親族・知人からの借金も個人再生の対象?債権者一覧・返済停止の注意点を司法書士が解説
個人再生では、親・兄弟姉妹・友人・勤務先などから借りたお金も、原則として債権者一覧表へ記載します。
消費者金融やカード会社だけを対象にして、親族からの借金を隠したり、親族にだけ返済を続けたりすることは避けなければなりません。
そのため、親族からの借入れも法律上の借金であれば、ほかの再生債権と同様に扱われるのが基本です。
一方で、実際には返済する約束のない援助や贈与だった場合は、借金に当たるかを確認することが必要です。
この記事では、親族・知人からの借金を個人再生でどう扱うのか、必要な資料、返済を止める理由、家族への影響を分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 親族・知人からの借金も個人再生に含める理由
- 債権者一覧表に記載する内容
- 親族にだけ返済すると問題になる理由
- 借用書がない場合に準備したい資料
- 家族へ個人再生を説明する際のポイント

親族からの借金も個人再生の対象です
個人再生は、裁判所を通じて借金を減額し、原則3年間で分割返済する手続です。
対象となるのは、金融機関や貸金業者からの借金だけではありません。
返済義務のあるお金であれば、親族、友人、勤務先、元配偶者など個人・法人を問わず、原則として債権者一覧表へ記載します。
任意整理のように手続きの対象にする借入先を自由に選べません
任意整理は、交渉する借入先を選べる場合があります。
しかし個人再生では、住宅資金特別条項を利用する住宅ローンなど法律上の例外を除き、特定の借入先だけを自由に外すことはできません。
「親には迷惑をかけたくない」という気持ちがあっても、親からの借金を一覧表に載せず、カード会社だけを減額する進め方は適切ではありません。
関連記事:任意整理から個人再生へ切り替える判断基準
借金なのか援助・贈与なのかを確認します
家族間のお金の移動には、金融機関の契約書のような明確な書類がないことがあります。
親から100万円を受け取った場合でも、「返せるときに返して」と渡されたのか、返済を求めない生活援助だったのかで扱いが変わります。
借金と判断するための主な資料
次のような資料があると、借入れの内容を説明しやすくなります。
- 借用書や金銭消費貸借契約書
- 振込記録や通帳の入出金履歴
- LINEやメールでの貸付け・返済のやり取り
- これまでの返済記録
- 借りた日、金額、使途、返済条件のメモ
借用書がないから記載しなくてよい、ということではありません。
事実として返済の約束があり、返済してきた場合は、分かる資料を集めて司法書士へ伝えてください。
実態のない借金を作ることはできません
個人再生の直前に親族との借用書を作り、実際には借りていないお金を借金として申告することはできません。
また、本当は贈与なのに、親族へ返済金を分配する目的で借金として扱うことも避けるべきです。
裁判所には、資金移動の履歴と経緯を正確に説明します。
親族への返済だけ続けると問題になることがあります
返済が難しくなった後に、カード会社への支払いを止めながら親族にだけ返済すると、特定の債権者を優先した支払いとして問題になる可能性があります。
「家族との約束だから」、「少額だから」という理由だけで、ほかの債権者と異なる扱いはできません。
相談前の一括返済にも注意してください
個人再生を考え始めた段階で、ボーナスや預金を使って親族へ一括返済することもおすすめできません。
申立て前の返済状況は、通帳や家計資料から確認されます。返済時期や金額によっては、清算価値や再生計画、手続の進行へ影響することがあります。
すでに親族へ返済した場合は隠さず、日付、金額、理由を依頼先へ伝えてください。事情を確認したうえで、必要な説明や対応を検討します。
関連動画:自己破産・個人再生の依頼後に返済してはいけない理由
債権者一覧表には親族の住所・残額などを記載します
個人再生の申立てでは、債権者の氏名、住所、借入時期、現在の残額、原因・使途などを債権者一覧表へ記載します。
親族や知人が債権者の場合も、裁判所から手続に関する書類が送られる可能性があります。
家族に知られず進めたいと考えていても、親族自身が債権者であれば、手続きを完全に内緒にすることは難しいことがあります。
残額が分からないとき
これまで現金で返済し、残高を記録していない場合は、親族と入出金履歴を確認して残額を整理します。
金額について認識が食い違うときは、双方の主張や根拠資料を申立て前に把握することが重要です。
金額を推測して記載したり、都合の良い金額に合わせたりせず、確認できない事情も含めて説明します。
関連記事:個人再生の必要書類
親族もほかの債権者と同じ割合で返済を受けます
再生計画が認可されると、原則として親族の借金だけを満額返済することはできません。
親族も計画で定められた割合と方法に従って返済を受け、計画どおりの返済が終われば、残額は原則として免除されます。
たとえば、カード会社の債権だけを減額し、親の貸付金だけ100%返すという計画は、債権者平等の考え方に反する可能性があります。
