個人再生はボーナス払いを前提にできる?収入変動がある会社員の返済計画を司法書士が解説
「個人再生を検討しているが、毎月の返済額を抑えて、ボーナス月に多く払いたい」
「会社の業績で賞与額が変わるため、最後まで払えるか心配」
個人再生の返済方法は、必ず毎月同額だけに限られるわけではありません。裁判所の書式には、3か月ごとの返済を想定したものもあり、収入状況に応じて返済時期を設計する余地があります。
ただし、将来の賞与を当てにし過ぎた計画は危険です。ボーナスが減額・不支給になっても履行できるかを確認し、毎月の収支を基本に計画を作ることが大切です。
この記事でわかること
- 個人再生でボーナス払いを組み込めるか
- 毎月払いと3か月ごとの返済の違い
- 賞与や残業代が変動する場合の考え方
- 無理のない返済計画を作る手順
- 返済が難しくなった場合の対応

個人再生は継続的な収入の見込みが必要です
個人再生は、借金を一定の基準で減額し、裁判所が認可した再生計画に従って分割返済する手続きです。
裁判所の案内では、小規模個人再生を利用するには、将来において継続的に収入を得る見込みがあり、住宅ローンを除く無担保債務の総額が5,000万円以下であることなどが条件となります。
また、給与所得者等再生は、給与などの定期的な収入があり、その変動幅が小さい方を主な対象とします。
ただし、会社員であるだけで利用できるとは限りません。手取り収入、家族構成、住居費、財産、借金総額などを確認し、計画どおり返済できるかを裁判所より判断されます。
ボーナス月に多く払う計画も検討できます
個人再生の返済期間は原則3年です。特別な事情がある場合は、最長5年まで延長できることがあります。
返済の頻度について、裁判所の返済計画書式には、認可決定の確定後、3か月に1回支払う形も示されています。
そのため、毎月一定額を積み立て、3か月ごとの期限に支払う方法や、賞与を見込みながら支払時期を設計する方法が検討されます。
ただし、具体的な運用や提出書式は実際に申し立てをする裁判所によって異なりますので、単純に「夏と冬のボーナスだけで払う」と決められるわけではありません。
ボーナス併用のイメージ
たとえば、再生計画上の年間返済額が60万円であれば、毎月5万円を準備するのが基本です。
家計上、毎月3万円を積み立て、賞与から不足分を補う設計も考えられます。しかし、賞与が減った年でも年間60万円を確保できなければ、計画どおりの返済が難しくなります。
数字はあくまで考え方の例です。実際の返済総額は、借金額、財産の価値、手続きの種類などによって変わります。
ボーナスを前提にし過ぎる3つのリスク
1. 業績によって減額・不支給になる
賞与は会社の業績や人事評価に左右されることがあります。就業規則に制度があっても、毎回同じ金額が保証されているとは限りません。
過去の支給実績だけで、3年間同額が続くと決めつけないことが大切です。
2. 転職・休職で支給条件が変わる
転職直後は賞与算定期間が足りず、初回の賞与が少なくなることがあります。
病気や家族の事情による休職、勤務時間の短縮などでも収入は変わります。近い将来に働き方を変える予定がある場合は、申立て前に伝えてください。
3. 賞与を生活費の補填にも使っている
固定資産税、車検、学費、家電の買替えなどを賞与で支払っている家庭では、賞与の全額を個人再生の返済に回せません。
年単位の特別支出を差し引いても返済原資が残るかを確認する必要があります。
収入変動がある場合は年間収支で確認する
毎月の給与だけを見ると返済が苦しくても、年間では賞与や各種手当がある方もいます。反対に、残業代を含めた直近の給与だけを見ると、通常より収入が多く見えることもあります。
次の資料を並べて確認しましょう。
- 直近の給与明細
- 過去2年程度の源泉徴収票
- 賞与明細
- 就業規則や雇用条件通知書
- 家計簿や口座の入出金
- 1年間に発生する税金、保険、教育費、車両費
給与所得者等再生では、可処分所得の2年分が最低返済額の基準の一つになります。収入と生活費の確認が特に重要です。
一方、小規模個人再生でも、計画を履行できる見込みは必要です。賞与・残業代・歩合給の変動を含めて、無理のない数字を作ります。
毎月積み立てて返済期日に備える方法が安全です
返済期日が3か月ごとでも、直前にまとめて用意する方法はおすすめできません。
給与日に返済用口座へ一定額を移し、生活費と分けて管理すると、支払漏れを防ぎやすくなります。
賞与が支給されたときは、次回以降の返済分や予備費を先に確保します。余裕が出ても、裁判所の計画や返済先の案内を確認せず、自己判断で支払方法を変えないようにしましょう。
返済以外の予備費も残す
家計に余裕がない状態で全額を返済へ回すと、急な医療費や家電の故障を新たな借入れで補うことになりかねません。
個人再生後は借入れに頼らず生活できる家計へ変えることが重要です。少額でも予備費を含めた計画を検討します。
返済計画を作るときの4つの確認事項
1. 毎月の手取りだけで最低限いくら払えるか
