無職でも債務整理できる?任意整理・個人再生・自己破産の選び方を司法書士が解説


「無職だと債務整理はできないのでは?」
そのように不安に感じている方は少なくありません。

結論からいうと、無職でも債務整理は可能です。
ただし、どの手続きを選ぶべきかは、今の収入だけでなく、今後収入が戻る見込みがあるか、残したい財産があるか、毎月いくらなら無理なく払えるかによって大きく変わります。
任意整理は債権者との和解に基づく返済が前提で、個人再生は将来において継続的な収入の見込みが必要です。
そのため、現在無職で収入の見通しが立たない場合は、自己破産が現実的な選択肢になることもあります。

この記事では、無職の方が債務整理を考えるときに知っておきたいポイントを、任意整理・個人再生・自己破産の違いに分けて、できるだけ分かりやすく解説します。


結論:無職でも債務整理は可能です

無職だからといって、債務整理が一律にできなくなるわけではありません。
大切なのは、「仕事をしているかどうか」だけではなく、借金を返済できる状態かどうか、そして今後の返済見込みがあるかどうかです。
裁判所は破産について、申立人に支払い能力があるか(本人の財産や収入だけで借金の全額を支払うことができる状態にあるかどうか)で判断します。
また、個人再生については、将来において継続的に収入を得る見込みがあること(雇用形態は問いませんが継続した収入が見込めるか)が要件です。

そのため、無職の方の債務整理は、次のように考えると分かりやすいです。

  • 近いうちに収入が戻る(返済が可能になる)見込みがある
     → 任意整理や個人再生を検討しやすい
  • しばらく収入の見込みがなく、返済継続が難しい
     → 自己破産を検討しやすい

ここを間違えると、本来は破産や個人再生が適しているのに、イメージだけで無理に任意整理を選んで途中で払えなくなることがあります。
日本司法書士会連合会も、破産手続や民事再生手続の申立てを選択するのが適切であるにもかかわらず、安易に任意整理を選択してはならないとしています。

無職の方が選びやすい3つの債務整理

任意整理が向いているケース

任意整理は、裁判所を使わずに、債権者と個別に交渉して返済条件を見直す手続きです。
債権者の全部または一部と交渉をし、返済方法などについて和解契約を結んだうえで返済をする手続きで、一般的には和解後の将来利息をカットし、36回払い(3年程度)で返済する内容が多いです。

そのため、無職の方でも、

  • 退職直後で、再就職の見込みがある
  • 近く仕事が決まる予定がある
  • 借金額がそこまで大きくなく、毎月の返済額を抑えれば払えそう

このような場合には、任意整理が選択肢になることがあります。

一方で、今後の収入見込みが乏しい場合や、借金自体が大きくて3年程度で返すのが難しい場合には、任意整理はあまり向いていません。無理な和解をしてしまうと、数年払ったあとに支払えなくなり、結局別の手続きが必要になることもあります。

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個人再生が向いているケース

個人再生は、裁判所を利用して借金を大きく圧縮(5分の1または100万円のいずれか多い方)し、原則3年間で均等分割にて返済する手続きです。
裁判所は、個人再生について、将来において継続的に収入を得る見込みがあり、無担保債務の総額が5,000万円以下の人が利用できると案内しています。さらに、返済総額は最低弁済額や清算価値などの基準を満たす必要があります。

無職の方にとって個人再生が問題になるのは、ここがポイントです。
現在無職でも、今後安定収入が見込めるなら検討の余地がありますが、収入の見込みがない状態では個人再生を選択することが難しいです。
個人再生は「借金を減らしてもらったうえで返していく手続き」なので、裁判所が認めるかどうかを判断する際に返済原資を重要視しているからです。

個人再生が向いているのは、たとえば次のようなケースです。

  • ローン中の住宅をできるだけ残したい
  • 自己破産は避けたい
  • 近いうちに就職予定があり、返済計画を立てられそう
  • 借金額が大きく、任意整理では返済が難しい

なお、最低弁済額の目安としては、住宅ローンを除く借金が100万円超500万円以下なら100万円、500万円超1,500万円未満なら5分の1などの基準が裁判所の説明書にも示されています。

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自己破産が向いているケース

自己破産は、裁判所に申立てをして、支払不能の状態にある借金を整理し、免責許可決定を受けることで、原則として借金の支払義務の免除を目指す手続きです。
裁判所は、破産について、借金の額だけで決まるのではなく、その借金に対する返済能力があるか(収入や財産によって返済できるか)どうかで判断されると案内しています。

つまり、無職で収入がなく、今後の返済見込みが立たない場合は、自己破産が現実的な解決方法になります。

  • 失業中で、返済原資がない
  • 借金額が大きく、任意整理や個人再生では返済しきれない
  • 督促や裁判、差押えのリスクが高まっている(早急に根本的な解決が必要)
  • 生活の立て直しを最優先にしたい

