借金返済のために別のカードから借りている方へ|自転車操業を止める債務整理の判断基準を司法書士が解説
「今月のカード代を払うために、別のカードでキャッシングをした」
「給料が返済でなくなり、生活費をカードローンで補っている」
「延滞はしていないけれど、借りなければ返済できない」
このような状態になっていませんか。
結論からいうと、借金返済のために別のカードや消費者金融から借りる状態が続いている場合、すでに自転車操業に陥っている可能性があります。
返済日に間に合っていても、借金で借金を返している限り、家計が改善しているとはいえません。
借入限度額に達したり、急な出費が重なったりすると、一気に返済できなくなることがあります。
ただし、早い段階で借金総額と毎月の返済可能額を整理すれば、任意整理や個人再生などによって、自転車操業を止められる可能性があります。
この記事では、借金の自転車操業が危険な理由と、任意整理・個人再生・自己破産を判断する目安について、司法書士が分かりやすく解説します。
借金の自転車操業とは
借金の自転車操業とは、借金の返済や生活費を補うために、新たな借入れを繰り返している状態です。
たとえば、次のようなケースが該当します。
- A社のカードローンを返すためにB社から借りる
- クレジットカードの支払いをキャッシングで用意する
- 給料を返済に使い、足りない生活費をカードローンから借りる
- ボーナスで借金を減らしても、翌月からまた借りる
- リボ払いの返済後、空いた利用枠をすぐに使う
- おまとめローンの返済を別の借入れで補う
返済期日に遅れていないため、「まだ大丈夫」と考えてしまう方もいます。
しかし、新たな借入れがなければ返済や生活が成り立たない状態は、家計だけでは借金を返せていない状態です。
延滞が始まる前に、返済方法そのものを見直す必要があります。
借金返済のために借りる状態が危険な理由
借金の総額がなかなか減らない
毎月返済していても、その返済資金を別の借入れで用意しているのであれば、借金全体はほとんど減りません。
たとえば、A社へ3万円返済した後、生活費が足りずにB社から3万円借りれば、借入先が変わっただけです。
さらに、カードローンやキャッシングには利息がかかります。
返済額の一部が利息に充てられるため、新たな借入れを続けるほど、元金が減りにくくなります。
利用できる限度額はいずれなくなる
カードローンやキャッシングには利用限度額があります。
最初は返済した分だけ再び借りられても、利息や追加利用によって残高が増えると、空いている利用枠は少なくなります。
また、借入状況や返済状況によっては、カード会社や貸金業者が利用限度額を引き下げたり、新たな利用を停止したりすることもあります。
これまで借りられていたからといって、今後も借りられるとは限りません。
急な出費で返済が止まる可能性がある
自転車操業中の家計には、ほとんど余裕がありません。
次のような出費が一つ発生しただけでも、返済できなくなる可能性があります。
- 病気やけがによる収入減少
- 車検や自動車の修理代
- 家電製品の故障
- 子どもの教育費
- 税金や保険料の支払い
- ボーナスの減額
- 家賃や物価の上昇
返済を続けられているように見えても、実際には非常に不安定な状態です。
借金の全体像が分からなくなる
複数のカードローンやクレジットカードを利用すると、借金の全体像を把握しにくくなります。
毎月の最低返済額だけを確認し、借金総額や完済予定日を見ていない方も少なくありません。
「毎月払えているか」だけではなく、次の項目を確認する必要があります。
- 借入先は何社あるか
- 借金総額はいくらか
- 毎月いくら返済しているか
- 利息はいくら支払っているか
- 新たな借入れはいくらあるか
- 完済まで何年かかるか
借金総額をすぐに答えられない場合は、一度すべての借入れを整理した方がよいでしょう。
自転車操業を疑うべき7つのサイン
次のうち一つでも当てはまる場合は、返済計画を見直すタイミングです
- 借金返済のために別の会社から借りている
- 給料日の直後にお金がほとんど残らない
- 返済後に空いたカードの利用枠をすぐ使っている
- 毎月、最低返済額しか払えていない
- ボーナスがなければ返済を続けられない
- 借入先やクレジットカードの枚数が増えている
- 借金総額や完済時期を把握できていない
「まだ一度も延滞していない」という理由だけで、問題がないとはいえません。
むしろ、延滞前であれば、勤務先や家族への影響を抑えながら解決方法を検討しやすくなります。
自転車操業を止めるために今すぐ確認すること
借金の一覧を作る
まずは、すべての借入先を書き出します。
次の情報を一覧にしてください。
- 借入先の名称
- 現在の残高
- 毎月の返済額
- 返済日
- 金利
- 保証人の有無
- 住宅ローンや自動車ローンの有無
正確な残高が分からない場合は、会員ページ、利用明細、請求書、信用情報などから確認します。
最初から完璧な資料をそろえる必要はありません。
分かる範囲だけでも書き出すと、現在の状況が見えやすくなります。
毎月の返済可能額を計算する
次に、借金返済に使える金額を確認します。
