動的になくなることはありません。
これまでどおり返済を続ける必要があります。
一方、退職後に収入が下がる、次の給料まで期間が空くという場合は、退職金を急いで返済へ回したり、新たな借入れで支払いをつないだりする前に、家計と返済方法を見直す必要があります。
また、給料による収入がある状態なら、任意整理・個人再生・自己破産のうち、どの方法が現実的かを落ち着いて比較できます。
この記事では、退職したら借金がどうなるのか、仕事を辞める前に確認したいこと、債務整理の選び方を司法書士が分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 退職後も借金返済が続く理由
- 仕事を辞める前に相談するメリット
- 任意整理・個人再生・自己破産の選び方
- 退職金や失業給付を考えるときの注意点
- 退職前に準備しておきたい資料
退職しても借金の支払義務はなくならない
退職は、勤務先との雇用契約が終わることです。
カード会社や消費者金融、銀行との借入契約が同時に終わるわけではありません。
そのため、退職後も、契約で決められた返済日に支払いを続ける必要があります。
退職したことだけを理由に、すべての借金が直ちに一括請求されるとは限りません。
ただし、返済が遅れると、遅延損害金が発生したり、期限の利益を失って残額を一括請求されたりする可能性があります。
勤務先から借りている社内貸付金や共済組合の貸付金は、退職時の扱いが一般のカードローンと異なる場合がありますので、就業規則、貸付規程、契約書を確認してください。
仕事を辞める前に債務整理を相談すべき5つの理由
1.現在の収入を基準に返済能力を確認できる
任意整理では、利息や返済回数について債権者と交渉し、和解後の返済を続けられるかが重要です。
退職前であれば、給与明細などをもとに、現在と退職後の手取り収入を比べられます。
退職後も払える金額かを確認することが大切です。
2.給料が入らない期間を事前に計算できる
退職日から転職先の最初の給料日まで、1か月以上空くことがあります。
雇用保険の基本手当は退職すれば必ずすぐに受け取れるものではなく、受給資格や手続き、待期・給付制限などの確認が必要です。
退職後の家計は、予定額だけでなく、実際にいつ入金されるかまで確認しましょう。
3.債務整理の方法を比較しやすい
収入の見通しがあれば任意整理や個人再生、生活費を差し引くと返済できない場合は自己破産を検討することもあります。
退職してから次の返済日まで時間がない状態では、選択肢を十分に比較できないかもしれません。
退職前なら、転職予定、退職金、住宅ローン、自動車ローンなども含めて比較できます。
4.退職金の使い方を慎重に決められる
退職金で借金を減らすことが適しているケースもあります。
しかし、退職金は転職までの生活費などにも必要です。一部の債権者だけへ大きく返済すると、後に自己破産や個人再生を申し立てる際、返済の経緯を説明しなければならないこともあります。※裁判所が自己破産を認めない「偏頗弁済」に該当する危険があります。
また、退職金の受取りの前後などによって、裁判手続での財産評価が変わる可能性があります。
自己判断で退職金の全額を返済に回す前に、債務整理をする必要があるかを確認しましょう。
5.追加の借入れや長期延滞を防ぎやすい
退職後に生活費が足りなくなると、クレジットカードのキャッシングやカードローンで不足分を補いたくなるかもしれませんが、新たな借入れで返済を続けると借金全体が増えることがあります。
退職前に返済計画を見直し、必要なら債務整理の準備を始めましょう。
退職・転職前に考える債務整理の選び方
任意整理|転職後も返済を続けられる場合
任意整理は、裁判所を通さず、債権者と今後の返済条件を話し合う方法です。
将来利息のカットや分割払いに応じてもらえることがありますが、必ず希望どおりになるわけではありません。転職先の給料などから和解後の返済を続けられる見込みがある方に向いています。
転職先が決まっていなくても相談はできます。
今後の収入が見通せない場合は、任意整理以外の方法も比較します。
個人再生|安定収入の見込みがあり、借金を大きく減らしたい場合
個人再生は、裁判所へ申し立て、法律上の基準により借金を減額し、再生計画に沿って分割返済する手続です。住宅ローンを返済中の自宅を残せる可能性があることも特徴です。
ただし、個人再生には、将来において継続的または反復的な収入を得る見込みが必要です。
裁判所も利用要件として継続・反復した収入を挙げています。転職後の雇用形態、試用期間、給料額なども踏まえた検討が必要です。
自己破産|退職後の収入では返済できない場合
自己破産は、借金を返済できない場合に裁判所へ申し立て、免責許可を受けることで、原則として支払義務の免除を目指す手続です。
税金、養育費など、免責されない債務もあります。
