借金返済は手取りの何%まで?返済負担率と債務整理を考える5つの目安を司法書士が解説

毎月きちんと返済しているのに、給料日前になると生活費が足りない。

クレジットカードの支払いやカードローンの返済が、手取り収入のかなりの割合を占めている。

このような場合は、「延滞していないから大丈夫」とは限りません。

結論からいうと、借金返済を手取りの何%までに抑えるべきかについて、法律上の一律の基準はありません。

ただし、住宅ローンを除く借金返済が手取り収入の20%を超えてきたら、家計の見直しを始める一つの目安です。25%を超える状態が続き、30%前後になると、生活費や急な出費への対応が難しくなる可能性があります。

大切なのは、返済負担率だけで判断しないことです。

別のカードから借りて返済している、ボーナスがなければ支払えない、残高がほとんど減っていないといった状態も確認する必要があります。

この記事では、借金返済の返済負担率の計算方法と、債務整理を考える5つの目安を司法書士が分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 借金返済は手取りの何%までが目安になるか
  • 返済負担率の計算方法
  • 債務整理を考えた方が良い5つの状態
  • 任意整理・個人再生・自己破産の選び方
  • 返済を延滞する前に司法書士へ相談するメリット

借金返済は手取りの何%までなら大丈夫?

借金返済を手取り収入の何%までにすべきかについて、法律で決められた一律の基準はありません。

家賃、住宅ローン、家族構成、子どもの教育費、医療費などによって、無理なく返済できる金額は異なるからです。

そのため、次の割合は法律上の基準ではなく、家計を見直すための実務的な目安として考えてください。

手取りに対する返済割合状態の目安
10%未満比較的返済を続けやすいものの、家計全体の確認は必要
10~20%収支が安定していれば返済できる可能性がある
20~25%家計の見直しを始めたい注意段階
25~30%貯蓄や急な出費への対応が難しくなりやすい
30%以上返済方法や債務整理を早めに検討したい段階

たとえば、手取り25万円の方で考えると、次のようになります。

  • 手取りの15%:37,500円
  • 手取りの20%:50,000円
  • 手取りの25%:62,500円
  • 手取りの30%:75,000円

手取り25万円から毎月75,000円を返済している場合、残る金額は175,000円です。

ここから家賃、水道光熱費、通信費、食費、保険料、交通費などを支払います。家族がいる方や住宅ローンを支払っている方は、生活に余裕がなくなる可能性があります。

「手取りの20%以内なら安全」とは限らない

返済額が手取りの20%以内でも、次のような場合は注意が必要です。

  • 家賃や住宅ローンの負担が大きい
  • 子どもの教育費がかかっている
  • 毎月の収入に変動がある
  • 近いうちに車検や税金などの支払いがある
  • リボ払いの残高が増え続けている
  • すでに貯蓄を取り崩している

反対に、返済割合が一時的に25%を超えていても、短期間で完済でき、十分な貯蓄がある場合は、直ちに債務整理が必要とは限りません。

割合だけではなく、生活費を支払った後にお金が残るか、完済まで返済を続けられるかという点が重要です。

返済負担率の計算方法

返済負担率は、次の計算式で確認できます。

毎月の借金返済額 ÷ 毎月の手取り収入 × 100

たとえば、手取り収入が25万円で、毎月の借金返済額が6万円の場合は、次のようになります。

6万円 ÷ 25万円 × 100=24%

この場合、手取り収入に対する借金の返済負担率は24%です。

毎月の返済額に含めるもの

借金の負担を正確に確認するため、次の支払いを合計してください。

  • 消費者金融の返済
  • 銀行カードローンの返済
  • クレジットカードのキャッシング
  • リボ払い
  • 分割払い
  • 後払い決済の分割分
  • 自動車ローン
  • 奨学金などの返済

まずは住宅ローンを除いた借金返済の割合を計算し、その後、住宅ローンも含めた家計全体の負担を確認すると分かりやすくなります。

クレジットカードの一括払いも、毎月繰り返し利用している場合は生活費の一部として扱いましょう。

総量規制の「年収の3分の1」とは別の基準

「借金は年収の3分の1まで」と聞いたことがある方もいるかもしれません。

これは貸金業法の総量規制に関する基準です。貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えるような新たな貸付けを、原則として制限する制度です。

