個人再生で財形貯蓄・従業員持株会はどうなる?清算価値・必要書類を司法書士が解説
個人再生をしても、財形貯蓄や従業員持株会を必ず解約・売却しなければならないわけではありません。
ただし、本人が持つ財産として裁判所へ申告し、原則として申立時点などの評価額を清算価値へ反映する必要があります。そのため、残高が多いと、個人再生で返済する総額が増えることがあります。
勤務先の給与から天引きされていても、申告しなくて良い財産にはなりません。残高証明、取引明細、持株数や時価が分かる資料を早めに確認し、申立て直前の解約や名義変更は避けるようにしましょう。
この記事でわかること
- 財形貯蓄と従業員持株会が清算価値に入る理由
- 個人再生で解約・売却が必要になるか
- 裁判所へ提出する資料
- 勤務先に知られる可能性と資料の集め方
- 残高が多い場合の返済額への影響
財形貯蓄・持株会は個人再生で申告が必要な財産
個人再生では、借金だけでなく本人の財産も一覧にして裁判所へ申告します。
裁判所の財産目録や清算価値チェックシートでは、社内預金や財形貯蓄などの積立金、有価証券などが確認項目に含まれています。従業員持株会で保有する株式や拠出金も、価値を確認して申告する必要があります。
給与明細に天引き額が記載されている場合でも、現在残高が分からなければ評価できません。ウェブ上の会員ページ、残高通知書、運営会社の取引明細などを確認しましょう。
関連記事:個人再生の清算価値とは?
財形貯蓄は預金・積立金として確認する
一般財形、財形住宅、財形年金など、制度の種類にかかわらず、本人が払い戻しを受けられる金額を確認します。税制上の扱いや払出条件が異なるため、給与明細の累計額だけで判断せず、基準日時点の解約・払戻相当額が分かる資料を用意します。
住宅取得など目的外の払出しに税務上の影響が生じる制度もあります。具体的な課税関係は、必要に応じて税理士や取扱金融機関へ確認してください。
従業員持株会は株数と時価を確認する
従業員持株会は、拠出した金額そのものではなく、保有口数や株数、基準日時点の株価などから価値を確認します。奨励金が付いている場合や、配当金を再投資している場合は、給与天引き額の合計と現在価値が一致しないことがあります。
非上場会社の持株会では、規約上の払戻価格や退会時の計算方法を確認します。上場株式のように市場価格だけで計算できない場合があるため、持株会規約や残高証明を用意しましょう。
財形や持株会は必ず解約するわけではない
個人再生は、自己破産のように財産を換価して配当することを目的とする手続ではありません。そのため、財形貯蓄や持株会を保有したまま進められることがあります。
一方、財産を残す場合でも、その価値以上を返済するという清算価値保障原則があります。財形と持株会の合計額が大きければ、最低弁済額より清算価値が高くなり、返済総額が増える可能性があります。
返済額が上がる簡単な例
たとえば、法律上の最低弁済額が100万円でも、預金、保険、車、退職金見込額の一部、財形貯蓄、持株会などを合計した清算価値が160万円なら、原則として160万円以上を返済する計画が必要になります。
財形や持株会だけで判断するのではなく、ほかの財産と合わせて試算することが重要です。
関連記事:個人再生の返済額は?
解約して生活費として使えば清算価値から外れるとは限らない
申立て前に財形を解約したり、持株を売却したりしても、使途や時期を確認されることがあります。家族へ移す、特定の債権者だけに返す、高額品を購入するといった行動は、手続上の問題につながる可能性があります。
通常の生活費として必要な支出まで一律に禁止されるわけではありませんが、大きな資産移動は事前に相談してください。通帳、領収書、売却明細を残しておくことも大切です。
必要になる主な資料
裁判所や事案によって異なりますが、次の資料を準備します。
- 財形貯蓄の残高証明書または払戻相当額が分かる資料
- 財形の取引履歴や給与明細
- 従業員持株会の残高通知書
- 保有口数・株数と評価額が分かる画面や明細
- 持株会規約、退会・払戻方法が分かる資料
- 証券口座へ振り替えている場合は証券会社の取引残高報告書
- 給与明細、源泉徴収票、預金通帳などほかの収入・財産資料
オンライン画面しかない場合は、基準日、氏名、残高、株数が分かるようにPDF保存または印刷します。画面の一部だけでは本人の資料と確認できないことがあるため、表示範囲に注意してください。
関連記事:個人再生の必要書類について
必要資料の発行を依頼すると会社に知られる?
