任意整理をしても車は残せる?自動車ローンを対象から外す方法と注意点を司法書士が解説

「任意整理をしたいけれど、通勤に使っている車は残したい」

「自動車ローンだけは、そのまま支払いを続けられる?」

「任意整理をすると、ローン会社に車を引き上げられるのではないか」

このような不安から、借金の相談をためらっている方は少なくありません。

結論からいうと、任意整理では自動車ローンを交渉の対象から外し、これまでどおり返済を続けることで、車を残せる可能性があります。

任意整理は、裁判所を利用せず、債権者と個別に返済方法を話し合う手続きです。自己破産とは異なり、任意整理をしただけで財産が処分されるわけではありません。

ただし、どのような場合でも自動車ローンを対象から外せるわけではありません。

自動車ローンを除外した結果、ほかの借金を返済できなくなる場合や、ローン会社とクレジットカード会社が同じ場合などは注意が必要です。

この記事では、任意整理をしても車を残せるケース、自動車ローンを対象から外す方法、手続き前に確認すべき注意点を司法書士が分かりやすく解説します。


この記事の結論

任意整理では、自動車ローンを対象から外して支払いを継続し、車を残せる可能性があります。
ただし、車の所有者、ローン契約、返済状況、毎月の家計を確認したうえで判断する必要があります。
◆任意整理の手続きと返済までの流れはこちら

任意整理をしても車は残せる可能性がある

任意整理は、裁判所を通さず、債権者との話し合いによって返済方法を見直す手続きです。

一般的には、将来利息の減免や返済期間の見直しについて交渉し、合意後の金額を3年年程度で返済していきます。

ただし、債権者には交渉に応じる義務がないため、必ず希望どおりの条件になるとは限りません。

任意整理では、次のように整理する借入先を選んで手続きを進めることがあります。

  • 消費者金融だけを任意整理する
  • クレジットカードだけを任意整理する
  • 保証人がいる借金を対象から外す
  • 自動車ローンを対象から外す
  • 住宅ローンを対象から外す

