自己破産前にやってはいけない7つのこと|財産移動・一部返済・新たな借入れの注意点

自己破産を考え始めたら、財産を家族名義へ移す、家族や勤務先だけに返済する、クレジットカードで商品を買って換金するといった行動は避けてください。

これらは、免責の判断や破産管財人による調査に影響し、手続きが長引いたり、追加の説明や裁判所費用が必要になる可能性があります。

一方、家賃や光熱費などの生活費まで直ちに止める必要があるとは限りません。何を支払い、どの財産を動かしてはいけないかは、借入先や家計によって異なります。

この記事では、自己破産の申立て前にやってはいけない7つのこと、迷った時の対応を司法書士が分かりやすく解説します。

横濱つきあかり法務事務所

自己破産前にやってはいけない7つのこと

1.預金や財産を家族名義へ移す

「家族の生活を守りたい」「この車だけは残したい」と考え、預金、自動車、不動産、保険などの名義を家族へ変えることは避けてください。

名義を変えても、実質的に本人の財産であれば調査対象になります。また、無償または不当に安い価格で財産を譲ると、その移転を取り消すよう求められたり、免責の判断で問題になったりする可能性があります。

家族名義の口座へ給料や貯金を移すことも同様です。財産を隠す意図がなかったとしても、通帳履歴から経緯を裁判所へ説明しなければなりません。

申立て前に財産を売却や処分する必要がある場合は、先に専門家へ相談をし、適正な価格と売却代金の使い道を記録するなど、状況に合わせて自己破産の免責に影響が出ない方法を確認しましょう。

2.家族・知人・勤務先だけに返済する

お世話になった家族や知人、勤務先からの借入れだけは先に返したい(破産に含めたくない)と思うかもしれません。

しかし、返済が難しくなった後に特定の債権者だけへ返済すると、債権者を平等に扱っていないとして裁判所より問題視されることがあります。このような返済は、後から破産管財人によって取り戻しの対象(金額を戻すよう破産管財人から返済をした相手に連絡が入り回収される)となる可能性もあります。

勤務先からの社内貸付や共済借入れも、原則として債権者一覧表へ記載します。会社へ知られたくないからといって、借入れ自体を隠したりせず、どうしたら良いかを専門家へ相談しましょう。

3.返せないと分かりながら新たに借りる

自己破産の費用や生活費を準備するために、新しいカードローンやキャッシングを利用するのは避けてください。

すでに返済できないと認識しながら、収入や借入状況について事実と異なる申告をして借りると、免責の判断に影響する可能性があります。なお、専門家への依頼や裁判所へ申し立てする直前の借入れは、使い道や当時の返済見込みについて詳しい説明を求められます。※返せないと分かったうえで借り入れをしたことが、借入先を騙したと裁判所にみなされることがあるためです。

「あと1回だけ借りれば給料日まで持つ」という状態は、急いで債務整理の相談をした方が良い目安です。新しい借入れで時間を延ばす前に、家計と支払いの優先順位を整理しましょう。

4.クレジットカードで買った商品を換金する

クレジットカードで商品券、家電、ブランド品などを購入し、すぐに売却して現金を作る行為「カードの現金化」は避けてください。

手元に入る金額は購入代金より低くなることが多く、借金をさらに増やすことに繋がります。カード会社に商品代金を支払わないまま換金しているため、裁判所が免責の判断をする際に問題になります。

後払い決済や携帯電話のキャリア決済を使った換金も、同じような問題が生じる可能性があります。すでに行ってしまった場合は、隠さず、購入日・商品・売却額・使い道を相談時に伝えてください。

5.財産・借金・収入を申告しない

自己破産では、すべての債権者と財産を正確に申告することが重要です。

使っていない銀行口座、ネット銀行、暗号資産、保険の解約返戻金、退職金の見込額、家族へ貸しているお金なども確認対象になります。残高が少ない口座や、忘れていた借入先も勝手に省いてはいけません。

裁判所へ提出する通帳や取引履歴と申告内容が合わない場合、追加資料や説明を求められます。分からない借入先は信用情報や郵便物で確認し、思い出せる範囲から整理しましょう。

6.退職金を受け取り、急いで使う

自己破産のために会社を辞める必要は通常ありません。

在職中の退職金請求権も財産として評価される可能性がありますが、退職して現金化すると、預金や現金として扱われる部分が増えることがあります。手続の見通しを確認せず退職金を受け取り、借金返済や高額な買物へ使うことは避けましょう。

