個人再生にはどのくらいかかる?相談から認可・返済開始までの流れを司法書士が解説
「個人再生を依頼したら、借金が減額されるまで何か月かかるのだろう」
「裁判所へ申し立てれば、すぐに返済が始まるのだろうか」
このような疑問をお持ちではありませんか。
結論からいうと、個人再生の期間は一律ではありません。相談から申立ての準備、裁判所の審査、再生計画の認可を経て返済を始めるまで、一般的には半年から1年程度を見込むことがあります。
ただし、必要書類が早く揃うか、債権者数が多いか、住宅ローン特則を使うか、裁判所から補正を求められるかなどによって前後します。
相談した翌月から、減額後の返済だけを始められる手続ではありません。途中の生活費や手続費用も含めて、無理のない準備計画を立てることが大切です。
この記事では、個人再生の相談から返済開始までの流れと、時間がかかりやすい理由を分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 個人再生にかかる期間の目安
- 相談から再生計画認可までの流れ
- 手続中に従来の返済がどうなるか
- 手続が長引きやすいケース
- 相談前に準備できること
個人再生の期間は「準備」と「裁判所の手続き」に分かれます
個人再生全体の期間を考えるときは、依頼してから裁判所へ申し立てるまでと、申立て後に再生計画が認可されるまでを分けると分かりやすくなります。
申立て前には、借金、収入、財産、家計を資料で確認し、どの手続きが適しているかを判断します。
申立て後は、裁判所が提出書類や返済の見通しを確認し、債権者の届出、再生計画案の提出、認可の判断へ進みます。
裁判所によると、個人再生には、継続的な収入の見込みがある方が利用する小規模個人再生と、給与所得者などを対象とする給与所得者等再生があります。どちらを選ぶかによっても確認事項が変わります。
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個人再生の相談から返済開始までの7段階
1.無料相談で借金・収入・財産を確認する
最初の相談では、借入先と残高、手取り収入、生活費、預貯金、保険、車、不動産、退職金などを確認します。
「借金が多いから個人再生」と決めるのではなく、任意整理による返済が可能か、個人再生後の返済を継続できるか、自己破産を比較すべきかを検討します。
住宅ローン返済中の方は、自宅の名義、抵当権、滞納の有無も重要です。資料が全部揃っていなくても相談できますが、分かる範囲で一覧にすると判断が早くなります。
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2.依頼後に債権者へ受任通知を送る
正式に依頼を受けた後は、対象となる債権者へ受任通知を送ります。
貸金業者などが受任通知を受け取ると、法律上、本人への直接の取立てが制限されます。ただし、住宅ローン、税金、社会保険料、養育費など、支払いの扱いが異なるものがあります。
どの支払いを止め、どの支払いを続けるかを自己判断しないでください。住宅ローン特則を検討する方が住宅ローンを止めると、手続きの選択に影響することがあります。
また、受任通知を送れば裁判や差押えが当然にすべて止まるわけではありません。裁判所から書類が届いている場合は、すぐに担当者へ伝えましょう。
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3.債権調査と家計の確認を行う
債権者から取引履歴や残高の回答を受け、現在の借金額を確認します。過去の取引を利息制限法に基づいて計算し直す場合もあります。
同時に、給与と生活費を記録し、個人再生後の返済を続けられる家計かを確認します。
この時期は「返済が止まって楽になった期間」ではなく、家計を立て直す準備期間です。新たな借入れをせず、毎月どの程度なら継続して積み立てられるかを確認します。
収入が月ごとに変動する方は、残業代や賞与を過大に見込まず、少ない月でも返済できるかを検討します。
4.必要書類を集め、申立書類を作成する
裁判所の案内では、申立書のほか、住民票、債権者一覧表、財産目録、源泉徴収票、給与明細書などが必要書類の例として挙げられています。
実際には、通帳やネット銀行の履歴、保険の解約返戻金、車の査定、不動産、退職金などに関する資料が必要になる場合もあります。
必要な期間や様式は、申立ての内容と裁判所によって異なります。自己判断やネットで収集した古い様式を使わず、具体的な案内を受けてから必要書類を準備しましょう。
書類が揃わない場合は、何が不足しているか、取得に何日かかるかを一覧にします。資料がないことを隠さず、代わりの資料で説明できるか相談をしてください。
関連記事:個人再生の必要書類と効率的な集め方
5.地方裁判所へ申し立て、審査を受ける
個人再生は、原則として住所地を管轄する地方裁判所へ申し立てます。
申立て後、裁判所が書類を確認し、不足や説明が必要な点について補正を求めることがあります。その場合は、期限内に追加書類や回答を提出する必要があります。
個人再生委員が選任される場合は、面談や履行可能性の確認などが行われることがあります。選任の有無や運用は、裁判所と事案によって異なります。
この段階で収入や住所、家族構成が変わったときは、すぐに担当者へ伝えましょう。
6.債権届出を確認し、再生計画案を提出する
再生手続が開始されると、債権者が債権額を届け出ます。届出額に相違があれば、その内容を確認します。
その後、法律上の基準、財産の価値、家計から支払える金額などを踏まえて、再生計画案を作成します。