手取り収入から、次のような生活費を差し引きます。
- 家賃や住宅ローン
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 保険料
- 税金
- 教育費
- 車の維持費
- 医療費
- 日用品費
ここで重要なのは、借入れをしなくても返済できる金額がいくらなのかを確認することです。
ボーナスや臨時収入を前提にせず、通常の給料だけで毎月いくら払えるかを確認しましょう。
返済のための追加借入れを続けない
目の前の返済日を乗り切るために追加で借りると、一時的に延滞を避けられるかもしれません。
しかし、借金総額と翌月以降の返済負担は増えます。
特に、新たな消費者金融への申込みや、クレジットカードの現金化などによって解決しようとすることは避けるべきです。
ただし、何の準備もせずに支払いを止めると、督促や一括請求につながる可能性があります。
返済日が迫っている場合は、自分だけで判断せず、早めに司法書士などへ相談してください。
おまとめローンだけで判断しない
複数の借金を一本化すると、毎月の返済額が下がることがあります。
一方で、返済期間が長くなり、支払う利息の総額が増えることもあります。
すでに借金返済のために借りている方は、おまとめローンだけでなく、任意整理・個人再生・自己破産も比較することが大切です。
自転車操業を解決する債務整理の判断基準
借金問題の主な解決方法には、任意整理・個人再生・自己破産があります。
どの手続きが適しているかは、借金総額だけでは決まりません。
毎月の返済可能額、収入、財産、住宅ローン、保証人の有無などを総合的に確認する必要があります。
借金を3年程度で返済できるなら任意整理
任意整理は、裁判所を利用せず、借入先と今後の返済方法を交渉する手続きです。
将来利息のカットや返済期間の見直しについて交渉し、毎月の返済負担を軽くできる可能性があります。
ただし、必ず利息がすべてカットされるわけではありません。
対応や和解条件は借入先によって異なります。
任意整理が適している可能性があるのは、次のような方です。
- 安定した収入がある
- 将来利息を抑えれば返済できる
- 借金を3年程度で返済できる
- 住宅ローンや自動車ローンを債務整理の対象から外したい
- 裁判所を使わずに解決したい
任意整理は裁判所を利用せず、認定司法書士などが債務額(借金額)を調査し、債権者(借入先)と分割返済などを交渉する手続きです。
任意整理の返済額を確認する簡単な方法
任意整理が可能かを考えるときは、借金を36回(3年の均等分割)で割ってみます。
たとえば、将来利息を除いた借金を36回で返済すると仮定した場合の目安は、次のとおりです。
- 借金100万円:約28,000円
- 借金200万円:約56,000円
- 借金300万円:約84,000円
- 借金400万円:約120,000円
- 借金500万円:約140,000円
実際には、借入先の対応、返済期間、経過利息、手続費用などによって金額が変わります。
それでも、この金額を毎月の収入だけで継続して払えるかどうかは、重要な判断材料になります。
任意整理では返済できない場合は個人再生
個人再生は、裁判所へ申立てを行い、法律上の基準に従って借金を減額し、原則として3年間の均等分割で返済する手続きです。
任意整理では借金を返しきれないものの、借金が減額されれば返済を続けられる方に適している可能性があります。
個人再生を利用するには、将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあり、無担保債務の総額が5,000万円以下であることなどが必要です。
裁判所に認可された再生計画どおりに返済すると、原則として残りの債務の免除を受けられます。
一定の条件を満たせば、住宅ローンを支払いながら自宅を残せる可能性もあります。
一方で、任意整理とは異なり、原則として一部の借入先だけを自由に除外することはできません。
保証人がいる借金や自動車ローンがある場合は、事前に影響を確認する必要があります。
減額後も返済できない場合は自己破産
自己破産は、裁判所へ申立てを行い、免責許可を受けることによって、原則として借金の返済義務の免除を目指す手続きです。
次のような場合は、自己破産を検討することがあります。
- 収入から生活費を引くと返済原資が残らない
- 任意整理の返済額を払えない
- 個人再生で減額されても返済が難しい
- 収入の減少が長期間続く見込み
- 借金総額が収入に比べて大きすぎる
自己破産をすると、一定以上の財産を手放す可能性があります。
また、税金、社会保険料、養育費など、免責されない支払いもあります。
「自己破産だけは避けたい」という希望は大切ですが、返済できる見込みがないまま借入れを続けると、かえって借金が増えてしまいます。
また、返済が出来ない状況が続いた結果、裁判をおこされ差し押さえが始まる危険も出てきます。
「自己破産」という手続きの名前やイメージだけで決めず、自分の生活再建に適した方法を選ぶことが重要です。
任意整理か個人再生かを判断する目安
任意整理と個人再生で迷ったときは、次の順番で考えます。
1.借金の残額を確認する