また、会社へ退職金見込額証明書を頼みたくない場合は、退職金規程や給与資料などで計算できることもあります。勤務先へ証明書を依頼する前に専門家へ相談をし、必要な資料を確認してください。

7.裁判所や債権者からの書類を放置する

督促状、支払督促、訴状、差押命令などを放置しても、手続きは自動的に止まりません。

給与差押えが始まると、勤務先へ裁判所から書類が届きます。また、判決などを得た債権者は預金の差押えを進めることもあります。

自己破産の相談を始めても、債権者が起こした裁判の期限が自動で延びるわけではありません。届いた書類は封筒ごと保管し、対応期限と内容をすぐに専門家へ相談してください。

生活費や公共料金も払ってはいけない?

自己破産を考えているからといって、家賃、食費、光熱費、通勤費など、生活に必要な支払いをすべて止めるわけではありません。

ただし、滞納分のまとめ払い、高額商品の購入、家族への送金などは、金額や時期によって説明が必要になります。税金や社会保険料は、自己破産による免責の対象にならないため、自治体などへ分納を相談することも検討します。

住宅ローン、自動車ローン、携帯端末の分割代金など、支払いを止めると担保や商品の引き揚げに関係するものもあります。何を払い続けるかを一人で決めず、契約書と支払状況を見せて相談するのが安全です。

既にしてしまったことは隠さず相談する

この記事で挙げた行動をすでにしていても、それだけで必ず自己破産できなくなるとは限りません。

行為の時期、金額、目的、相手、現在の財産状況などによって扱いは異なります。裁判所に事情を説明し、必要な対応を取ることで免責が認められる場合もあります。

大切なのは、都合の悪い事実を隠さないことです。専門家へ相談する直前の借り入れやクレジットカードの利用、通帳の取引履歴の記録は消すことができません。早い段階で正確に相談するほど、必要な資料や今後の解決方法を検討しやすくなります。

自己破産を考えたら先に準備するもの

相談前には、次の資料を分かる範囲で集めてください。

  • 借入先から届いた明細や督促状
  • 給与明細と源泉徴収票
  • 利用している銀行口座の通帳・取引履歴
  • クレジットカードの利用明細
  • 保険、自動車、不動産に関する資料
  • 家計の収入と支出が分かるメモ
  • 裁判所から届いた書類

最初から完璧にそろっていなくても相談できます。資料を集める間に借入れや財産移動を続けるよりも、現状のまま相談して、今後の必要な行動を確認しましょう。

よくある質問

自己破産前は借金を一切返済してはいけませんか?

すべての支払いを直ちに止める必要があると一律に決まるわけではありません。ただし、特定の債権者だけへの返済は問題になる可能性があるため、返済先を自分で選ぶ前に専門家へ相談してください。

家族名義の預金も調べられますか?

本人の収入が家族名義の口座へ入っているなど、実質的に本人の財産と考えられる場合は説明が必要です。状況に応じて同居家族の家計資料を求められることもありますので、ご不安な方は自分の場合はどうなるかを専門家へ相談してください。

申立て前に車を売っても良いですか?

必ずしも売ってはいけない訳ではありませんが、裁判所へ説明を求められるため、適正価格で売却し、代金の使い道を明確にする必要があります。不当に安く家族へ譲ることや、代金を隠すことは避け、売却前に相談してください。

クレジットカードの現金化をしてしまうと免責されませんか?

直ちに免責されないと決まるわけではありません。回数、金額、時期、使途などを踏まえて判断される(お金に困って知らずに一回だけ現金化してしまった人と、繰り返し、または良くない事と分かったうえで現金化をした人とでは、裁判所の判断は異なる)ため、隠さずに専門家へ相談しましょう。

自己破産前に会社を辞める必要はありますか?

通常、自己破産のためだけに退職する必要はありません。退職金請求権や仕事上の資格制限が関係する場合があるため、退職を決める前に確認してください。

まとめ|自己判断で財産を動かしたり返済先を決めない

自己破産前には、財産の名義変更、家族などへの優先返済、新たな借入れ、カードの現金化、財産の申告漏れなどを避ける必要があります。

良かれと思った行動でも、免責や財産調査に影響する可能性があります。一方、既に行ってしまったことがあっても、事情によっては対応できる場合があります。

横濱つきあかり法務事務所では、借入れ、家計、財産、直近の取引を確認し、自己破産・個人再生・任意整理のどの方法が適しているかを整理します。

まだ返済を続けている段階でも相談できます。財産を動かしたり、新たに借りたりする前に、無料相談をご利用ください。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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