任意整理をすると賃貸住宅を追い出される?契約更新・引っ越し・家賃保証会社への影響を司法書士が解説
「任意整理をすると、今住んでいる賃貸住宅を追い出されるのではないか」
「転勤で引っ越す予定があるが、入居審査に通らなくなるのだろうか」
このような不安から、返済が苦しくても相談をためらっていませんか。
結論からいうと、家賃を契約どおり支払っている限り、任意整理をしたことだけで現在の賃貸住宅から直ちに退去させられるのが一般的とはいえません。任意整理をすると、大家や管理会社へ自動的に通知される制度もありません。
ただし、家賃を滞納している場合、家賃をクレジットカードで支払っている場合、信販系の家賃保証会社を利用する場合などは注意が必要です。新たに部屋を借りるときは、保証会社や支払方法によって審査へ影響する可能性もあります。
この記事では、現在の部屋に住み続ける場合と、新しく賃貸契約を結ぶ場合に分けて、任意整理の影響と事前に確認したいことを解説します。
この記事でわかること
- 任意整理だけで賃貸住宅を退去させられるのか
- 現在の賃貸契約を更新するときの注意点
- 任意整理後に引っ越しや新規契約ができるか
- 家賃保証会社・カード払いが関係するケース
- 住まいを守りながら任意整理を進める準備
任意整理をしただけで賃貸住宅を追い出されるわけではない
任意整理は、裁判所を利用せず、司法書士などがカード会社や消費者金融と返済条件を話し合う手続きです。
対象となるのは、原則として借入先との金銭の支払いです。家賃を滞納しておらず、賃貸借契約に違反していなければ、任意整理をしたことだけを理由に賃貸契約が当然に終了するものではありません。
司法書士が任意整理を受任しても、通常、大家や管理会社へ連絡することはありません。信用情報機関に返済状況などが登録されても、大家が自由にその情報を確認できる仕組みではありません。
そのため、今の住まいを維持したまま、カードローンやリボ払いだけを任意整理できる可能性があります。
ただし、賃貸契約や保証契約の内容は一律ではありません。契約書に記載された家賃の支払方法、保証会社、更新条件を確認することが大切です。
関連記事:任意整理のメリット・デメリットと手続きの流れ
現在の賃貸住宅に住み続けるときの4つの注意点
1.家賃は任意整理後も支払い続ける
家賃は、生活を維持するために必要な支出です。カードローンなどを任意整理する場合でも、今後の家賃は契約どおり支払い続けます。
「債務整理をするから家賃も払わなくてよい」ということではありません。家賃の滞納が続けば、任意整理とは別の理由で、保証会社から請求を受けたり、賃貸契約の解除や明渡しを求められたりする可能性があります。
返済と家賃の両方が苦しいときは、まず住居費と生活費を確保したうえで、借金の解決方法を検討する必要があります。自分の判断だけで支払いを止めず、次の返済日と家賃の支払日を司法書士へ伝えてください。
2.家賃のクレジットカード払いを確認する
家賃を任意整理の対象となるクレジットカードで支払っている場合、そのカードが利用できなくなり、家賃を決済できなくなる可能性があります。
カード払いが止まっても家賃の支払義務は残ります。受任通知を送る前に、口座振替や振込みなど別の支払方法へ変更できるか、管理会社へ確認しておくと安心です。
変更の連絡をするときに、任意整理の事実まで詳しく説明する必要があるとは限りません。「支払方法をカード払いから口座振替など別の方法へ変更したい」と相談してみてください。
他にも、電気、ガス、水道、携帯電話、保険料などを同じカードで払っている場合も、あわせて支払い方法を変更しましょう。
関連記事:任意整理をするとクレジットカードは使えなくなる?
3.家賃保証会社への滞納がないか確認する
家賃を滞納し、保証会社が大家へ立替払いをしている場合、保証会社から入居者へ請求されることがあります。この立替分を任意整理でどのように扱うかは、契約内容や滞納状況によって異なります。
家賃保証会社を任意整理の対象にすると、現在の賃貸契約や更新へ影響する可能性があります。受任通知を送る前に、賃貸借契約書、保証委託契約書、督促状を司法書士へ見せてください。
保証会社の名前が分からない場合は、契約時の書類や家賃の引落し名義を確認します。
関連記事:任意整理は一部の借入先だけでもできる?
4.更新料・保証更新料も家計に入れる
毎月の家賃は払えていても、賃貸契約の更新料、火災保険料、家賃保証会社の更新料が重なると、一時的な負担が大きくなります。
任意整理後の返済額を決めるときは、年に1回または2年に1回の支出も月割りにして準備しましょう。
たとえば、2年ごとに更新関係で12万円かかるなら、単純計算では毎月5,000円を積み立てる必要があります。この積立てを考えず返済可能額の全額を和解後の返済に回すと、更新時に再び借入れへ頼ることになりかねません。
任意整理後でも賃貸契約の更新はできる?
