自己破産すると家族の財産も処分される?配偶者名義の預金・車・自宅への影響を司法書士が解説

「自分が自己破産すると、配偶者の預金や車まで処分されるのだろうか」

「家族で住んでいる自宅が妻名義なら、そのまま残せるのだろうか」

このような不安から、返済が苦しくても相談を先延ばしにしていませんか?

結論からいうと、自己破産で調査・換価の対象になるのは、原則として自己破産をする本人名義の財産です。配偶者や親、子どもが自分の収入で取得した財産は、自己破産する人の家族だからという理由だけで当然に処分されるわけではありません。

ただし、自己破産で処分されないように名義だけを家族名義にして実際には本人のお金で購入した車などの財産、本人の預金を自己破産直前に移した家族名義の口座、夫婦の共有名義の自宅などは、詳しい確認が必要です。

大切なのは、申立て前に財産を隠したり、急いで名義を変えたりしないことです。名義が誰になっているかだけで判断をせず、誰のお金で取得し、誰が管理しているかを整理して質問を受けた際に説明できるようにしましょう。

この記事では、配偶者名義の預金、車、自宅、保険などが自己破産でどう扱われるかを分かりやすく解説します。

この記事で分かること

  • 自己破産で対象になる財産の基本
  • 配偶者や子ども名義の預金の考え方
  • 家族名義・共有名義の車や自宅への影響
  • 家族へ財産を移してはいけない理由
  • 相談前に準備したい資料

自己破産で対象になるのは原則として本人名義の財産です

自己破産は、裁判所が破産手続開始を決定し、本人の財産を調査したうえで、一定の財産を換価して債権者へ配当する手続です。※本人名義の借金の返済を免除する代わりに、本人名義の財産を処分し債権者の返済の一部に充てます。

裁判所も、通常は破産手続開始決定時点の「債務者の財産」を金銭に換えて配当すると案内しています。

そのため、配偶者が働いて得た給与を貯めた預金、親が購入して所有している車、子ども名義で管理されている子ども自身のお金などは、本人の財産として扱われるわけではありません。

一方で、通帳や車検証、不動産登記の名義だけを見て結論が出るとも限りません。取得するための資金を誰が負担したか、日常的に誰が管理しているか、名義変更の経緯などから、実際の所有者を確認される場合がありますので、依頼をする司法書士へ隠さずに相談をするようにしましょう。

家族名義の財産ごとに影響を確認しましょう

配偶者名義の預金

配偶者が自分の給与を自分名義の口座で貯金している場合は、原則として配偶者自身の財産と考えられます。

ただし、本人の給与を配偶者名義の口座へ継続的に貯めていた場合や、申立て直前に本人の口座からまとまった金額を移した場合は、本人の財産ではないか(隠していないか)を確認される可能性があります。

本人の給与から本人を含む家族の生活費として配偶者へ渡す家計管理と、財産を隠すための移動は同じではありません。金額、時期、使い道について裁判所より確認をされた際に通帳や家計表で説明できるようにすることが重要です。

なお、配偶者の通帳まで必ず提出するかは、裁判所の運用や家計の状況によって異なります。提出を求められた時は、見せたくないからと口座の存在を隠さず、依頼する司法書士へ事情を伝えてください。
※自己判断で通帳の存在を隠したり提出を拒んだ結果、裁判所より「財産を隠している(裁判所に対して虚偽の申告をしている)」と判断されると、自己破産自体を認めないという判決に繋がる可能性もありますのでご注意ください。

子ども名義の預金

祖父母から子どもへ贈られたお金や、子ども本人のお年玉などを貯めた預金は、子どもの財産と説明できる場合があります。

しかし、本人が自分のお金を子ども名義の口座へ入れ、実際には本人の貯蓄として管理していると、本人名義の預金として確認されることがあります。

通帳の入金元、口座開設の目的、キャッシュカードを誰が管理しているかなどを確認しましょう。

家族名義の車

配偶者が自分の収入で購入し、配偶者名義で使用している車は、通常は配偶者の財産です。

ただし、車検証の所有者が配偶者でも、購入代金を本人が負担していたり、ローン契約者が本人だったりする場合は、契約内容と実態を確認する必要があります。

本人名義の車についても、直ちにすべて処分されるとは限りません。車の価値、ローンの有無、所有権留保、裁判所の運用などによって扱いが変わります。

通勤や家族の通院に必要であっても、それだけで必ず残せるとは限らないため、自己判断で売却や名義変更をする前に相談してください。

配偶者名義・共有名義の自宅

配偶者が自分の資金で取得し、配偶者だけが所有する自宅は、本人の自己破産で当然に換価されるものではありません。

ただし、住宅ローンについて本人が連帯保証人や連帯債務者になっている場合、本人が住宅ローンを借りている場合、取得資金の大部分を本人が負担した場合などは、契約と所有関係を詳しく確認します。

自宅が夫婦の共有名義なら、本人の持分は本人の財産です。本人の持分だけが処分の検討対象になる可能性があり、今後も家族が住み続けられるかを含めた早めの検討が必要です。

住宅ローンが残っている場合は、抵当権の実行や返済継続の可否も別に考えます。自宅を残すことを最優先にするなら、住宅ローン特則を利用した個人再生と比較できる場合があります。