手取り収入に対する毎月の返済割合を示すものではありません。

また、銀行カードローンやクレジットカードのショッピング利用など、総量規制の対象外となるものもあります。

そのため、「借金が年収の3分の1以内だから、まだ大丈夫」とは判断できません。

債務整理を考える5つの目安

返済負担率と合わせて、次の5つを確認してください。

一つでも該当したら直ちに債務整理が必要というわけではありません。しかし、複数該当する場合は、返済が行き詰まる前に専門家へ相談した方が良いでしょう。

目安1 返済額が手取りの20~25%を超えている

住宅ローンを除く借金返済が手取りの20%を超えると、貯蓄や急な出費に回せるお金が少なくなりやすくなります。

さらに25%を超える状態が続き、30%前後になると、家計の調整だけで返済を続けることが難しくなる場合があります。

特に注意したいのは、返済後に次の費用を残せない状態です。

  • 毎月の生活費
  • 税金や社会保険料
  • 車検や自動車税
  • 医療費
  • 家電の買い替え費用
  • 冠婚葬祭などの臨時出費

急な出費のたびにクレジットカードを使っている場合は、表面上は延滞していなくても、借金が増えやすい状態です。

目安2 返済すると生活費が足りなくなる

返済日に支払いはできても、その後の生活費が不足する場合は注意が必要です。

たとえば、次のような状態です。

  • 給料日の直後に返済でお金がなくなる
  • 食費や日用品をクレジットカードで支払っている
  • 預金を取り崩さなければ生活できない
  • 公共料金や税金の支払いを後回しにしている
  • 家族に生活費を借りている

借金返済のために生活費をカード払いにすると、翌月の請求額が増えます。

その請求を支払うために再びカードを使い、借金が減らない状態に陥ることがあります。

目安3 別のカードや借入れで返済している

返済資金を用意するために、別のカードローンやキャッシングを利用している場合は、自転車操業が始まっている可能性があります。

借りたお金で別の借金を返済しても、借金全体が減るわけではありません。

むしろ、新たな借入れによって利息や返済先が増え、家計管理がさらに難しくなります。

借入限度額に余裕がある間は返済できているように見えます。しかし、利用限度額に達したり、新たな借入れを断られたりすると、急に支払いが止まるおそれがあります。

目安4 ボーナスがなければ返済できない

毎月の給料だけでは返済できず、ボーナスで不足分を補っている場合も注意が必要です。

ボーナスは会社の業績や勤務状況によって減額されることがあります。今後も同じ金額を受け取れるとは限りません。

さらに、ボーナスを返済に使った結果、税金、車検、旅行、家電の買い替えなどをカード払いにすると、借金残高が再び増えてしまいます。

ボーナスを返済に充てても元金がほとんど減らない場合は、利息負担や毎月の返済計画を確認する必要があります。

目安5 返済しても残高が減らず完済時期が分からない

毎月返済を続けていても、返済額の一部は利息に充てられます。

高い金利で借りている場合や、返済額が少額に設定されている場合は、元金がなかなか減りません。

次の項目を確認してみましょう。

  • 借入先ごとの残高
  • 適用されている金利
  • 毎月の返済額
  • 元金に充てられている金額
  • 完済予定時期
  • 完済までに支払う利息の総額

