債務整理すると銀行口座はどうなる?凍結・給与振込・引き落としの注意点を司法書士が解説
「債務整理をすると、銀行口座が全部使えなくなるのでは?」
「給料の振込先がそのままで大丈夫か不安」
「家賃やスマホ代の引き落としは止まってしまうの?」
このような不安をお持ちの方は少なくありません。
結論からいうと、債務整理をしたからといって、すべての銀行口座が一律に凍結されるわけではありません。
ただし、借入やカードローン、住宅ローンなどがある銀行を債務整理の対象にする場合は、その銀行口座が一定期間使いにくくなったり、預金と借入が相殺されたりすることがあります。
破産法や民事再生法には相殺に関する規定があり、銀行の実務でも、期限の利益を失った場合に返済用口座の入出金を制限できる旨の規定が置かれている例があります。
そのため、債務整理を考えるときは、給与振込口座の変更や公共料金・家賃などの引き落とし口座の見直しを、手続前に検討することが大切です。
この記事では、銀行口座がどうなるのか、何に注意すべきかを分かりやすく解説します。
債務整理をしても、すべての銀行口座が凍結されるわけではありません
まず押さえておきたいのは、債務整理=全口座凍結ではないという点です。
特に注意が必要なのは、借金がある銀行、またはその銀行グループのカードやローンを利用している場合です。
銀行は、一定の場合に預金と貸付金を相殺できる仕組みを持っており、破産法67条は、破産手続開始時に債権者が債務者に対して債務を負担しているときは、破産手続によらず相殺できると定めています。
民事再生法92条も、一定の要件のもとで再生手続によらない相殺を認めています。
そのため、たとえば次のようなケースでは注意が必要です。
注意が必要なケース
・銀行カードローンを借りている銀行の普通預金口座を家賃や光熱費などの引き落とし先として使っている
・住宅ローンを借りている銀行と、給与振込で使用している口座の銀行が同じ
・銀行系クレジットカードの引き落とし口座を、借入先と同じ銀行にしている
・銀行からの借り入れを任意整理、個人再生、自己破産の対象に入れる予定である
銀行の契約規定には、債務者が期限の利益を失った(契約通りの返済がされない)場合に、返済用口座の入出金を禁止するなど取引を制限できるとする例があります。
したがって、整理対象となる銀行口座は、一時的に引き出しや引き落としができなくなる(銀行口座の凍結)可能性があると考えて準備した方が安全です。
逆に、影響が出にくいケース
一方で、借入がない銀行や、今回の整理対象にしていない銀行まで当然に全部止まる、というわけではありません。
口座凍結の問題は、主にその銀行自身が債権者であるかどうか(債務整理をする対象の銀行かどうか)に関係します。
これは、相殺や取引制限の根拠が、債権者である金融機関の権利や契約に基づくためです。
したがって、どの銀行口座を注意しなければいけないかは、人によって違います。
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銀行口座が凍結・制限されやすいのはどんなとき?
任意整理の場合
任意整理は、裁判所を使わず、債権者ごとに話し合いで返済条件を見直す手続です。
そのため、整理する相手を選べるのが特徴です。
たとえば、消費者金融やクレジットカード会社だけを任意整理し、給与振込に使っている銀行のローンは対象から外す、という対応が検討できる場合があります。
もっとも、銀行カードローンや銀行系ローンを任意整理の相手に入れるなら、その銀行口座は要注意です。
相殺や取引制限(保証会社が代わりに払うまでの間の口座凍結)のリスクがあるため、事前準備が大切です。
個人再生・自己破産の場合
個人再生や自己破産では、基本的に本人名義の借り入れ先は全て対象として扱うことになります。
そのため、預金口座をもっている銀行から借り入れをしている場合は、任意整理よりも慎重に検討をする必要があります。
破産法では相殺権が認められており、民事再生法でも一定の範囲で相殺が問題になります。
銀行の実務でも、破産や民事再生の申立てがあった場合や、その予定を銀行が知った場合を期限の利益喪失事由としている規定が見られます。
つまり、借入のある銀行口座では、預金をそのまま置いておくこと自体に注意が必要ということです。
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給与振込口座はどうしたらよい?
