個人再生の履行テストとは?積立額・期間・払えないときの対処法を司法書士が解説
「個人再生を申し立てると、毎月積立てをしなければならないのか」
「住宅ローンや生活費を払ったうえで、積立てまで続けられるか心配」
個人再生では、裁判所の運用や事案によって、再生計画で予定する返済額を一定期間積み立てるよう求められることがあります。一般に「履行テスト」、「履行可能性テスト」、「積立トレーニング」などと呼ばれています。
結論からいうと、履行テストは単なる形式的なものではありません。減額後の借金を将来にわたって返済できるか、家計の中で実際に確認する重要な準備です。
そのため、積立てが難しいときは、金額をごまかしたり生活費を借りたりせず、早い段階で家計と手続方針を見直す必要があります。
この記事では、履行テストの目的、積立額と期間の考え方、積立金の扱い、途中で払えない場合の対処法を司法書士が解説します。
この記事でわかること
- 個人再生の履行テストを行う目的
- 毎月の積立額と実施期間の考え方
- 積み立てたお金の扱い
- 積立てが遅れたときに起こり得ること
- 無理のない返済計画を作る確認方法

個人再生の履行テストとは
履行テストとは、再生計画で予定する弁済額を、申立て前後の一定期間、毎月積み立てをすることです。
個人再生は、借金を減額して終わる手続きではありません。裁判所で認可された再生計画に従い、原則として3年間、事情によっては最長5年間にわたり返済を続けます。
そのため、申立人に継続的または反復的な収入があり、将来の返済を続けられる見込みがあることが重要です。
履行テストの有無、開始時期、期間、積立方法は、裁判所や事案によって異なります。「全国一律で何か月」、「必ず指定口座へ振り込む」と決まっているわけではありませんので、具体的な内容は依頼をする司法書士へ直接確認をしましょう。
なぜ積立てが必要になるのか
再生計画を実行できるか確認するため
書面上では返済できる計算でも、実際の生活では予想外の出費が発生します。
家賃、住宅ローン、食費、光熱費、税金などを支払った後に、予定額を毎月確保できるかを確かめるのが履行テストの大きな目的です。
積立てを続けられれば、再生計画の履行可能性を説明する材料になります。
家計の問題を申立て前に見つけるため
積立てができない場合、返済計画だけでなく家計そのものに問題があるかもしれません。
通信費や保険料など固定費が高い、カード決済が家計に反映されていない、税金の滞納分を計算していないなど、見落としを早めに確認できます。
申立て後に初めて不足する状況に気付くより、準備段階で家計を調整する方が安全です。
返済原資を借入れで補っていないか確認するため
履行テストの積立金をカードローンや後払い決済で用意しても、返済能力を示したことにはなりません。
新たな借入れは債務を増やし、申立書類で裁判所に対する説明も複雑になります。
給与などの継続収入から、生活費と積立金を無理なく確保できる状態を目指しましょう。
履行テストの積立額はいくら?
一般的には、再生計画で予定する毎月または一定期間ごとの返済額を基準に検討します。
たとえば、減額後の返済総額が120万円で、3年間にわたり毎月返済する計画なら、単純計算では月約33,000円です。
ただし、返済日を3か月ごとにする場合、個人再生委員の報酬や手続費用との調整がある場合など、実際の積立額は単純計算どおりとは限りません。
また、最低弁済額は借金総額だけで決まりません。預金、保険の解約返戻金、車、退職金見込額などの清算価値によって返済総額が増えることがあります。
積立額を決める前に、借金と財産を正確に確認することが大切です。
関連記事:個人再生で毎月いくら返済する?
履行テストの期間はどのくらい?
期間は全国共通ではなく、裁判所の運用や手続状況によって異なります。
複数月にわたって積立状況を確認することが多いため、相談直後から毎月の返済予定額を別口座などへ移す方法が考えられます。
ただし、住宅ローン、税金、養育費、家賃、公共料金などは、受任通知後も支払いが必要です。何を止め、何を払い続けるかは必ず依頼先へ確認してください。
関連記事:住宅ローン返済中にカードローンが払えない場合
関連記事:個人再生でも減額されない税金・養育費
積み立てたお金は返ってくる?
積立金の保管方法や最終的な取扱いは、裁判所の運用や事件の進め方によって異なります。
本人名義の口座で管理し、その後の返済資金や手続費用に充てる場合もあれば、個人再生委員が選任される事件で指定された方法による納付が必要になる場合もあります。
「後で自由に使えるお金」と考え、途中で生活費へ戻してしまうのは避けてください。
用途を変更する必要が生じたときは、先に司法書士へ相談しましょう。
履行テストで積立てができないとどうなる?