賞与を除いた通常月の家計で、返済用に確保できる金額を確認します。
2. 賞与から実際に回せる金額はいくらか
税金、学費、車検などの特別支出を引いた後の金額で考えます。
3. 今後3年間に予定される生活の変化はあるか
転職、定年、出産、進学、引っ越し、住宅ローンの金利変動なども確認します。
4. 返済期間を延ばす必要があるか
原則3年では厳しく、特別な事情がある場合は、最長5年の計画を検討できることがあります。期間が長ければ月々の負担は下がりますが、長期にわたり家計管理を続ける必要があります。
関連記事:個人再生の返済額
計画どおり返済できなくなったら放置しない
賞与の不支給、収入減、病気などで返済が難しくなった場合は、支払期限前に依頼した専門家へ連絡してください。
事情によっては、再生計画の変更を検討できる場合があります。また、一定の厳しい要件を満たすと、残債務について免責が問題になることもあります。
ただし、どちらも簡単に認められる制度ではありません。自己破産への切替えを検討する場合もあります。
連絡せず滞納を続けると、再生計画が取り消され、減額前の債務の問題が再び生じる可能性がありますので早めの確認と相談が重要です。
個人再生・任意整理・自己破産を比較する
安定収入があり、減額後の返済を続けられる方には、個人再生が選択肢になります。
借金総額が比較的少なく、将来利息を減らせば元金を返済できる場合は、任意整理が適していることもあります。
また、賞与を含めても返済原資を確保できず今後の収入回復も見込みにくい場合は、自己破産の検討も必要です。
手続きの名前だけで決めず、通常の月と年間の両方の収支を比較し、状況に合った解決方法を検討しましょう。
関連記事:任意整理・個人再生・自己破産の判断表
よくある質問
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個人再生は毎月払いでなければなりませんか?
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必ず毎月払いだけとは限りません。3か月ごとの返済などが用いられることもありますが、実際に申し立てをする裁判所(お住いの住所を管轄する裁判所)の運用や再生計画によって異なります。
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ボーナスがない会社員でも個人再生できますか?
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ボーナスの有無だけで決まりません。継続的な収入があり、減額後の返済を続けられる見込みがあるかを家計全体で判断します。
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歩合給で毎月の給与が変わっても利用できますか?
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利用できる可能性はあります。収入変動の程度によって、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらが適するかを検討します。
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再生計画中にボーナスが減ったらどうなりますか?
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返済が続けられるなら直ちに問題になるとは限りませんが、支払いが難しくなる場合は、滞納する前に専門家へ早めに連絡してください。
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ボーナスが多い年に一括返済できますか?
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自己判断で一括返済方法をせず、一括返済できる状況にあることを依頼した専門家へ必ず確認してください。計画内容や債権者への支払方法に沿って対応する必要があります。
まとめ|賞与に頼りすぎない返済計画が大切です
個人再生では、返済時期を3か月ごとにするなど、収入に合わせた設計を検討できることがあります。
ただし、賞与は減額や不支給の可能性があります。通常月の給与から一定額を積み立て、ボーナスは補助的に使う計画のほうが安全です。
横濱つきあかり法務事務所では、給与明細、賞与、家計、借金総額を確認し、個人再生を含む解決方法を整理します。住宅ローンや車、教育費を抱えている方も、返済が遅れる前に無料相談をご利用ください。
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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
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