まず、カードローン、消費者金融、リボ払い、キャッシングなどの残高を合計します。
2.毎月の返済可能額を確認する
ボーナスや追加借入れを使わず、通常の収入だけで毎月継続して払える金額を計算します。
3.借金を3年程度で返済できるか確認する
借金を36回(3年の均等分割)で割った金額を無理なく払えるなら、任意整理を検討できる可能性があります。
払えない場合は、個人再生による減額を検討します。
4.減額後の返済も難しいか確認する
個人再生をしても継続的な返済が難しい場合は、自己破産が現実的な選択肢になることがあります。
司法書士が債務整理の手続きを選ぶ際には、依頼者の経済的利益を考慮し、個人再生や自己破産が適切な場合に、安易に(返済が困難な状況にあることが分かっていながら)任意整理を選択してはならないとする指針も示されています。
延滞していなくても司法書士に相談できます
債務整理の相談は、延滞してからでなければ受けられないものではありません。
次のような段階でも相談できます。
- 今月は払えるが、来月以降が不安
- 借金返済のために借り始めた
- ボーナスで何とか返済している
- 借入限度額が残り少ない
- 返済後に生活費が残らない
- 任意整理と個人再生のどちらが良いか分からない
早い段階で相談することで、借金や家計を整理し、延滞や裁判になる前に解決方法を検討しやすくなります。
司法書士に相談するメリット
司法書士へ相談することで、次のようなサポートを受けられます。
- 借金総額や返済状況を整理できる
- 毎月の返済可能額を確認できる
- 任意整理・個人再生・自己破産を比較できる
- 住宅や車、保証人への影響を確認できる
- 手続きに必要な書類や流れを確認できる
司法書士などが貸金業者へ受任通知を送り、貸金業者が債務整理の受任を知った場合、正当な理由なく本人へ直接返済を要求する行為(電話や書面、メールなどによる督促行為)は貸金業法によって規制されています。
※裁判所からの書面は対応が異なります。
なお、個人間の借入れには同じ取扱いがそのまま適用されないことがあります。
借金の自転車操業に関するよくある質問
一度でも借りて返したら債務整理が必要ですか?
一度借りて返しただけで、必ず債務整理が必要になるわけではありません。
ただし、翌月以降も同じことを繰り返す見込みがある場合は注意が必要です。
借入れをしなくても生活費と返済資金を用意できるか確認してください。
延滞していなくても任意整理できますか?
延滞前でも任意整理の相談は可能です。
むしろ、借入先が増える前や、借入限度額に達する前に相談した方が、選択肢を検討しやすい場合があります。
自転車操業でもおまとめローンを利用できますか?
審査に通れば利用できる可能性はあります。
ただし、借金総額が減るわけではありません。
返済期間が長くなり、支払う利息の総額が増えることもあるため、債務整理と比較して判断する必要があります。
任意整理をするとすべての借金が対象になりますか?
任意整理では、状況に応じて交渉する借入先を選ぶことがあります。
ただし、一部を対象から外した結果、残った借金の返済が続けられなければ、根本的な解決になりません。
住宅ローン、自動車ローン、保証人付きの借金、銀行口座と関係する借入れがある場合は、事前に影響を確認しましょう。
家族や勤務先に知られずに相談できますか?
司法書士への相談だけで、家族や勤務先へ連絡が行くわけではありません。
ただし、手続きの種類、郵便物、保証人、勤務先からの借入れ、給料の差押えなどによっては、知られる可能性があります。
家族や会社に知られたくない事情がある場合は、最初の相談時に伝えてください。
まとめ|借りて返すを繰り返す状態は延滞前でも相談のタイミングです
借金返済のために別のカードや消費者金融から借りる状態は、自転車操業が始まっているサインです。
返済日に間に合っていても、新たな借入れがなければ返済できない状態を続けることは危険です。
まずは、借金総額と毎月の返済可能額を確認してください。
借金を3年程度で返済できるなら任意整理、任意整理では返済できないものの減額されれば払える場合は個人再生が検討候補になります。
減額後の返済も難しい場合は、自己破産を含めた検討が必要です。
自転車操業は、借入限度額に達してからではなく、借りて返している段階で止めることが大切です。
借金返済のために借り入れを続けている方は無料相談をご利用ください
横濱つきあかり法務事務所では、借金問題・債務整理に関する無料相談を受け付けています。
「まだ延滞していないので相談して良いか分からない」
「借金総額を正確に把握できていない」
「任意整理と個人再生のどちらが合うか知りたい」
このような段階でもご相談いただけます。
LINEでご相談いただく際は、分かる範囲で次の内容をお送りください。
- 借入先の数
- おおよその借金総額
- 毎月の返済額
- 毎月の手取り収入
- 住宅ローンや自動車ローンの有無
資料がすべてそろっていなくても構いません。
現在の状況を整理し、生活を立て直すために考えられる方法をご案内します。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。





