産休・育休中でも個人再生できる?収入減・復職予定・必要書類を司法書士が解説

産休や育休に入って収入が減り、カードローンやリボ払いの返済が難しくなることがあります。

個人再生は、産休・育休中という理由だけで利用できなくなる制度ではありません。

ただし、個人再生では将来にわたって継続的に収入を得る見込みが必要です。育児休業給付金の支給状況、復職予定日、復職後の給与、保育園の見通しなどを資料で説明できるかが重要になります。

この記事では、産休・育休中に個人再生を検討するときの判断ポイントと必要書類を、司法書士が分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 産休・育休中でも個人再生を利用できる可能性
  • 裁判所が確認する収入と返済継続の見込み
  • 育児休業給付金の扱いと注意点
  • 申立て前に用意したい資料
  • 申立て時期を決める際のポイント
横濱つきあかり法務事務所

産休・育休中でも個人再生は検討できる

個人再生では、将来において継続的または反復して収入を得る見込みが必要です。

休業中だから直ちに利用できないわけではありません。

雇用関係が続いており、育児休業給付金などで当面の家計を維持でき、復職後も再生計画に沿った返済を続けられる見込みがあれば、個人再生を検討できます。

反対に、復職時期が決まっていない、退職予定で次の仕事が未定、給付金だけでは生活費をまかなえないという場合は、申立ての時期や手続の選択を慎重に考える必要があります。

裁判所が確認するのは「今」だけでなく今後の見通し

個人再生は、裁判所に再生計画を認可してもらい、原則3年間で一定額を分割返済する手続です。

そのため、申立て時点の収入だけでなく、再生計画を最後まで続けられるかが重視されます。

雇用関係と復職予定

勤務先に在籍しているか、育児休業の終了予定日がいつか、同じ勤務条件で復職する予定かを確認します。

復職証明書や育児休業取扱通知書など、勤務先が発行する資料が役立つことがあります。

時短勤務を予定している場合は、復職後の給与が休業前より下がる可能性も含めて返済計画を作ります。

休業中の収入と家計

育児休業給付金、配偶者の収入、児童手当、住居費、保育料などを家計表へ正確に反映します。

「復職すれば払えるはず」という説明だけでは不十分です。

休業中と復職後の2つの家計を比べ、無理なく返済原資を確保できるかを具体的に確認しましょう。

育児休業給付金は収入資料として確認する

一定の要件を満たす雇用保険の被保険者には、育児休業中に育児休業給付金が支給されます。

厚生労働省の案内では、原則として休業開始時賃金日額の67%相当額、181日目以降は50%相当額です。実際の支給額には上限などがあり、勤務先から賃金が支払われる場合には調整されることがあります。

個人再生では、支給決定通知書や入金履歴を提出し、金額と支給期間を確認します。

給付が終わる時期にも注意する

育児休業給付金は、原則として子が1歳になる日の前日までが支給対象期間です。一定の要件を満たす場合には1歳6か月または2歳まで延長されることがあります。

復職すれば復職日の前日までとなるため、給付金と給与が同時に継続する前提で家計を組むことはできません。

申立てから再生計画の認可、返済開始までの時期を見ながら、収入が切り替わるタイミングを確認します。

産休・育休中の申立てで用意したい資料

裁判所によって提出書類や運用は異なりますが、一般的には次のような資料を準備します。

  • 育児休業給付金の支給決定通知書
  • 給付金の入金が分かる預金通帳
  • 休業前の給与明細や源泉徴収票
  • 育児休業の期間が分かる勤務先の通知書
  • 復職予定日や復職後の条件が分かる資料
  • 配偶者の給与明細や収入資料
  • 家計収支表
  • 保育料や住居費など固定費の資料
  • 債権者一覧と借入資料
  • 預金、保険、自動車などの財産資料

復職後に時短勤務を利用する場合は、想定される勤務時間と給与を勤務先へ確認しておくと、返済可能性を説明しやすくなります。

保育園が決まっていない場合

保育園の入所状況は、復職時期に影響します。

入所保留通知、申込書の控え、育休延長に関する勤務先の書類などを整理しておきましょう。

2025年4月から、保育所に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の延長手続では、速やかな職場復帰のための申込みであることも確認されます。

ただし、給付延長が当然に認められるとは限らないため、延長を前提にしすぎない家計設計が必要です。

申立ては復職前と復職後のどちらがよい?