個人再生を申し立てたことが裁判所から勤務先へ当然に通知される制度ではありません。社内ポータルや運営会社のウェブサイトから残高資料を取得できれば、勤務先へ理由を説明せずに済むことがあります。
ただし、勤務先へ証明書の発行を依頼する必要がある場合や、会社から借入れがあり会社が債権者になる場合は、手続きを知られる可能性があります。取得理由を尋ねられるかどうかも勤務先の運用によります。
その場合は「絶対に知られない」とは断定できません。まず、手元の給与明細、社内ポータル、過去の通知書、規約で代替できるかを確認しましょう。
関連記事:個人再生は家族や会社にバレる?
財形・持株会が多いときの選択肢
清算価値が高く返済額が家計に合わない場合は、個人再生を無理に選ぶのではなく、任意整理や自己破産も比較します。
任意整理は裁判所を使わず、対象とする債権者を選べる場合がありますが、元金の大幅な減額は期待できません。自己破産では免責を得られる可能性がある一方、財産の取扱いは個人再生と異なります。
給与所得者等再生を選ぶ場合は、清算価値だけでなく可処分所得の2年分も返済額の基準になります。財産を残せるかだけでなく、毎月無理なく返済できる金額で比較しましょう。
関連記事:債務整理の選び方について
司法書士へ相談するとできること
司法書士は、借金、収入、家計、財産資料を整理し、個人再生の返済見込額を検討します。個人再生を選ぶ場合は、地方裁判所へ提出する申立書や財産目録などの作成を支援します。

よくある質問
-
財形貯蓄があると個人再生できませんか?
-
財形貯蓄があるだけで利用できないわけではありません。ただし、清算価値へ反映され、残高によって返済総額が上がることがあります。
-
持株会の株は必ず売却されますか?
-
個人再生では必ず売却されるわけではありません。保有したまま進められる場合もありますが、評価額を財産として申告します。
-
給与明細に天引き額があれば残高証明は不要ですか?
-
天引き額だけでは現在残高や評価額を確認できないことがあります。残高通知書、会員ページ、払戻相当額の資料などを用意します。
-
家族名義の持株も申告しますか?
-
家族が自分の収入で取得した財産は、本人の財産へ当然に入るものではありません。ただし、本人の資金で取得した、名義だけ移したなどの事情があれば説明が必要です。
-
申立て前に財形の積立を止めるべきですか?
-
家計の状況や勤務先の制度によって判断が異なります。積立の継続が家計を圧迫している場合もあるため、自己判断で解約・移動する前に相談してください。
まとめ|財形・持株会も隠さず早めに評価額を確認する
財形貯蓄や従業員持株会は、個人再生で申告する財産です。必ず解約・売却するわけではありませんが、評価額は清算価値へ反映され、返済総額に影響することがあります。
給与天引きだから見落としていた、残高資料の取り方が分からないという場合も、まず手元の明細やウェブ画面を確認しましょう。資産を動かす前に全体の清算価値を試算することが大切です。
ひとりで抱えず、まずはお話をお聞かせください
何から始めれば良いか分からなくても大丈夫です。
横濱つきあかり法務事務所が、お話を丁寧に伺いながら状況を整理し、ご状況にあった解決方法を一緒に考えます。
「相談するほどのことか分からない」という段階でも構いません。
LINE・お電話・お問い合わせフォームから、どうぞお気軽にご相談ください。
借金のお悩みを無料相談する

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。





