債務整理すると賃貸住宅はどうなる?住み続けられるケースと家賃滞納の注意点を司法書士が解説
「債務整理をすると、今のアパートやマンションを出なければならないのでは?」
「家賃を少し滞納しているけれど、自己破産や個人再生をすると住み続けられない?」
このような不安を持つ方は少なくありません。
結論からいうと、債務整理をしたこと自体で、直ちに賃貸住宅を退去しなければならないわけではありません。
ただし、家賃滞納がある場合は別問題です。
滞納が長引くと、契約解除や明渡し請求につながるおそれがあります。
賃貸借契約で問題になるのは、主に家賃不払などの契約上の不履行がある場面だからです。
この記事では、債務整理と賃貸住宅の関係、家賃滞納がある場合の注意点、住まいを守るために早めに確認したいポイントを分かりやすく解説します。
債務整理=賃貸借契約終了(賃貸住宅の退去)ではありません
債務整理には、主に任意整理・個人再生・自己破産があります。
任意整理は債権者と直接話し合って返済方法を決める手続で、個人再生は裁判所を通じて借金を減額し原則3年で返済する手続、自己破産は支払不能の場合に財産を換価・配当したうえで残った債務の免責を目指す手続です。
そして、債務整理をしたという事実だけで、賃貸借契約が当然に終了するわけではありません。
貸主は、契約が解除されるまでは借主に物件を使用・収益させる義務があり、契約解除前に退去や明渡しを求めることはできないと、国土交通省の資料でも説明されています。
つまり、今の住まいを維持できるかどうかは、「債務整理をしたか」よりも、「家賃滞納があるか」「滞納がどの程度進んでいるか」 が重要です。
関連記事:任意整理と個人再生の違いを司法書士が解説👇

家賃滞納がある場合は退去リスクの注意が必要です
一度の払い忘れですぐ退去になるわけではない
家賃を1回払い忘れたからといって、すぐに明渡しになるわけではありません。
家賃滞納が信頼関係を破壊する程度に至らなければ解除はできず、一度家賃を払い忘れたくらいでは明け渡す必要はない とされています。
そのため、1か月だけ遅れてしまった段階であれば、すぐにあきらめる必要はありません。
大切なのは、放置せず、できるだけ早く対応することです。
滞納が続くと契約解除や明渡し請求につながることがある
一方で、滞納が続けば話は変わります。
数か月以上の滞納があり、賃貸人が契約継続を望まない場合には、契約解除と明渡し請求が考えられます。
国土交通省の資料でも、家賃滞納が貸主・借主間の信頼関係を破壊するに至った場合には、貸主は契約を解除できると説明されています。
つまり、家賃滞納がある方は、借金の整理だけでなく、住まいをどう守るかを同時に考えなければならない ということです。
大家さんではなく保証会社から請求が来ることもある
最近の賃貸住宅では、連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用しているケースが多くあります。
国土交通省の資料では、保証会社が保証債務を引き受け、家賃滞納が発生した場合には貸主へ立替払いをし、その後、借主に対して滞納家賃の支払請求(求償)をすると説明されています。
そのため、大家さんからの連絡が止まっても安心はできません。
請求先が保証会社に変わるだけということもあります。
連帯保証人がいる場合は迷惑をかけるおそれがある
賃貸借契約に保証人がいる場合は、保証人に滞納賃料を請求することも考えられます。
家賃を滞納している状態を放置すると、家族や親族などの保証人に請求が及ぶおそれがあります。
そのため、保証人に迷惑をかけたくない方ほど、早めに対応した方がよいケースが多いです。
関連記事:保証人に請求が来たらどうする?連帯保証人の対処法を司法書士が解説👇