自動車ローンを任意整理の対象から外し、契約どおり返済を続けられれば、車をそのまま使用できる可能性があります。

ただし、自動車ローンを外した後も、ほかの借金を無理なく返済できることが前提です。

任意整理で車を残しやすいケース

自動車ローンを完済している

自動車ローンをすでに完済している場合、任意整理をしたことだけを理由に車を返却する必要は通常ありません。

任意整理は自己破産のように財産を換価する裁判手続きではないからです。

ただし、ローンを完済していても、車検証上の所有者が販売店やローン会社のままになっていることがあります。

この場合は、所有権解除の手続きが終わっているか確認しましょう。

現金で購入した車である

現金で購入し、本人が所有している車であれば、任意整理をしたことだけで車を失うものではありません。

車の価値が高くても、任意整理には個人再生の清算価値保障や、自己破産の換価手続きはありません。

もっとも、高額な車を維持する費用によって借金の返済が難しくなる場合は、家計全体の見直しが必要です。

自動車ローンを任意整理から外して返済を続ける

自動車ローンの支払いに遅れがなく、今後も返済を続けられる場合は、自動車ローン会社を任意整理の対象から外す方法を検討できます。

たとえば、次のような進め方です。

  • 自動車ローンは従来どおり支払う
  • 消費者金融3社だけを任意整理する
  • クレジットカードのリボ払いだけを任意整理する

車が通勤や仕事、家族の通院などに必要な場合は、相談時にその事情を司法書士へ伝えてください。

車に所有権留保が付いていない

ローンの種類によっては、車の所有者が本人になっていることがあります。

たとえば、車両自体に所有権留保が付いていない銀行のマイカーローンなどです。

この場合、ローン会社や販売店が所有者になっているケースとは事情が異なります。

ただし、車検証の名義だけで判断するのではなく、ローン契約書の担保や期限の利益に関する条項も確認する必要があります。

最初に車の所有者を確認する

車を残せるか判断するうえで、最初に確認したいのが「車の所有者」です。

ローンで購入した車は、完済まで信販会社や販売店を所有者とする所有権留保が付いていることが一般的です。

所有者は、次の書類などで確認できます。

  • 車検証
  • 自動車検査証記録事項
  • 車検証閲覧アプリ
  • 自動車ローンの契約書

現在の電子車検証では、券面に所有者情報が記載されない場合があります。

所有者情報は、ICタグを車検証閲覧アプリで読み取るか、自動車検査証記録事項で確認できます。

所有者が本人の場合

所有者欄が本人であれば、販売店やローン会社の所有権留保が付いていない可能性があります。

ただし、ローン契約に別の担保や特別な条項が設けられていることもあるため、契約書も確認しましょう。

所有者がローン会社や販売店の場合

所有者がローン会社や販売店の場合は、所有権留保が付いている可能性が高いと考えられます。

この自動車ローンを任意整理の対象にすると、契約に基づいて車の返還を求められる可能性があります。

車を残したい場合は、自動車ローンを対象から外し、支払いを継続できるか検討します。

自動車ローンを任意整理から外す方法

1.すべての借入先を司法書士へ伝える

車を残したい場合でも、自動車ローンの存在を隠してはいけません。

相談時には、対象から外したい借金を含め、すべての借入先を伝えてください。

そのうえで、次の内容を確認します。

  • 自動車ローンの残高
  • 毎月の返済額
  • 完済予定時期
  • 返済の遅れの有無
  • 車検証上の所有者
  • ローン会社名
  • 車の使用目的
  • 車を維持するための費用

債務整理の相談は、資料がすべてそろっていなくても可能です。

一般的には、債権者一覧、契約書、給与明細、預金通帳、家計簿などを用意すると状況を整理しやすくなります。

2.自動車ローンを交渉対象に含めない

自動車ローンを除外する方針が適切であれば、そのローン会社を任意整理の交渉対象に含めず、契約どおり返済を続ける方法を検討します。

一方、消費者金融やクレジットカード会社には、任意整理の交渉を行います。

ただし、同じ会社で次の契約を利用している場合は注意が必要です。

  • 自動車ローン
  • クレジットカード
  • カードローン
  • ショッピングローン

同じ会社の複数契約について、特定の契約だけを切り分けられるかは、契約内容や会社の取扱いによって異なります。

3.自動車ローンを払いながら任意整理後の返済ができるか確認する

車を残せるかどうかだけでなく、任意整理後の返済を継続できるかも重要です。

たとえば、次の家計を考えてみます。

  • 自動車ローン:月3万円
  • 消費者金融などの任意整理後の返済:月5万円
  • 駐車場・保険・ガソリン代:月3万円

この場合、車と借金のために毎月11万円が必要です。

手取り収入から生活費を差し引いた後に11万円を確保できなければ、車を残しても任意整理を続けられない可能性があります。

任意整理には債権者の合意だけでなく、合意後の支払いを続けられる返済原資が必要です。

任意整理をしても車を残せない可能性があるケース

自動車ローンを任意整理の対象にする

所有権留保付きの自動車ローンを任意整理すると、ローン会社から車の返還を求められる可能性があります。

車を売却した金額がローン残高を下回る場合は、車を返却した後も残った債務の返済が必要になることがあります。

自動車ローンをすでに滞納している

自動車ローンを任意整理から外しても、すでに何度も滞納している場合は注意が必要です。

期限の利益を失って一括請求されていたり、返還手続きが進んでいたりすると、返済を再開するだけでは車を残せない可能性があります。

通知書や督促状が届いている場合は、早急に契約内容を確認し司法書士へ相談をしてください。

自動車ローンを外すとほかの借金を返済できない

車を残すことを優先した結果、ほかの借金を返せなくなるのであれば、任意整理による解決は難しくなります。

次のような場合は、個人再生や自己破産を含めて検討する必要があります。

  • 自動車ローンの返済額が高い
  • 車の維持費が家計を圧迫している
  • 任意整理後の返済額を確保できない
  • ボーナスがなければ支払えない
  • 借金返済のために再び借りる可能性がある

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残価設定ローンやカーリースを利用している

残価設定ローン、いわゆる残クレでは、契約終了時に返却、買取り、乗換えなどを選ぶ契約が一般的です。

カーリースでは、車の所有者は基本的にリース会社です。

通常の自動車ローンとは契約内容が異なるため、任意整理から外せば必ず乗り続けられるとは限りません。

次の書類を確認しましょう。

  • ローン・リース契約書
  • 車検証情報
  • 支払予定表
  • 契約終了時の条件
  • 中途解約に関する条項

自動車ローンを外してはいけないケースもある

任意整理は、必ず「車を残すこと」を最優先にする手続きではありません。

高額な自動車ローンを払いながら、消費者金融やクレジットカードだけを任意整理しても、家計が改善しないことがあります。

たとえば、次の状態です。

  • 車のローンと維持費で月8万円以上かかる
  • 任意整理後も返済のために生活費が不足する
  • 数か月後に車検や修理費が必要になる
  • 収入に対して車の負担が大きすぎる
  • 車がなくても公共交通機関で通勤できる

車が本当に生活や仕事に必要なのかも含めて判断する必要があります。

無理な任意整理を始め、途中で返済できなくなることは避けなければなりません。

個人再生や自己破産では車はどうなる?