ただし、自己破産で簡単に返済義務を無くしてもらえるとは限りません。
浪費や詐欺的な借入れなど法律上の免責不許可事由が無いかや、財産状況や借入れの経緯などを裁判所が確認し、場合によっては管財事件して扱いったうえで最終的に自己破産を認めるという流れで進むこともあります。
※管財事件として扱うと裁判所より連絡が来た場合は、依頼する事務所費用とは別に裁判所へ直接管財費用を納める必要があり、その場合は下記の流れで手続きが進みます。
自己破産の申立→裁判所が管財事件で扱うと判断→管財費用を直接裁判所へ納める→管財人が財産状況や借金の経緯を細かく確認→裁判所が自己破産を認める。

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無職の方が債務整理を選ぶときの判断ポイント

1.今後いつ収入が戻る見込みがあるか

一番大きい判断材料は、ここです。
来月から働く予定があるのか、就職活動中なのか、体調面の問題でしばらく働けないのかで、適した手続きはかなり変わります。

収入が早めに戻るなら任意整理や個人再生、収入の見込みが立たないなら自己破産という考え方が基本です。
迷う場合は、見込みの薄い返済計画を立てるより、まず生活再建を優先する視点が大切です。

2.残したい財産があるか

持ち家や車など、どうしても守りたい財産がある場合は、自己破産より個人再生のほうが合うことがあります。裁判所や法テラスも、個人再生は一定の財産を保有し続けながら、再生計画に従って返済する手続きだと案内しています。

ただし、財産を残したい気持ちだけで個人再生を選ぶと、返済計画が続かないことがあります。
残したい財産と、現実的な続けられる返済額のバランスを冷静に見る必要があります。

3.毎月いくらなら無理なく払えるか

債務整理は、借金を減らすことだけが目的ではありません。
生活を立て直し、再び返せなくなる状態を避けることが大切です。

任意整理では債権者との合意に基づく支払原資が必要で、個人再生では裁判所に認められる返済計画を立てる必要があります。
今の家計で払えない金額を前提に話を進めると、あとで行き詰まりやすくなります。

4.手続き費用や準備負担も確認する

自己破産や個人再生は、裁判所への申立てが必要です。
破産については、裁判所の案内でも、申立てに必要な印紙・郵便料・予納金があり、金額は裁判所ごとに異なります。
個人再生も、申立先は住所地を管轄する地方裁判所となり、自己破産でかかる費用の他に裁判所によっては再生委員の費用も必要となることがあります。

ただし、費用面が不安でもあきらめる必要はありません。
法テラスでは、経済的に困っている方を対象に、司法書士との無料法律相談や、費用の立替制度を設けています。
立替えてもらった費用は、法テラスに対し月々5,000円~10,000円程度の分割払いで返済することが出来ます。
当事務所は法テラスに登録済みの司法書士事務所ですので、直接法テラスへの相談が難し場合は、まず当事務所へ無料相談にてご相談いただいたうえで当事務所から法テラスへ利用申請を行い、その後の各債務整理手続きも当事務所が引き続き行うこともできますのでご安心ください。

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相談前に準備しておくとよいもの

相談する時は、借入先や大体の借入金額、使い道などご本人のご記憶があれば、借入に関する資料が手元になくても相談は可能ですのでご安心ください。

ただ、次のものがあると話が早く進みます。

  • 債権者からの督促状、請求書、裁判所からの書類
  • 借入先の一覧
  • 通帳や家計の分かる資料
  • 退職日や退職理由が分かるもの
  • 失業給付や今後の収入見込みが分かる資料
  • 保険や車、不動産など財産に関する資料

無職で借金に悩んだら司法書士に相談するメリット

債務整理では、「何ができるか」よりも先に、「自分には何が合っているか」を整理することが大切です。
その点、司法書士に相談するメリットは、状況を整理したうえで、任意整理・個人再生・自己破産のどれが現実的かを一緒に考えやすいことにあります。

また、費用面が不安な場合でも、分割払いや法テラスの無料法律相談や費用立替制度を利用できる可能性があります。
無職の方ほど、督促や裁判が進んでからでは選択肢が狭くなりやすいため、早めに相談して現時点での解決方法を確認することが大切です。


まとめ

無職でも債務整理はできます。
ただし、どの手続きを選ぶべきかは一律ではありません。

  • 収入の見込みがあるなら任意整理や個人再生
  • 収入の見込みが乏しいなら自己破産
  • 財産を残したいか、毎月いくら払えるかも重要

このように考えると、選び方が整理しやすくなります。

借金問題は、無理に返し続けることが正解とは限りません。
今の生活を守りながら立て直すために、早い段階で方針を決めることが大切です。


無職になってしまい、借金の返済が難しくなったときは、ひとりで抱え込まないことが大切です。
今は収入がなくても、状況に合った手続きを選べば、生活再建につながる可能性があります。

当事務所では、現在の収入状況や借金総額、財産の有無を丁寧に確認したうえで、任意整理・個人再生・自己破産のどれが現実的かを分かりやすくご説明しています。
督促が続いて不安な方、何から始めればよいか分からない方は、お早めにご相談ください。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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