一律にどちらがよいとはいえません。

休業中でも給付金と家計に余裕があり、復職日と復職後の収入が明確であれば、休業中に準備を進められる場合があります。

一方、復職後の給与が大きく変わる、保育園が未定、家計が赤字という場合は、復職後の実績が出てから申立てるほうが説明しやすいこともあります。

返済を続けながら待つことが危険な場合もある

申立てを待つ間に、返済のための新たな借入れを続けるのは危険です。

住宅ローン、家賃、税金、社会保険料、生活費を優先し、借金の返済状況が悪化する前に相談してください。

個人再生が適切か、任意整理や自己破産を含めて比較することが大切です。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

個人再生には、主に小規模個人再生と給与所得者等再生があります。

小規模個人再生は、将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあることが必要です。再生計画の認可には債権者の消極的同意も関係します。

給与所得者等再生は、給与など定期的な収入を得る見込みがあり、その変動幅が小さいことなどが求められます。可処分所得の2年分以上という返済額の基準もあるため、返済総額が高くなることがあります。

産休・育休による一時的な収入減がどちらの手続に適するかは、休業期間、復職後の給与、家計、債権者の状況などを総合して判断します。

家族や勤務先に知られる可能性

個人再生を申し立てたことが、裁判所から勤務先へ一律に通知されるわけではありません。

ただし、勤務先から借入れがある場合は勤務先も債権者となります。また、退職金見込額証明書や復職に関する資料を依頼する過程で、用途を尋ねられることがあります。

配偶者の収入資料や家計資料が必要になることも多いため、同居家族にまったく知られずに進めるのが難しい場合があります。

どの資料が必要か、勤務先への説明をどうするかを早めに専門家と整理しましょう。

よくある質問

育児休業給付金だけでも個人再生できますか?

給付金を受けているだけで自動的に利用できるわけではありません。支給期間、家計、復職予定、復職後の給与などから、将来も返済を続けられるかを個別に判断します。

復職予定日が決まっていなくても申し立てられますか?

申立て自体を一律に否定されるものではありませんが、将来の収入見込みを説明しにくくなります。育休の終了予定、保育園の申込状況、勤務先の意向などを整理し、申立て時期を検討します。

復職後に時短勤務をする予定でも大丈夫ですか?

時短勤務でも、再生計画に沿った返済を続けられる収入が見込めれば検討できます。休業前の給与ではなく、時短勤務後の手取り額を基に家計を作ることが重要です。

配偶者の収入も返済に使わなければなりませんか?

個人再生は申立人本人の手続ですが、世帯の家計を確認するため配偶者の収入資料を求められることがあります。配偶者に返済義務が生じるという意味ではありませんのでご安心ください。

個人再生が難しい場合は自己破産しかありませんか?

借金額、収入、財産、住宅ローン、家計によっては任意整理を検討できる場合もあります。自己破産を含め、どの方法が生活再建に適しているかを比較して判断します。

まとめ

産休・育休中でも、継続的な収入と返済の見込みを裁判所へ説明できれば、個人再生を検討できます。

育児休業給付金の金額と支給期間、復職予定日、復職後の給与、保育園、世帯全体の家計を具体的に確認することが重要です。

復職までの間に借入れが増えてしまうと債務整理の選択肢が少なくなることがあります。返済が苦しくなった段階で、申立て時期と手続きの種類を早めに整理し専門家へ相談しましょう。

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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
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