小規模個人再生では、債権者の不同意が一定の基準を超えると計画が認可されないことがあります。給与所得者等再生では債権者の同意要件は異なりますが、可処分所得の基準なども確認します。
単に「借金を5分の1にする書類」を提出するものではありません。最低弁済額や返済可能性を資料に基づいて検討します。
7.再生計画の認可確定後、計画に沿って返済する
裁判所が再生計画を認可し、その決定が確定した後、計画に定めた時期から返済を始めます。
返済期間は原則3年で、特別な事情がある場合は5年まで延長が認められることがあります。毎月払いとは限らず、計画の内容に応じた周期で支払います。
返済開始日、振込先、振込手数料、代行送金の有無を確認しましょう。

個人再生の手続きが長引きやすい6つの理由
必要書類が揃わない
使っていない銀行口座、ネット銀行、保険、退職金、不動産などの資料が不足すると、確認に時間がかかります。
借入先や契約関係が複雑
債権者が多い、保証人がいる、勤務先や知人から借りている、債権譲渡がある場合は、調査や説明事項が増えます。
住宅ローン特則を利用する
自宅の名義、住宅ローン、抵当権、居住状況、滞納や代位弁済などを確認するため、通常より資料が増えることがあります。
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財産の評価に時間がかかる
車、不動産、保険、退職金などは、価値を確認する資料が必要です。査定方法や基準日の確認で追加資料を求められる場合があります。
収入や家計が安定していない
転職直後、試用期間中、歩合給、休職予定などがある場合は、今後も返済を続けられるか慎重に確認します。
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裁判所から補正や追加説明を求められる
申立書と通帳の動きが一致しない、大きな入出金の説明がないなどの場合、追加の回答や資料が必要になります。
期間を短くするために事実を省くと、かえって確認に時間がかかります。借金・財産・収入は正確に伝えましょう。
手続期間中の生活で注意すること
新たな借入れやクレジット利用をしない
返済を止めた分を使い切るのではなく、生活費と将来の返済原資を確保します。後払い決済や家族名義のカードで借入れを続けることも避けましょう。
大きな財産処分や返済を勝手に行わない
車を安く売る、保険を解約する、預金を家族へ移す、特定の債権者だけへ返済すると、裁判所に対して追加説明が必要になることがあります。
財産の売却や臨時収入がある場合は、使う前に依頼している専門家へ相談してください。通常の生活費まで一律に使えないわけではありません。
収入や家族状況の変化をすぐ伝える
転職、退職、休職、昇給、賞与の大幅な変化、転居、扶養家族の増減などは、返済計画へ影響します。
計画を作った後に状況が変わった場合も、隠さず早めに伝えることが大切です。
個人再生の相談前に準備したいもの
最初の相談では、次の資料があると状況を確認しやすくなります。
- 借入先とおおよその残高
- 毎月の返済額と引落日
- 給与明細と源泉徴収票
- 家賃または住宅ローンの金額
- 預貯金、保険、車、不動産の概要
- 家族構成と毎月の生活費
- 督促状や裁判所から届いた書類
すべてを集め終えるまで相談を待つ必要はありません。給与差押えや住宅ローンの滞納が心配な方は、手元の書類だけでも早めに相談してください。
よくある質問
Q.個人再生は最短で何か月かかりますか?
一律の最短期間は示せません。書類準備、債権調査、裁判所の運用、事案の内容によって異なります。一般的には相談から返済開始まで半年から1年程度を見込むことがありますが、これより長くなる場合もあります。
Q.依頼したらカード会社への返済はすぐ止めて良いですか?
自分だけでどこの借入先の支払いを止めるか決めず、依頼先の指示を確認してください。住宅ローン、税金、保証人付き債務などは扱いが異なります。
Q.申立て後も家計簿を付ける必要がありますか?
家計の収支や返済可能性を確認するため、継続的な家計管理が必要になることがあります。裁判所や依頼している事務所の案内に従ってください。
Q.再生計画が認可されるまで借金の返済は必要ありませんか?
対象債権者への従来の返済を止める場合でも、住宅ローンや公租公課など支払いを続けるものがあります。また、手続費用や履行可能性を確認するための積立てが必要になる場合があります。
Q.司法書士へ依頼すれば裁判所への対応を全部任せられますか?
司法書士は、個人再生の裁判所提出書類の作成を支援します。そのため、司法書士が対応する範囲と、本人が行う対応について契約前に司法書士へ確認してください。
まとめ|個人再生は申立て前の準備が期間を左右します
個人再生は、相談した直後に借金が減額され、すぐ返済が始まる手続ではありません。
債権調査、家計確認、必要書類の収集、裁判所の審査、再生計画案の提出、認可という段階を進みます。一般的には半年から1年程度を見込むことがありますが、期間は事案と裁判所によって異なります。
手続きを円滑に進めるには、借金・収入・財産を正確に伝え、必要書類と毎月の家計を継続して管理することが大切です。
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任意整理では返済が難しい方、住宅を維持しながら借金を減らしたい方は、借入先と残高、手取り収入、住宅ローンの有無を分かる範囲でお伝えください。個人再生を利用できる見込みと、準備の流れを整理します。
🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。