現在の部屋の更新についても、家賃を遅れずに払い、契約上の問題がなければ、任意整理だけで必ず更新できなくなるとはいえません。
一方、更新時に保証会社の再審査やクレジットカードの更新を求められる契約では、審査結果やカード停止の影響を受ける可能性があります。
更新案内が届いたら、次の点を確認してください。
- 現在の保証会社を継続するのか
- 更新時に改めて審査が行われるのか
- 家賃の支払いが指定カードに限られていないか
- 更新料や保証更新料はいくらか
- 連帯保証人の変更が必要か
審査基準は管理会社や保証会社によって異なります。任意整理をすれば必ず更新できる、または必ず更新できないと一律には判断できません。
更新時期が近い方は、相談時に契約書と更新案内を持参すると、事前に確認すべき点を整理しやすくなります。
任意整理後に引っ越し・新規の賃貸契約はできる?
任意整理後も、新しい賃貸住宅へ申し込むこと自体はできます。
ただし、入居審査では収入、勤務状況、家賃と収入のバランス、過去の家賃滞納、保証会社の審査などが確認されます。どの情報を利用するかは、貸主、管理会社、保証会社によって異なります。
特に、クレジットカード会社や信販会社と関係する保証サービスでは、信用情報が審査に影響する可能性があります。一方、すべての家賃保証会社が同じ審査方法を採用しているわけではありませんので、申し込みをしようとしている保証サービスについて事前に確認することをおすすめします。
一つの物件や保証会社の審査に通らなかったからといって、すべての賃貸住宅を借りられないと決まったわけではありません。不動産会社へ、別の保証会社を利用できる物件、連帯保証人を立てられる物件、保証制度が異なる物件がないか確認する方法があります。
転勤や結婚で引っ越す予定がある場合
近いうちに引っ越しが決まっている方は、任意整理を始める前に次の予定を司法書士へ伝えてください。
- 引っ越しの予定時期
- 希望する家賃
- 初期費用の見込み
- 保証会社や指定カードの有無
- 敷金・礼金・仲介手数料を現金で用意できるか
任意整理後は、新たな借入れやクレジットカードの利用が難しくなる可能性があります。引っ越し費用をカードやローンに頼る計画ではなく、現金で準備できる範囲を確認しましょう。
賃貸への影響を抑えて任意整理するための準備
住まいへの影響が心配な方は、相談前に次の資料を分かる範囲で準備してください。
- 賃貸借契約書
- 家賃保証会社との契約書
- 家賃の支払履歴が分かる通帳や明細
- 家賃を支払っているクレジットカードの情報
- 更新案内や保証会社からの書面
- 給与明細と毎月の生活費
資料がすべてそろっていなくても相談できます。大切なのは、カードの受任通知を送る前に、家賃の支払方法と保証関係を確認することです。
毎月の手取り収入があっても、家賃を払った後の生活費をカードで補っている場合、返済を続けるほど借金が増える可能性があります。
家賃、生活費、更新費用の積立てを確保し、その残りから継続できる返済額を計算しましょう。任意整理で返済が難しい場合は、個人再生や自己破産も含めて比較します。
関連記事:任意整理の返済期間は3年・5年のどちらになる?
よくある質問
-
任意整理をしたら大家に連絡がいきますか?
-
通常、任意整理を依頼したことを司法書士から大家へ連絡することはありません。ただし、大家や管理会社、家賃保証会社に対する滞納分があり、それを手続きの対象として扱う場合は影響を確認する必要があります。
-
任意整理をすると賃貸契約を解除されますか?
-
任意整理をしたことだけで賃貸契約が当然に解除されるわけではありません。家賃滞納や契約違反がある場合は別の問題になるため、借金の返済より先に住居費を含む家計を整理しましょう。
-
家賃を払っているカードを任意整理できますか?
-
任意整理の対象にすることは検討できますが、そのカードで家賃を払えなくなる可能性があります。受任通知を送る前に、口座振替や振込みなどへ変更できるか確認してください。
-
任意整理後はどの家賃保証会社にも通りませんか?
-
すべての保証会社に通らなくなるとは限りません。審査方法や参照する情報は会社によって異なります。申込み先の不動産会社へ、利用できる保証会社や別の物件について相談してください。
-
引っ越してから任意整理した方がよいですか?
-
引っ越し時期、現在の返済状況、初期費用、保証会社によって判断が変わります。無理に返済を続けて滞納や裁判へ進む方が不利益になる場合もあるため、順番を自己判断せず、予定を司法書士へ伝えて相談してください。
まとめ|家賃の支払方法と保証会社を確認してから進めましょう
任意整理をしたことだけで、現在の賃貸住宅から直ちに退去させられるわけではありません。家賃を契約どおり支払っていれば、そのまま住み続けられる可能性があります。
ただし、次の場合は事前確認が必要です。
- 家賃を任意整理するクレジットカードで払っている
- 家賃を滞納し、保証会社が立替払いをしている
- 契約更新時に保証会社の再審査がある
- 任意整理後に新しい賃貸住宅へ引っ越す予定がある
- 引っ越し費用をカードやローンに頼る予定がある
横濱つきあかり法務事務所では、借金問題の無料相談を受け付けています。借入先、収入、家賃、保証会社、引っ越し予定を確認し、住まいを維持しながら返済を立て直せる方法を検討します。
まだ延滞していない段階でもご相談いただけます。家賃や生活費を確保できなくなる前に、LINE・電話・お問い合わせフォームからご相談ください。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。