退職金、預貯金、自動車、保険などは確認されますが、必ずすべてを失うわけではありません。財産の種類、金額、退職時期、裁判所の運用などで扱いが異なります。
「退職金があるから自己破産できない」と決めつけず、個別に確認してください。
退職前に確認しておきたい5つの項目
相談前に、次の内容を分かる範囲で整理しておくと、退職後の返済計画を立てやすくなります。
1.借入先、残高、毎月の返済額、返済日
2.最終給与、賞与、退職金の金額と入金予定日
3.転職先の給料額、勤務開始日、最初の給料日
4.失業給付の受給見込みと入金時期
5.家賃、住宅ローン、食費、保険料など最低限必要な生活費
資料がすべてそろっていなくても相談できます。
給与明細、借入先の明細、通帳、退職金の見込額が分かる書類など、手元にあるものから確認しましょう。
すでに退職していても相談は遅くない
「退職前に相談できなかった」という方も、諦める必要はありません。
すでに退職していても、現在の収入、失業給付、貯金、再就職の見込みなどから債務整理を検討できます。返済のために新たな借入れをする前に、状況を整理してください。
退職前に借金問題を司法書士に相談するメリット
退職前は、現在の給与と退職後の収入見込みを比べる必要があります。
司法書士へ相談すれば、借金、生活費、住宅ローン、車、退職金、転職予定を整理し、自力返済を続けられるか、どの手続を検討すべきか確認できます。
正式に債務整理を依頼した場合は、対象となる借入先へ受任通知を送ることで、本人に対する直接の取立てが原則として止まります。※返済が滞ったことを理由に借入先が裁判をおこした場合は、受任通知だけでその裁判を止めることはできませんので、訴訟予告や実際に訴状が届いた場合はお早めにご相談ください。
個人再生や自己破産では、裁判所へ提出する申立書の作成も司法書士へ依頼できます。相談しただけで、勤務先や転職先へ連絡することは通常ありません。
退職日が迫っている場合も、早めに今後の見通しを確認しましょう。
よくある質問
退職するとカードローンは一括請求されますか?
退職しただけで、一般のカードローンが必ず一括請求されるわけではありません。
ただし、延滞した場合などは一括請求される可能性があります。社内貸付金や共済貸付は退職時の扱いが異なることがあるため、契約書などを確認してください。
退職後でも任意整理はできますか?
退職後でも相談や手続は可能です。
ただし、任意整理後の返済を続けられる収入または具体的な収入見込みが必要です。
転職先が決まっている場合は、給料額や初回給料日も含めて返済計画を考えます。
失業給付だけでも任意整理できますか?
失業給付を受けているというだけで、任意整理ができないわけではありません。
ただし受給期間が限られるため、再就職の見込みや生活費を含め、その後も返済を続けられるかで判断します。
退職金は借金返済に使った方が良いですか?
退職金の一部を返済へ充てることが有効な場合はあります。
ただし、転職までの生活費を残せない場合や、自己破産・個人再生の可能性がある場合は、一部の債権者だけに返済する前に相談してください。
会社員や公務員が相談すると勤務先に知られますか?
会社員・公務員も債務整理を検討できます。相談だけで勤務先へ連絡することは通常ありません。
任意整理も、勤務先が債権者である場合などを除き、勤務先へ通知する手続ではありません。ただし、給料の差押えや社内貸付・共済貸付がある場合は個別に確認します。
まとめ|借金がある方は退職前に返済の見通しを確認しましょう
退職しても、借金の支払義務は自動的になくなりません。
退職後に収入が減る場合は、次の給料や失業給付が入るまでの期間も含めて、返済を続けられるか確認する必要があります。
特に、次のような方は退職前の相談をおすすめします。
- 転職先がまだ決まっていない
- 退職後の手取り収入が下がる予定である
- 退職金を借金返済へ使うか迷っている
- すでに生活費をカードや借入れで補っている
- 住宅ローンや車を残しながら借金を整理したい
早めに相談すれば、退職後の生活を守るために何を準備すべきか確認できます。
退職・転職前の借金問題は横濱つきあかり法務事務所へご相談ください
横濱つきあかり法務事務所では、退職前・転職前の方からの債務整理のご相談も受け付けています。
現在の給与、退職後の収入、借金、生活費を確認し、無理のない方法を一緒に考えます。
まだ延滞していない段階でもご相談いただけます。
相談したからといって、必ず債務整理を依頼する必要はありません。退職金を返済へ使う前や、新たな借入れをする前に、今後の見通しをご確認ください。
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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。






