自己破産すると生命保険は解約される?解約返戻金・契約者貸付・家族名義の注意点
「自己破産をすると、長年加入している生命保険も必ず解約されるのだろうか」
「持病があるため、今の医療保険には入り直せない」
このような心配から質問をいただくことがありますが、自己破産をしても、すべての保険が自動的に解約されるわけではありません。
重要なのは、保険契約の名義、解約返戻金の金額、契約者貸付の有無、裁判所の運用、他の財産との合計です。
返戻金が少ない掛け捨て型保険は維持できる可能性があります。一方、貯蓄性が高く解約返戻金が大きい保険は、破産手続で財産として扱われ、解約が必要になることがあります。
この記事でわかること
- 自己破産で生命保険が解約される可能性
- 解約返戻金の調べ方
- 契約者・被保険者・受取人の違い
- 契約者貸付がある場合の注意点
- 保険を残したい時に行うこと

保険契約より解約返戻金が問題になります
自己破産では、申立人が所有する財産を裁判所へ申告します。
生命保険や学資保険、養老保険などに解約返戻金があれば、現在解約した場合に受け取れる金額が財産として評価されます。
その際は、死亡時や満期時に将来受け取る予定の金額ではなく、保険会社から解約返戻金証明書や契約内容が分かる資料を取り寄せる必要があります。
関連記事:自己破産の必要書類
掛け捨て型の医療保険は残せる可能性があります
掛け捨て型の医療保険や定期保険は、解約返戻金がない、又はあったとしても少額であることがあります。
その場合、他の財産状況や裁判所の運用にもよりますが、契約を継続できる可能性があります。
ただし、「掛け捨て」と呼ばれていても返戻金が完全に0円とは限りません。必ず保険会社の証明書で確認しましょう。
また、保険料が家計に対して高過ぎる場合は、破産後の生活再建のために保障内容を見直すこともあります。
貯蓄性の高い保険は財産価値を確認します
終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などは、解約返戻金が積み上がっている場合があります。
返戻金が一定額以上になると、破産管財人が選任される手続や、財産の換価が問題になる可能性があります。
ただし、残せる財産の範囲や同時廃止・管財事件の振り分けは、裁判所の運用、現金・預金・自動車などほかの財産、契約の事情によって異なります。
インターネット上の「〇万円以下なら必ず残せる」という情報だけで判断しないでください。
複数契約は合計して確認する
生命保険、医療保険、学資保険、勤務先の積立保険などがある場合は、それぞれの解約返戻金を確認します。
一つずつは少額でも、合計した金額によっては財産評価へ影響することがあります。
契約者・被保険者・受取人の違い
保険証券には、契約者、被保険者、保険金受取人が記載されています。
- 契約者:契約し、解約や変更をする権利を持つ人
- 被保険者:保障の対象となる人
- 受取人:保険事故の際に保険金を受け取る人
自己破産で解約返戻金が本人の財産になるかを考える際は、原則として契約者が誰かが重要です。
自分が被保険者でも、契約者が配偶者で、保険料も配偶者の収入から支払っている場合、通常は本人の返戻金とは扱いが異なります。
ただし、名義だけ家族にして実際は本人が保険料を負担している場合などは、実質的な財産関係が問題になることがあります。
家族名義だから申告しなくてよいと自己判断せず、契約内容と支払履歴を専門家へ伝えましょう。
関連記事:自己破産と家族の財産
契約者貸付がある場合の確認
契約者貸付とは、解約返戻金の一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です。
貸付残高がある場合、一般的に解約返戻金から貸付金などを差し引いた実質的な金額を確認します。
解約返戻金が80万円、契約者貸付が50万円なら、証明書上の扱いを確認したうえで、差額部分が財産評価の中心になります。
なお、破産前に契約者貸付を利用して現金を引き出し、特定の債権者だけに返済したり、財産を隠したりする行為は避けてください。使途や時期の説明を求められる可能性があります。
保険料をカードで払っている場合
自己破産を予定しているカード会社のカードで保険料を支払っている場合、そのカードは利用停止になる可能性があります。
口座振替などへ変更しないと、保険料未払いで契約が失効するおそれがあります。
保険を残せるかの判断とは別に、支払方法を早めに確認しましょう。変更前には依頼する専門家へ相談し、手続開始時期と合わせて進めます。
自己判断で解約・名義変更をしない
自己破産前に保険を解約すると、受け取った返戻金は現金や預金という別の財産になります。
解約すれば財産として見られなくなるわけではありません。
家族へ契約者名義を変更したり、返戻金を家族口座へ移したりすると、財産隠しや不相当な財産処分を疑われる可能性があります。
生活費や手続費用に使用した場合も、領収書や通帳で使途を説明できるようにします。
保険を維持する方法が検討される場合
保険に財産価値があっても、必ず解約しか選択肢がないとは限りません。
裁判所や破産管財人の判断のもと、親族などが解約返戻金相当額を財団へ組み入れ、契約を維持する方法が検討される場合があります。自由財産の拡張が問題になることもあります。
認められるかは、保険の必要性、返戻金額、ほかの財産、健康状態、裁判所の運用などによります。
「持病があり再加入が難しい」、「子どもの保障として必要」といった事情と資料を早めに整理しましょう。
任意整理や個人再生との違い
任意整理は裁判所を利用せず、債権者と返済条件を交渉します。通常、生命保険の解約返戻金を処分する手続きではありません。
個人再生も直ちに保険を解約して換価する手続ではありません。しかし、返戻金は清算価値に含まれ、最低返済額へ影響する可能性があります。
自己破産では、一定以上の財産を換価して債権者へ配当することが基本となるため、保険への影響がより直接的です。
保険を守ることだけで決めず、借金総額、収入、住宅、車、退職金も合わせて比較しましょう。
関連記事:任意整理・個人再生・自己破産の判断表
相談前に準備する資料
- 保険証券や契約内容のお知らせ
- 解約返戻金証明書
- 契約者貸付の残高証明
- 保険料の支払口座が分かる通帳
- カード払いの場合は利用明細
- 家族名義保険の契約者と支払者が分かる資料
証券を紛失していても、保険会社名が分かれば照会できることがあります。会社の団体保険や共済も確認してください。
よくある質問
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Q1. 自己破産すると医療保険は必ず解約ですか?
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必ずではありません。解約返戻金がない、または少額の保険は維持できる可能性がありますが、ほかの財産や申し立てを行う裁判所の運用も確認が必要です。
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受取人が子どもでも本人の財産ですか?
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受取人だけでは決まりません。通常は契約者が持つ解約権と返戻金を確認し、保険料の実際の負担者も考慮します。
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学資保険も申告が必要ですか?
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本人が契約者で解約返戻金がある場合は、申告対象になるのが一般的です。子どものための保険でも契約者と財産価値を確認します。
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契約者貸付がある場合はどうなりますか?
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貸付残高は解約返戻金等から差し引かれるのが一般的です。証明書を取得し、実質的な返戻金額と取引履歴を確認します。
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Q5. 自己破産前に家族名義へ変えて良いですか?
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自己判断では行わないでください。時期や対価によって財産隠しを疑われる可能性があるため、必ず事前に専門家へ相談してください。
まとめ|解約返戻金を確認してから手続きを選びましょう
自己破産をしても、すべての生命保険や医療保険が自動的に解約されるわけではありません。
契約者、解約返戻金、契約者貸付、保険料の支払者、他の財産との合計を確認します。
横濱つきあかり法務事務所では、保険を維持したい事情も伺いながら、任意整理・個人再生・自己破産を比較します。解約や名義変更をする前に無料相談をご利用ください。
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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
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