任意整理で元金は減る?借金がどこまで減額されるかと返済額の考え方を司法書士が解説

「任意整理をすれば、借金の元金も大きく減る?」

「借金減額の広告を見たが、自分はいくら減るのだろう」

「利息がなくなるだけでは、毎月の返済を続けられるか不安」

このような疑問をお持ちではありませんか?

結論からいうと、現在の任意整理では、確定した残元金そのものが当然に減るわけではありません。一般的には、残元金とこれまでの法定金利内の利息や遅延損害金を基準に、将来利息のカットや分割回数の見直しを交渉し、完済を目指します。

ただし、過去の取引を利息制限法の上限金利で計算し直した結果、元金が減る場合があります。また、債権者や返済方法によっては、例外的に元金の一部免除を含む和解が検討されることもありますが、必ず認められるものではありません。

この記事では、任意整理で何が減り、何が残るのか、具体的な返済例とともに司法書士が分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 任意整理で元金が原則として残る理由
  • 利息の再計算によって元金が減るケース
  • 将来利息がなくなった場合の支払総額と月額
  • 「減額率」だけで手続きを選ぶ危険性
  • 任意整理と個人再生を分ける判断基準

任意整理で元金は減る?まず結論を確認

任意整理は、裁判所を利用せず、債権者と支払額や支払方法について個別に話し合う手続きです。

交渉では、取引履歴を確認して正しい残元金を確定し、今後発生する利息を付けないことや、無理のない分割回数に変更することを目指します。

そのため、任意整理の主な効果は「元金を大幅に減らすこと」ではなく、次の3点です。

  • 将来利息のカットを交渉する
  • 経過利息や遅延損害金の減免を交渉する
  • 残元金を3年から5年程度で分割返済できるよう交渉する

もっとも、これらは債権者との合意によって決まります。将来利息が必ず全額なくなる、必ず60回払いになる、という制度ではありません。

元金が減る可能性がある3つのケース

1.利息制限法の上限を超える金利で長く返済していた

利息制限法では、借入元金に応じて年15%から20%の上限金利が定められています。

過去にこの上限を超える金利で取引していた場合、取引の最初から法定上限金利で計算し直します。払い過ぎた利息を元金へ充当した結果、現在表示されている残高より元金が減ることがあります。

さらに計算上すでに完済していれば、過払金が発生している可能性もあります。

ただし、古い時期から借りているだけで必ず元金が減るわけではありません。借入開始時期、当時の金利、途中の完済や再借入れなど、実際の取引履歴によって結果は変わります。

2.取引履歴を確認すると請求額と正しい残高に差があった

任意整理では、債権者から取引履歴や残高の開示を受け、請求内容を確認します。

利息、手数料、入金の反映状況などを確認した結果、当初把握していた金額と、交渉の基準になる残元金が異なることがあります。

複数社から借りていて借金総額が分からない方も、分かる範囲の資料を準備すれば相談を始められます。残高を推測したまま「返せそう」「返せない」と決めないことが大切です。

3.一括返済などを条件に元金の一部免除が提案される

債権者、滞納期間、回収状況、用意できる金額などによっては、一定額を一括で支払うことを条件に、残額の一部免除を含む和解が検討される場合があります。

しかし、これは例外的な個別交渉です。元金カットを求めれば応じてもらえる、分割払いでも同じ割合で減る、というものではありません。

一括返済のために家族から無理に借りる、新しい借入れをする、生活費や税金まで使うことは避けてください。元金の減額幅だけでなく、返済後の生活を維持できるかで判断します。

元金が減らなくても支払総額は減る可能性がある

元金がそのままでも、将来利息が付かなくなれば、完済までの支払総額と毎月の負担が軽くなる可能性があります。

たとえば、現在の元金が150万円、年利15%で、今後48回の元利均等返済をすると仮定します。

比較条件毎月の返済額支払総額今後の利息相当額
年利15%・48回返済の概算約41,750円約2,003,800円約503,800円
将来利息なし・48回返済の概算31,250円1,500,000円0円