借入先が複数ある場合は、すべての返済予定を一覧にしてください。

完済までの見通しが立たない、返済期間が長すぎる、今後も借入れが必要になるという場合は、返済方法そのものを見直す時期です。

返済負担が大きい場合に考えられる3つの債務整理

返済負担率が高く、今の契約どおりに完済することが難しい場合は、任意整理・個人再生・自己破産などを検討します。

どの手続きが適しているかは、借金額、収入、資産、住宅ローン、家族構成などによって異なります。

任意整理

任意整理は、司法書士などが債権者と交渉し、今後発生する利息のカットや返済期間の見直しを目指す手続きです。

一般的には、任意整理をする借入先を選べるため、住宅ローンや自動車ローンを対象から外せる場合があります。

安定した収入があり、将来利息を減らせば3年程度で返済できる見込みがある方に適しています。

ただし、元金そのものが当然に減額される手続きではありません。また、債権者や取引状況によって分割機関や頭金を必要とするなど交渉結果は異なります。

個人再生

個人再生は、裁判所を利用して借金を法律上定められた基準により減額し、原則3年間で返済をする手続きです。

継続的または反復した収入を得られる見込みがあることなど、一定の要件があります。

住宅ローン特則を利用できれば、住宅ローンを支払いながら、その他の借金を整理して自宅を残せる可能性もあります。

借金額が大きく、任意整理後の返済額でも家計が成り立たない方は、個人再生を検討する価値があります。

自己破産

自己破産は、裁判所へ申立てを行い、免責が認められることで、原則として借金の支払義務の免除を受ける手続きです。

収入があっても、生活費や扶養家族の状況から返済に回せる金額がほとんどない場合は、自己破産が選択肢になることがあります。

ただし、税金、養育費など、免責されない債務もあります。一定の財産が処分の対象になる可能性もあるため、事前の確認が必要です。

延滞する前に司法書士へ相談するメリット

債務整理の相談は、返済を延滞してからでなければ出来ないものではありません。

まだ毎月返済できている段階でも相談できます。

早めに相談することで、次の点を整理できます。

  • 現在の借金総額と毎月の返済額
  • 完済までに必要な期間
  • 今後支払う利息の見込み
  • 任意整理後の返済額
  • 個人再生や自己破産の必要性
  • 住宅や自動車への影響
  • 家族や勤務先に知られる可能性

返済が止まり、債権者から一括請求や裁判を起こされてからでは、対応できる時間や解決方法が限られます。

収入があるうちに見直すことで、任意整理や個人再生など、返済を前提とした方法を検討しやすくなります。

横濱つきあかり法務事務所では、現在の借金額、手取り収入、生活費などを確認し、今のまま返済を続けられるか、債務整理が必要かを一緒に整理します。

「まだ延滞していないから相談するのは早い」と考える必要はありません。


よくある質問

借金返済が手取りの20%を超えたら、必ず債務整理が必要ですか?

必ず必要になるわけではありません。

短期間で完済できる場合や、十分な貯蓄がある場合は、家計の見直しだけで対応できる可能性があります。ただし、返済後に生活費が不足する場合や、借金残高が増えている場合は早めに相談してください。

住宅ローンも返済負担率に含めますか?

家計全体の支払能力を判断するときは、住宅ローンも含めて確認します。

ただし、カードローンやリボ払いなどの負担を把握するため、最初は住宅ローンを除いた借金返済の割合を計算し、その後に住宅ローンを含めた全体の収支を確認すると分かりやすくなります。

借金が年収の3分の1以下なら問題ありませんか?

年収の3分の1以下でも、返済が苦しくなることはあります。

総量規制は、主に貸金業者による新たな貸付けを制限するための基準です。毎月無理なく返済できる金額を示す基準ではありません。

延滞していなくても任意整理できますか?

延滞前でも任意整理の相談はできます。

今後も返済を続けることが難しいと予想される場合は、実際に支払いが止まる前に相談した方が、生活再建の選択肢を検討しやすくなります。

任意整理をすると毎月の返済はいくらになりますか?

借金額、借入先、返済期間などによって異なります。

一つの目安として、将来利息をカットできた借金を36回程度で分割した場合の金額を計算します。ただし、債権者が必ず希望どおりの条件に応じるとは限りません。


まとめ

借金返済を手取り収入の何%までに抑えるべきかについて、法律上の一律の基準はありません。

ただし、住宅ローンを除く借金返済が手取りの20%を超えてきたら、家計の見直しを始める目安です。25%を超える状態が続き、30%前後になる場合は、返済方法や債務整理を早めに検討した方がよいでしょう。

さらに、次の状態がある場合は注意が必要です。

  • 返済後に生活費が足りない
  • 別のカードから借りて返済している
  • ボーナスがなければ支払えない
  • 返済しても借金残高が減らない
  • 完済時期が分からない

毎月返済できていることと、無理なく完済できることは同じではありません。

返済を延滞する前に借金と家計を整理することで、より多くの選択肢から解決方法を検討できます。


毎月返済しているのに生活が苦しい方へ

「自分の返済額は多すぎるのか分からない」

「任意整理をすると、毎月いくらになるのか知りたい」

「住宅や自動車を残したまま借金を整理したい」

このような場合は、横濱つきあかり法務事務所へご相談ください。

借金額、手取り収入、生活費、住宅ローンなどを確認し、今のまま返済を続けられるか、債務整理を検討すべきかを分かりやすくご説明します。

まだ延滞していない段階でもご相談いただけます。状況が悪化する前に、まずは現在の返済負担を整理してみましょう。

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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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