小規模個人再生では親族も議決権を持つ場合があります
小規模個人再生では、再生計画案について債権者の決議があります。
不同意とする債権者が人数で半数以上、または不同意債権者の債権額が総額の2分の1を超える場合、計画が認可されない可能性があります。
親族の貸付額が大きい場合、親族の意向が手続へ影響することがあります。ただし、形式だけ借金に見せた債権や金額に争いがある債権は、別途検討が必要です。
関連記事:個人再生の期間と流れ
家族へは「払わない」のではなく手続きの制度を説明します
親族から借りたお金を減額の対象にすることへ、罪悪感を持つ方もいます。
しかし、一社または一人だけを優先して返済し続ければ、生活費が足りなくなり、ほかの借入れを繰り返すおそれがあります。
まず家計全体を立て直し、裁判所が認めた計画に沿って返済することが、長期的には親族を含む債権者への公平な対応につながります。
説明するときは、次の点を落ち着いて伝えましょう。
- 親族の借金を隠せないこと
- 手続中は勝手に返済できないこと
- 裁判所から書類が届く可能性があること
- 認可後は再生計画に従って返済すること
- 返済額や期間は申立て前に確定しないこと
家族との話し合いが不安な場合は、説明する順序や内容を司法書士へ相談しましょう。
司法書士へ相談する前に整理したいこと
相談時には、カード会社や銀行だけでなく、親族・知人・勤務先からの借入れもすべて伝えてください。
借用書がなくても、借りた時期、当初の金額、現在の残額、返済履歴、資金の使い道を分かる範囲でメモしておくと相談が進めやすくなります。
司法書士は、個人再生申立書類の作成、債権者一覧の整理、家計・財産資料の確認を支援できます。債権額や貸付けの有無について親族と法的な争いがある場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。
関連記事:個人再生で借金はいくら減るか
よくある質問
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親から借りたお金は債権者一覧に書かなくても良いですか?
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いいえ。返済義務のある借金なら、親族からの借入れも原則として記載します。借用書がなくても、借り入れの経緯と返済履歴を司法書士へ伝えてください。
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親族にだけ返済を続けても良いですか?
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自己判断で続けることは避けてください。特定の債権者だけを優先した返済として、個人再生手続へ影響する可能性があります。
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借用書がないと親族の借金は認められませんか?
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借用書がないという理由だけで直ちに借金でないとは限りません。振込記録、返済履歴、メッセージ、貸付けの経緯などを確認します。
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個人再生をすると親に裁判所から通知が届きますか?
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親が債権者として一覧表に記載されれば、裁判所から手続に関する書類が送付される可能性があります。完全に秘密にできるとは考えず、事前に説明方法を検討しましょう。
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親族が再生計画に反対すると個人再生できませんか?
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直ちにできなくなるとは限りません。小規模個人再生では不同意の人数と債権額が影響します。親族の債権額やほかの債権者数を確認して判断します。
まとめ|親族からの借金も隠さず早めに相談しましょう
個人再生では、親族や知人からの借金も原則として債権者一覧表へ記載します。
親族の借金を隠したり、その方だけに返済したりすると、手続きへ影響する可能性があります。借用書がなくても、振込記録や返済履歴から事実関係を整理することが大切です。
親族へまだ説明していない場合も、先に司法書士へ状況を伝え、返済を止める時期や説明方法を確認してください。
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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
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