この例では、元金150万円は減っていません。それでも将来利息が付かないことで、毎月の支払額は約10,500円、支払総額は約503,800円少なくなります。

※年利15%を月利に換算した元利均等返済の概算です。実際の契約、返済日、手数料、和解条件によって異なります。将来利息の全額カットを保証するものではありません。

「何%減るか」だけで任意整理を選ばない

インターネット上の借金減額例を見ると、減額率の大きさだけに目が向きやすくなります。しかし、任意整理で本当に確認すべきなのは、和解後に完済まで続けられるかです。

残元金を分割した月額を払えるか

将来利息がなくなっても、元金150万円なら36回で毎月約41,700円、60回でも毎月25,000円です。

他社の返済、家賃、住宅ローン、通信費、保険料などを払った後に、この金額を毎月確保できるかを確認します。

手続費用を含めた総額で比較する

任意整理では、債権者への返済とは別に専門家費用がかかります。

横濱つきあかり法務事務所の任意整理費用は、1社当たり56,500円(税込)です。借入社数と分割払いの金額を確認し、返済開始後の家計まで見通して契約します。

低金利の借入れは効果が小さいことがある

もともとの金利が低い借入れは、将来利息をカットできても減る金額が小さい場合があります。

また、住宅ローン、自動車ローン、保証人付きの借入れなどは、対象に含めることで別の影響が生じることがあります。借金を一律に整理するのではなく、契約ごとに確認する必要があります。

元金を返しきれない場合は個人再生も比較する

毎月の収入が安定していても、借金を3年から5年程度で返済できない場合は、任意整理にこだわると生活費が不足するおそれがあります。

個人再生は、裁判所へ申し立て、法律上の基準に従って借金の減額を目指す手続きです。認可された再生計画どおりに返済すれば、任意整理よりも借金を大きく減らせる可能性があります。

一方で、個人再生は原則としてすべての債権者を手続きの対象とし、財産、保証人、官報掲載なども確認しなければなりません。

「借金が減るか」だけではなく、次の点を比較して選びましょう。

  • 任意整理後の月額を継続して払えるか
  • 住宅ローンや自動車ローンを残したいか
  • 保証人付きの借金があるか
  • 預金、保険、車、退職金などの財産があるか
  • 裁判所の手続きに必要な資料を準備できるか

相談前に確認したい6項目

任意整理で元金や支払総額がどうなるかは、借金額だけでは判断できません。相談前に、分かる範囲で次の内容を確認してください。

  1. 借入先と現在の残高
  2. 借入れを始めた時期
  3. 現在の金利と毎月の返済額
  4. 過去に完済して再度借りたことがあるか
  5. 手取り収入と毎月の固定費
  6. 住宅ローン、車、保証人付きの契約の有無

資料が全部そろっていなくても相談できます。カードや明細が見つからないことを理由に、返済が苦しい状態を放置しないようにしましょう。

よくある質問

任意整理をすれば元金は必ず減りますか?

いいえ。一般的には、利息制限法で計算し直して確定した残元金を返済します。過去に上限金利を超えて支払っていた場合などは元金が減る可能性がありますが、取引履歴によって異なります。

古くから借りていれば過払金がありますか?

古い契約というだけでは判断できません。当時の金利、借入れと返済の履歴、途中完済の有無などを確認して計算する必要があります。

任意整理では将来利息が必ずゼロになりますか?

必ずではありません。将来利息を付けない和解を目指しますが、債権者の方針、取引期間、返済回数などによって条件は異なります。

一括返済なら元金を減らしてもらえますか?

元金の一部免除を含む和解が成立する場合もありますが、債権者に応じる義務はなく、減額を保証することはできません。生活資金を失うような一括返済は避け、総合的に判断してください。

任意整理で返済できない場合は自己破産しかありませんか?

自己破産だけではありません。継続的な収入があり、減額後の金額を返済できる場合は、個人再生を検討できることがあります。財産や保証人への影響も含めて比較します。

まとめ|元金の減額より、完済できる返済計画が重要

任意整理では、確定した借金を返済するのが一般的です。ただし、利息制限法による再計算で、元金が減る場合があります。

元金が減らなくても、将来利息や遅延損害金の減免、分割回数の見直しによって、支払総額と毎月の負担を軽くできる可能性があります。

大切なのは、広告上の減額率ではなく、手続費用と生活費を含めても完済できるかです。残った借金を3年から5年で返すことが難しい場合は、個人再生なども比較しましょう。

借金問題の無料相談

横濱つきあかり法務事務所では、任意整理を含む借金問題の無料相談を受け付けています。

「自分の借金がいくら残るのか知りたい」

「利息がなくなれば返済できるか計算したい」

「任意整理と個人再生のどちらが合うか分からない」

このような段階でもご相談いただけます。

司法書士が借入先、残高、収入、生活費を確認し、任意整理後の月額と他の手続きを比較してご説明します。まだ延滞していない方も、返済のために再び借りる前にご相談ください。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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