給与振込先の銀行から借入が有る場合は、早めの見直しが大切です
給与振込口座が、これから債務整理をする銀行になっている場合、そのままだと困ることがあります。
なぜなら、口座が制限(口座凍結)されると、
・給料が入ってもすぐに引き出しが出来ない
・預金と借入が相殺される
・生活費の確保が難しくなる
といった問題が起こりうるからです。
破産法67条や民事再生法92条は相殺の前提を定めており、銀行規定でも返済用口座の取引制限が定められている例があります。
そのため、給与振込先が債務整理対象の銀行なら、勤務先の担当部署に早めに相談し、別の銀行口座(支店の変更ではなく借り入れをしていない銀行の口座)へ変更できるか確認することが重要です。
給与口座の変更は、ギリギリだと間に合わないことがあります
給与振込口座の変更は、会社側の締切や事務処理の都合があります。
また、口座振替や支払方法の変更は、公共料金などでも反映まで時間がかかることがあります。
※光熱費の引き落し先口座の変更は、手続完了まで平均で1~2か月程度かかります。
したがって、債務整理を本格的に進める前に、
「給料はどこに入るか」
「生活費はどこから出すか」
「必要に応じて、これまでとは別の銀行で新しく口座を開設する」
を先に整えておくことが大切です。
家賃・スマホ代・公共料金の引き落としはどうなる?
債務整理をする銀行の預金口座からの引き落としは止まる(引き落としができない)おそれがあります
家賃、スマホ代、電気・ガス・水道、保険料、サブスクなどを、債務整理をする銀行の口座から引き落としている場合は注意が必要です。
その口座が使えなくなったり、残高が相殺に回ったりすると、引き落とし不能になる可能性があります。
銀行規定上、入出金制限がかかる例があり、口座振替の変更にも一定の手続期間がかかることがあるため、後回しにしない方が安全です。
引き落とし関係で先に確認したいもの
特に確認したいのは、次の支払いです。
・家賃
・携帯電話料金
・電気、ガス、水道
・インターネット料金
・生命保険料
・学校費用
・駐車場代
・各種ローンやリース料
これらは生活に直結するため、別口座への変更や払込票払い・振込払いへの一時切替を早めに検討しましょう。
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債務整理前にやっておきたい3つの準備
1. 借入のある銀行を一覧にする
まずは、どの銀行に借入があるかを整理しましょう。
銀行カードローンだけでなく、住宅ローン、自動車ローン、銀行系クレジットカードも確認が必要です。
2. 給与振込口座と生活費口座を分ける
債務整理対象になる可能性がある銀行を、生活のメイン口座にしないことが大切です。
給与の受取口座、家賃や公共料金の支払口座、普段使いの生活費口座を見直しておくと、手続後の混乱を減らせます。
3. 自己判断で動かず、先に司法書士へ相談する
口座の移し替えや支払い方法の変更は、状況によっては慎重さが必要です。
特に自己破産や個人再生を考えている場合、後から説明が必要になるお金の動き(裁判所より意図的に財産を隠したとみなされる等)が出ることもあります。
そのため、自己判断で大きく動く前に、手続の見通しを確認してから進めた方が安心です。
銀行口座の不安こそ、早めに司法書士へ相談するメリットがあります
銀行口座の問題は、借金そのものよりも、生活への影響がすぐに出やすいのが特徴です。
給料が入る口座、家賃の引き落とし口座、公共料金の支払口座が止まると、手続前より生活が苦しくなることがあります。
司法書士に早めに相談するメリットは、
・どの銀行口座に注意すべきか整理できる
・任意整理で外せる債権者があるか検討できる
・給与振込や引き落としの変更順序を考えやすい
・督促対応と生活口座の確保を並行して進めやすい
という点にあります。
まとめ
債務整理をしても、すべての銀行口座が一律に凍結されるわけではありません。
ただし、借入のある銀行を整理対象にする場合は、口座が使いにくくなったり、預金と借入が相殺されたりする可能性があります。
特に注意したいのは、次の3点です。
・給与振込口座が整理対象の銀行になっていないか
・家賃や公共料金などの引き落としがその口座に集中していないか
・手続前に変更しておくべき支払い先がないか
銀行口座の問題は、生活再建に直結します。
「まだ相談するほどではないかも」と思う段階でも、先に見通しを立てておくことで、余計な混乱を避けやすくなります。
銀行口座の凍結や給与振込のことで不安がある方は、手続前のご相談が大切です。
横濱つきあかり法務事務所では、債務整理をご検討中の方から、
「どの口座が危ないのか」
「給料の振込先は変えた方がいいのか」
「家賃や公共料金の引き落としはどうすればよいのか」
といったご相談も承っています。
早めに準備できれば、生活への影響を抑えながら手続を進めやすくなります。
まずはお気軽にご相談ください。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。