敷金があるから大丈夫、とは限りません
「敷金を預けているから、家賃が少しくらい遅れても大丈夫」と考える方もいますが、注意が必要です。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、貸主は債務不履行があれば敷金をその弁済に充てることができる一方、借主は明渡しまでの間、敷金をもって債務の弁済に充てるよう(借りている側から「敷金を滞納家賃に充当してほしい」と)請求することはできないとされています。
また、明渡し時に賃料滞納などがあれば、その分を差し引いて返還するとされています。
つまり、「敷金があるから今月は払わなくていい」という考え方は危険です。
住み続けたいなら、今後の家賃は遅れないようにする必要があります。
債務整理の種類ごとの考え方
任意整理
任意整理は、裁判所を使わず、債権者と直接話し合って返済方法を決める手続です。
家計の状況を見ながら返済方法の見直しを図る手続であり、話し合いがまとまらなければ成立しないこともあります。
賃貸住宅に住み続けたい場合、実務上はどの債務をどう整理するかがとても重要です。
家賃や保証会社への対応を誤ると、住まいの継続に影響することがあります。
家賃滞納があるケースでは、一般的な借金問題より慎重な判断が必要です。
個人再生
個人再生は、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下で、将来継続的な収入が見込まれる人が利用し、原則3年間で分割返済して生活再建を図る手続です。
ここで注意したいのは、個人再生の住宅ローン特則は持ち家のための制度であり、賃貸住宅にそのまま使える制度ではないという点です。
住宅ローン特則は、住宅ローンで取得した自宅土地建物に現実に居住している場合などに限って利用できます。
そのため、賃貸住宅の方は、個人再生を選べば自動的に住まいが守られる、というわけではありません。
家賃滞納があるなら、賃貸借契約の状況を別に確認する必要があります。
自己破産
自己破産は、財産や収入に対して債務が多く、支払うことができない状態にあるときに利用する手続です。
財産がある場合は換価・配当し、残った債務について免責許可を目指します。
自己破産の対象となる債務について、借金だけでなく滞納金等も含めて全体を確認する必要があります。
ただし、自己破産を考える場面でも、家賃滞納が進んでいて契約解除や明渡しの問題が進んでいる場合は、住まいの確保を別に急いで考える必要があります。
借金の整理と、今住んでいる部屋に住み続けられるかは、必ずしも同じ問題ではありません。
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家賃滞納がある方が今すぐ確認したいポイント
契約書・滞納額・通知書を確認する
まず確認したいのは、誰に対していくら滞納しているのかです。
大家さんなのか、管理会社なのか、保証会社なのかで対応が変わることがあります。
賃貸借契約書、保証会社の契約書、督促状、SMS、郵便物はまとめて残しておきましょう。
今後の家賃を最優先にする
今の家に住み続けたいなら、これから発生する家賃をどう払うかが非常に重要です。
家計の見直しをして、通信費や返済額を含めて優先順位を整理しましょう。
借金問題では、借金だけでなく各種未払いや滞納金等も含めた債務全体の把握と、家計全体の把握が重要です。
関連記事:債務整理の費用が払えないときはどうする?分割払い・法テラス・相談の流れを司法書士が解説👇

裁判所から書類が来たら放置しない
家賃について、もし訴状や支払督促など裁判所から書類が届いたら、絶対に放置してはいけません。
訴状が送付されているのに答弁書を提出せず欠席すると、原告の主張が認められて敗訴となるおそれがあります。
「まだ何とかなるだろう」と思って放置した結果、明渡しや差押えの話が一気に進むことがあります。
届いた書類は早めに専門家へ見せることが大切です。
関連記事:訴状が届いたらどうする?無視のリスクと答弁書提出までの流れを司法書士が解説👇

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司法書士に相談するメリット
家賃滞納があるケースでは、単に「自己破産がいい」「任意整理がいい」と決めることできません。
住み続けたいのか、引っ越しも視野に入れるのか、保証人がいるのか、保証会社が入っているのかで、優先順位が変わるからです。
司法書士に相談すると、債務額だけでなく、賃貸借契約の状況、家賃滞納額、保証人への影響、今後の家計まで含めて整理しながら、どの手続が現実的かを判断しやすくなります。
裁判所も、個人再生を選ぶかどうかを含め、専門家のアドバイスを受けることを勧めています。
債務整理をしたからといって、賃貸住宅をすぐに出なければならないわけではありません。
しかし、家賃滞納がある場合は注意が必要です。
特に大切なのは、次の3点です。
- 債務整理の有無より、まず家賃滞納の有無と程度が重要
- 滞納が長引くと、契約解除や明渡し請求につながることがある
- 保証会社や保証人への請求、裁判所からの書類にも早めの対応が必要
「借金は何とかしたいが、今の家はできれば出たくない」
このようなお悩みがある方は、借金問題と住まいの問題を切り分けず、一緒に相談することが大切です。
家賃滞納があるまま債務整理を考えている方は、早めにご相談ください。
債務整理では、借金の金額だけでなく、
- 今の家に住み続けたいか
- 家賃を何か月滞納しているか
- 保証会社や保証人がいるか
- 裁判所から書類が届いていないか
といった事情で、取るべき対応が変わります。
横濱つきあかり法務事務所では、状況を整理したうえで、任意整理・個人再生・自己破産のどれが現実的かをわかりやすくご説明しています。
「まだ相談するほどではないかも」と感じる段階でも、早めの確認が結果的に住まいを守ることにつながることがあります。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