生命保険と学資保険

配偶者が契約者で、配偶者が保険料を支払っている保険は、通常は配偶者の財産です。

一方、契約者が本人であれば、被保険者や受取人が家族でも、解約返戻金は本人の財産として確認されることがあります。学資保険も、子どものための保険という名称だけでなく、契約者と保険料の負担者を確認します。

保険を残せるかは、解約返戻金額、ほかの財産、裁判所の運用などによって異なります。自己判断で解約して現金を移すことは避けましょう。

家族へ迷惑がかかる可能性がある4つのケース

家族が保証人・連帯保証人になっている

本人が免責を受けても、保証人や連帯保証人の支払義務までなくなるわけではありません。

家族が保証人になっている借金があれば、自己破産によって家族へ請求される可能性があります。債権者一覧から外して家族への請求を防ぐことはできません。

家族との共有財産がある

共有名義の不動産などは、本人の持分だけを切り離して考えます。しかし、持分の処分が共有者である家族の生活へ影響することがあります。

家族による買い取りが可能かなど、個別の検討が必要です。希望どおりになるとは限らないため、価格を決めて家族間で売買する前に専門家へ相談してください。

家計が同じで資料提出が必要になる

同居家族の財産が処分対象でなくても、家計の収支を確認するため、家族の給与明細や通帳などが必要になる場合があります。

これは、家族の財産を取り上げるためとは限りません。本人の収入と支出、生活費の分担、家族からの援助などを確認するためです。

家族名義のカードを本人が使っている

本人が自己破産後に新たな借入れをすることは避ける必要があります。家族名義のカードを本人が借りて使い、後で本人が返す形も、新たな債務や家計の不透明化につながります。

家族カードや後払い決済を含め、相談後の支払方法は依頼する専門家と確認しましょう。

申立て前に家族へ財産を移してはいけません

「処分されたくないから、車を妻名義に変えよう」

「預金を子どもの口座へ移しておこう」

このような行動はしないでください。

破産法は、債務者の財産を隠す行為や、財産譲渡を装う行為などを免責不許可事由(裁判所が自己破産を認めない)として定めています。事情によっては破産管財人が財産の返還を求めることもあり、手続が複雑になるおそれがあります。

e-Gov法令検索「破産法」

通常の生活費や学費を支払うことまで一律に禁止されるわけではありません。しかし、高額な送金、贈与、安価な売却、名義変更、保険解約などは、実行する前に相談するのが安全です。

すでに移してしまった場合も、隠さず、日付、金額、相手、理由、使い道を依頼する専門家へ伝えてください。

横濱つきあかり法務事務所

相談前に準備したい資料

家族の財産への影響を確認するには、次の資料が役立ちます。

  • 本人名義のすべての通帳・ネット銀行の履歴
  • 家族口座へ送金した履歴と使い道
  • 車検証、自動車ローン契約書、査定資料
  • 自宅の登記事項証明書、住宅ローン契約書、残高証明書
  • 生命保険・学資保険の証券と解約返戻金資料
  • 共有財産の持分が分かる資料
  • 家族が保証人になっている契約書
  • 同居家族を含む家計の収支

全てを揃えてからでなくても相談できます。まず、誰の名義か、誰がお金を出したか、ローンや保証があるかをご自身で整理をしてください。

よくある質問

配偶者の給料も債権者への返済に使われますか?

配偶者が自分で得た給与は、本人の財産として当然に換価されるものではありません。ただし、世帯の家計収支を確認するため、配偶者の収入資料が必要になる場合があります。

妻名義の車なら必ず残せますか?

名義だけでは断定できません。購入資金、ローン契約、使用状況、名義変更の時期などから実際の所有関係を確認します。

子どもの学資保険は解約されますか?

契約者が本人で解約返戻金がある場合は、本人の財産として確認される可能性があります。契約者、保険料の負担者、返戻金額を資料で確認してください。

家族に内緒で自己破産できますか?

制度上、家族へ一律に通知する仕組みではありません。ただし、同居家族の収入資料、家計資料、共有財産、保証関係などがあると、協力が必要になる場合があります。無理に隠す前に相談してください。

申立て前に配偶者へ預金を移した場合はどうすれば良いですか?

送金の理由や元のお金の所有者によって判断が異なります。取引履歴を消さず、日付、金額、経緯を専門家へ正確に伝えてください。

まとめ|家族名義だけで判断せず、取得資金と管理の実態を確認しましょう

自己破産で対象になるのは、原則として本人の財産です。家族が自分の収入で取得した預金や車などまで、家族だからというだけで当然に処分されるわけではありません。

一方、名義と実際の所有者が異なる財産、共有名義の自宅、本人が契約者の保険、家族が保証人になっている借金などは、個別の確認が必要です。

財産を守ろうとして申立て前に名義を変えると、かえって手続に大きな影響が出ることがあります。何かを売る、解約する、家族へ送金する前にご相談ください。

横濱つきあかり法務事務所では、借金問題の無料相談を受け付けています。

借入先、手取り収入、家族名義を含む主な財産、住宅や車のローン、保証人の有無を分かる範囲でお伝えください。自己破産で家族へどのような影響があり得るか、個人再生や任意整理と比較しながら整理します。

🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
借金問題(債務整理)・相続手続きなどを中心に対応しています。

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