相続人の一人と連絡が取れない時はどうする?遺産分割・相続登記を進める方法を司法書士が解説

「疎遠になった兄弟と連絡が取れず、実家の相続登記ができない」

「戸籍で相続人が見つかったが、一度も会ったことがない」

このような場合でも、その相続人を除外して遺産分割協議を進めることはできません。

遺産分割協議は、原則として相続人全員の参加と合意が必要です。一人でも欠けたまま作成した遺産分割協議書は、相続登記や預貯金の解約に使えない可能性があります。

ただし、戸籍や住民票の調査、丁寧な手紙、家庭裁判所の手続きを順番に検討することで、相続手続きを前へ進められる場合があります。

この記事では、相続人と連絡が取れないときの確認方法と、状況別の対応を司法書士が分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 相続人を一人除外して協議できない理由
  • 戸籍や戸籍の附票で住所を確認する方法
  • 返事がない場合と所在不明の場合の違い
  • 遺産分割調停や不在者財産管理人を検討する場面
  • 相続登記の義務化との関係
横濱つきあかり法務事務所

相続人の一人と連絡が取れなくても勝手に分けられない

遺言書がなく、相続人同士の話し合いで財産を分ける場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。

多数決ではありません。相続人が4人いる場合、3人だけで合意しても、通常は有効な遺産分割協議として手続きを進められません。

連絡が取れない方の相続分を他の相続人だけで決めたり、本人に代わって署名・押印したりすることも避けてください。

まず相続人を正確に確定する

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集め、法律上の相続人を確定します。

家族が把握していなかった前婚の子や、既に亡くなった子の代襲相続人が見つかることもあります。

「長年会っていないから相続人ではない」、「財産を受け取らないと言っていた」という事情だけで、相続人から外れるわけではありません。

連絡先が分からない場合は住所調査から始める

電話番号やメールアドレスが分からなくても、戸籍から現在の住所を確認できる場合があります。

一般的には、相続関係を示す戸籍をたどり、本籍地の市区町村で戸籍の附票などを取得して住所を確認します。

戸籍や戸籍の附票には請求できる人や目的の条件があります。相続手続きのために必要な場合は、関係を示す戸籍や本人確認書類などを求められます。

司法書士へ相続登記などを依頼した場合、必要な範囲で職務上請求により戸籍等を収集できることがあります。

最初の連絡は感情的にならない文面で

住所が分かったら、まずは書留や特定記録など配達状況を確認できる方法で手紙を送ることを検討します。

手紙には次の内容を簡潔に記載します。

  • 誰が亡くなり、相続が発生したか
  • 連絡した人と亡くなった方との関係
  • 主な相続財産として把握しているもの
  • 遺産分割について話し合いたいこと
  • 返信先と連絡方法

最初から分割案への同意や実印の押印だけを求めると、相手が警戒することがあります。財産目録や戸籍上の関係を示し、情報を共有してから話し合うことが大切です。

住所は分かるが返事がない場合

送った手紙が相手に届いているのに返事がない場合と、転居先が分からず所在不明の場合では、対応が異なります。

住所は判明しているものの協議に応じてもらえない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を検討します。

遺産分割調停では、裁判官と調停委員が当事者の事情や希望を聞きながら、合意による解決を目指します。

調停で合意できない場合は、審判へ移行し、裁判所が分割方法を判断することがあります。

司法書士が代理できる範囲に注意

司法書士は、相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図、合意済みの内容に基づく遺産分割協議書作成などを支援できます。