個人再生の場合

個人再生は、裁判所を利用して借金を減額し、再生計画に従って返済する手続きです。

任意整理とは異なり、原則として一部の債権者だけを自由に除外することはできません。裁判所を通じて債務全体を整理します。

所有権留保付きの自動車ローンが残っている場合は、車を引き上げられる可能性があります。

ローンを完済している車は残せることがありますが、車の評価額が高い場合は、個人再生で支払う金額に影響する可能性があります。

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自己破産の場合

自己破産では、裁判所が破産手続きを開始し、一定の財産を換価して債権者へ配当します。

車を残せるかは、次の事情によって変わります。

  • 車の所有者
  • 自動車ローンの有無
  • 車の評価額
  • 車の年式や状態
  • 裁判所の運用
  • 生活や仕事上の必要性

自己破産や個人再生を検討する可能性がある状態で、自動車ローンだけを一括返済したり、家族へ車の名義を移したりすることは避けてください。

後の裁判手続きで問題になることがあるため、事前に専門家へ相談しましょう。

任意整理で車を残すためのチェックリスト

次の項目を確認してみてください。

  • 車検証上の所有者を確認した
  • 自動車ローンの残高を把握している
  • 自動車ローンを滞納していない
  • ローン会社とカード会社が同じか確認した
  • 任意整理後の返済額を計算した
  • 駐車場、保険、車検などの維持費も計算した
  • 車が通勤や仕事に本当に必要である
  • ボーナスに頼らず返済できる
  • 追加借入れをせず生活できる

一つでも不明な項目がある場合は、任意整理を始める前に確認することが大切です。

任意整理と車に関するよくある質問

車検証の所有者が自分なら、必ず車を残せますか?

必ず残せるとは限りません。

車検証上の所有者だけでなく、ローン契約の内容、担保の有無、返済状況も確認する必要があります。

自動車ローンを対象から外すと、ローン会社には任意整理が知られませんか?

ほかの借金を任意整理した事実が、ローン会社に絶対に知られないとはいえません。

また、同じ会社でカードと自動車ローンを利用している場合は、契約間の影響について確認が必要です。

「知られなければ大丈夫」と自己判断せず、最初から司法書士へ契約状況を伝えてください。

家族名義の車も引き上げられますか?

本人が任意整理しただけで、家族が所有する車が当然に対象になるものではありません。

ただし、本人が実質的に購入代金を支払っている場合や、本人がローンの契約者・保証人になっている場合は、詳しい確認が必要です。

自動車ローンを親に一括返済してもらえば車を残せますか?

第三者が支払う方法を検討できるケースはあります。

ただし、自己破産や個人再生へ移行する可能性がある場合は、一部の債権者だけに返済することが問題になることがあります。

家族から支援を受ける場合も、支払う前に専門家へ相談してください。

任意整理後も自動車保険は継続できますか?

任意整理をしたことだけで、現在の自動車保険が当然に解約されるものではありません。

ただし、保険料を任意整理の対象となるクレジットカードで支払っている場合は、口座振替などへの変更が必要です。

まとめ|任意整理で車を残すには手続き前の確認が重要

任意整理では、自動車ローンを交渉の対象から外し、返済を続けることで車を残せる可能性があります。

特に、次のケースでは車を維持しやすいと考えられます。

  • 自動車ローンを完済している
  • 現金で購入した車である
  • 自動車ローンを除外しても返済を継続できる
  • 車に所有権留保が付いていない
  • 任意整理後の家計に無理がない

一方、自動車ローンをすでに滞納している場合や、自動車ローンを外すとほかの借金を返済できない場合は注意が必要です。

車を残せるかどうかは、車検証の名義だけでは判断できません。

ローン契約、借金総額、毎月の収入と支出を確認したうえで、任意整理が適しているかを検討しましょう。

車を残して任意整理できるか無料相談をご利用ください

横濱つきあかり法務事務所では、任意整理や自動車ローンの返済に関する無料相談を受け付けています。

「通勤に必要なので、車を手放したくない」

「自動車ローンだけを対象から外せるか知りたい」

「車のローンを払いながら、ほかの借金を整理したい」

このような段階でもご相談いただけます。

相談時には、分かる範囲で次の内容をお知らせください。

  • 借金の総額と借入先
  • 自動車ローンの残高
  • 毎月の自動車ローン返済額
  • 車検証上の所有者
  • 毎月の手取り収入
  • 車を残したい理由

資料がすべてそろっていなくても、無料相談は可能です。

現在の家計と借入状況を整理し、車を残せる可能性と無理のない解決方法を検討します。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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