直ちに個人再生ができなくなるとは限らない
病気、冠婚葬祭、家電の故障など、一時的な出費で積立てが遅れることはあり得ます。
一度の遅れだけで直ちに個人再生が認められなくなるとは限りません。まず、遅れた理由、いつ補えるか、翌月以降も継続できるかを確認します。
継続的に不足する場合は計画を見直す
毎月同じように積立額が不足するなら、認可後の返済も続けられない可能性があります。
借金総額や清算価値の計算、返済期間、家計の固定費を見直し、個人再生を続けることが適切か検討します。
積立てのために新たな借入れをしたり、税金や住宅ローンを滞納したりする方法は避けなければなりません。
自己破産など別の手続きも比較する
収入から生活費を引くと返済原資が残らず、今後の改善も難しい場合は、自己破産を比較します。
一方、借金総額が比較的少なく、将来利息を減らせば借金を返せる場合は、任意整理が適していることもあります。
「自宅を残したいから個人再生」と結論を先に決めず、住宅ローンを含む家計が長期的に成り立つか確認しましょう。
関連記事:任意整理・個人再生・自己破産の判断表
履行テストを続けるための5つの準備
1.給料日に積立額を先に移す
余ったお金を月末に積み立てる方法では、生活費と混ざりやすくなります。
給料日に予定額を別口座へ移し、残った金額で生活する方が管理しやすくなります。
2.カード払いと現金支出を同時に記録する
カード利用分を翌月の支出と考えると、今月使える金額を多く見積もってしまいます。
利用した時点で家計簿へ記録し、引落しに必要な金額を残します。
3.年間の支出を月割りする
自動車税、固定資産税、更新料、車検、学費などは毎月発生しません。
年間支出を12か月で割り、毎月の家計に含めておくと、支払月に積立てが崩れにくくなります。
4.ボーナスを前提にしすぎない
賞与は会社の業績や勤務状況で変わる可能性があります。
できる限り毎月の給与で基本の返済を続けられる計画にし、ボーナスは予備費として考える方が安全です。
5.税金の滞納と分納額を確認する
税金や社会保険料は、個人再生によって一般の借金と同じように減額されるものではありません。
分納中なら、毎月の納付額を家計へ入れたうえで、再生計画の返済と両立できるか確認します。
相談前に準備すると良い資料
- 借入先ごとの残高が分かる資料
- 直近の給与明細と源泉徴収票
- 預金通帳や取引履歴
- 家賃または住宅ローンの明細
- 保険、自動車、不動産、退職金に関する資料
- 税金や社会保険料の納付書
- 直近の家計収支が分かるメモ
現在の収入と支出を確認し、想定される返済額を実際に積み立てられるか、早い段階から試すことが重要です。
司法書士へ相談するメリット
個人再生では、借金総額、財産、家計、住宅ローン、税金などを踏まえて返済計画を検討します。
横濱つきあかり法務事務所では、任意整理・個人再生・自己破産を比較し、毎月の返済予定額と積立可能額を整理します。
司法書士が地方裁判所へ提出する申立書類の作成を支援する場合、裁判所での手続主体はご本人です。事案の内容により、弁護士への相談が適する場合があります。
まだ返済を続けている段階でもご相談いただけます。返済のために新たな借入れをする前に、無料相談をご利用ください。
よくある質問
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履行テストは個人再生をする全員に必要ですか?
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全国一律に同じ方法で実施されるわけではありません。裁判所の運用、個人再生委員の選任、事案の内容によって異なるため、申立先の裁判所の運用方法を確認します。
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積立額は自分で決められますか?
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自由に決めるものではありません。再生計画で見込まれる返済額や裁判所等の指示を基準にします。借金・財産の調査が進むと予定額が変わる場合もあります。
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積立てを1回忘れたら申立ては失敗しますか?
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一度の遅れだけで直ちに手続が認められなくなるとは限りません。しかし、理由と今後の見通しを説明する必要があります。気付いた時点ですぐ依頼している専門家へ連絡してください。
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積立金を申立費用へ使えますか?
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保管方法と使途は、裁判所の運用や依頼先との取り決めによります。自己判断で使わず、事前に確認してください。
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住宅ローンを払いながら履行テストをしますか?
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住宅資金特別条項を利用して自宅を残す場合、住宅ローンは原則として支払いを続けます。そのうえで再生計画の返済予定額も確保できる家計かを確認します。
まとめ|履行テストは認可後の生活を守るための確認
個人再生の履行テストは、減額後の借金を計画どおり返せるか、実際の積立てによって確認するものです。
積立額や期間、保管方法は、裁判所の運用や事案によって異なります。
大切なのは、積立てだけを一時的に成功させることではありません。住宅ローン、税金、生活費を払いながら、再生計画を最後まで続けられる家計を作ることです。
横濱つきあかり法務事務所では、借金、収入、財産、家計を確認し、個人再生の返済見込みを分かりやすく整理します。
積立てができるか不安な方も、延滞や新たな借入れに進む前にご相談ください。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。