一方、相続人同士の争いについて代理交渉をしたり、家庭裁判所の調停に代理人として出席したりする業務は、原則として弁護士の分野です。

紛争性がある場合は、状況に応じて当事務所から提携する弁護士への相談をご案内します。

相続人の所在が本当に分からない場合

戸籍の附票などを調べても所在が分からない場合、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。

不在者財産管理人は、行方が分からない人の財産を管理する人です。

遺産分割協議に参加するには、選任とは別に家庭裁判所の権限外行為許可が必要になるのが一般的です。

申立てには、不在を示す資料、不在者の財産に関する資料、候補者に関する資料などが必要になります。また、管理費用に充てる予納金を求められる場合があります。

手続きの要否や費用は事案によって異なるため、家庭裁判所または専門家へ事前に確認しましょう。

長期間生死不明なら失踪宣告が問題になることもある

長期間にわたり生死が分からない場合は、失踪宣告という制度が検討されることもあります。

一般の失踪は、原則として7年間、生死が明らかでない場合が対象です。ただし、失踪宣告は法律上死亡したものとみなす重大な手続きであり、単に連絡が取れないだけで利用する制度ではありません。

不在者財産管理人と失踪宣告のどちらが適切かは、所在不明の期間や事情、進めたい相続手続きによって変わります。

連絡が取れない間も相続登記の期限に注意

不動産を相続したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することが原則として義務付けられています。

遺産分割がまとまらず、期限までに最終的な名義を決められない場合は、法定相続分による相続登記や相続人申告登記を検討できる場合があります。

相続人申告登記は、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度です。ただし、最終的な遺産分割の結果を反映する登記そのものではありません。

遺産分割が成立した後は、その内容に応じた登記を改めて申請する必要があります。

放置すると起こりやすい問題

連絡が取れない相続人がいるからといって手続きを止めたままにすると、次の問題が起こりやすくなります。

  • 相続登記の義務を期限内に履行できない
  • 預貯金の解約や不動産売却が進まない
  • 固定資産税や建物管理の負担だけが続く
  • 次の相続が発生して相続人がさらに増える
  • 戸籍や住所の調査が複雑になる

実家を売却して介護費用や納税資金に充てたい場合は、特に早めの着手が必要です。

司法書士へ相談すると進めやすいこと

相続人の一人と連絡が取れない場合、司法書士はまず戸籍を確認し、相続人の範囲と住所調査の方法を整理します。

争いがなければ、相続登記、法定相続情報一覧図の作成、遺産分割協議書作成などをまとめて支援できる場合があります。

返事がない、所在不明、話し合いを拒否されているなど、現在の状況に応じて家庭裁判所の手続きや弁護士相談の必要性もご案内します。

よくある質問

連絡が取れない相続人を除いて遺産分割協議書を作れますか?

原則として作れません。遺産分割協議には相続人全員の参加と合意が必要です。相続人調査や家庭裁判所の手続きを検討します。

相続人の住所を司法書士に調べてもらえますか?

相続登記などの依頼に必要な範囲で、戸籍や戸籍の附票を収集できる場合があります。依頼内容と相続関係を確認したうえで判断します。

手紙を無視されたら遺産分割はできませんか?

当事者間の話し合いが難しい場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を検討できます。紛争の代理は弁護士の分野となるため、当事務所では必要に応じて提携する弁護士へ相談します。

行方不明の相続人の代わりに家族が署名できますか?

本人の正式な代理権がない限り、家族が勝手に署名・押印することはできません。所在不明であれば、不在者財産管理人の選任などを検討します。

遺産分割が終わらなくても相続登記の期限を守れますか?

法定相続分による登記や相続人申告登記によって、申請義務を履行できる場合があります。ただし、分割成立後には、その内容を反映する登記が別途必要です。

まとめ|相続人調査から早めに始めましょう

相続人の一人と連絡が取れなくても、その方を除外して遺産分割を進めることはできません。

まず戸籍で相続人を確定し、戸籍の附票などで住所を確認します。返事がない場合は遺産分割調停、所在不明の場合は不在者財産管理人など、状況に合った手続きを選ぶことが大切です。

横濱つきあかり法務事務所では、相続人調査から相続登記、遺産分割協議書の作成まで、司法書士・行政書士の業務範囲に応じてご案内します。

相続登記の期限が迫っている方や、どこから始めればよいか分からない方は、早めに無料相談をご利用ください。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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