相続登記後に遺言書が見つかったら?登記のやり直し・検認・必要書類を司法書士が解説
相続登記を済ませた後に遺言書が見つかった場合は、まず遺言書を勝手に開封・書き換えたり、不動産を急いで売却したりせず、遺言の種類と内容を確認してください。
遺言書の内容が現在の登記と異なるときは、登記を直す手続きが必要になる可能性があります。
ただし、必要な登記が「更正」、「抹消後の再登記」などのどれに当たるかは、最初の登記原因、遺言の文言、現在の名義、売却など第三者との取引の有無によって変わります。
この記事では、相続登記後に遺言書が見つかったときの確認順序と、司法書士へ相談する目安を分かりやすく説明します。
この記事でわかること
- 相続登記後に遺言書が見つかったときの最初の対応
- 自筆証書遺言で検認が必要になる場合
- 登記をそのままにできる場合と直す可能性がある場合
- 司法書士へ持参するとよい書類
- 相続人間で意見が合わないときの相談先

相続登記後でも遺言書の確認が優先です
遺産分割協議や法定相続分に基づく相続登記が終わっていても、後から遺言書が見つかることがあります。
遺言書には、不動産を特定の相続人へ相続させる内容や、相続人以外の人へ遺贈する内容が記載されていることがあります。
現在の登記と遺言の内容が一致していれば、直ちに登記を変える必要がない場合もあります。
一方、登記名義人や持分が異なる場合は、遺言の有効性と登記の修正方法を確認しなければなりません。
「登記が先に終わったから遺言は無視できる」と決めつけるのは避けましょう。
関連記事:遺言書が見つからないときの公証役場・法務局での探し方
最初に遺言書の種類と検認の要否を確認します
自宅などで見つかった自筆証書遺言
自宅の金庫や書類棚などから封印された遺言書が見つかったときは、自分で開封しないでください。
原則として、遺言書の保管者または発見した相続人が、遅滞なく家庭裁判所へ検認を申し立てます。
検認は、遺言書の状態や内容を明確にして偽造・変造を防ぐ手続きです。遺言が有効か無効かを最終判断する手続きではありません。
公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言
公正証書遺言には、家庭裁判所の検認は必要ありません。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合も、交付された遺言書情報証明書について検認は不要です。
遺言書の外見だけでは判断しにくいときは、封筒や書類一式をそのまま専門家へ見せると安全です。
関連記事:相続登記の必要書類を遺言・遺産分割別に解説
登記のやり直しが必要かを判断するポイント
現在の登記と遺言内容が同じか
まず、登記事項証明書と遺言書を並べて確認します。
不動産を取得する人、持分、対象となる土地・建物が一致しているかを見ます。
表記が少し違うだけで実質的には同じ場合もあれば、取得者そのものが異なる場合もあります。
最初の登記がどの資料に基づいているか
法定相続分で登記したのか、遺産分割協議書を使ったのかによって、検討する手続きが変わります。
法定相続分による登記後に「特定の相続人に相続させる」とする遺言が見つかった場合は、遺言に沿った名義へ直すことを検討します。
遺産分割協議による登記後の場合は、遺言の内容、協議が行われた経緯、関係者の合意などを丁寧に確認する必要があります。
売却や抵当権設定がされていないか
すでに不動産を売却している、金融機関の抵当権が設定されているなど、第三者の権利が関係すると、単純な登記申請だけでは解決できないことがあります。
登記の修正に協力しない人がいる場合も、司法書士が登記申請だけで対立を解決することはできません。
争いがあるときは、弁護士への相談や裁判手続きが必要になる可能性があります。
関連記事:遺産分割協議書に記載ミスがあった場合の対応
登記を直すときに必要となる主な書類
個別の事情で追加書類が必要になりますが、相談時には次の資料があると確認が進みやすくなります。
- 後から見つかった遺言書または遺言書情報証明書
- 検認が必要な遺言書の場合は検認済証明書
- 現在の登記事項証明書
- 以前の相続登記で使った申請書や添付書類の控え
- 遺産分割協議書と印鑑証明書
- 被相続人の死亡が分かる戸籍・除籍謄本
- 不動産を取得する人の住民票
- 固定資産評価証明書または課税明細書
法務局に保管された遺言書を使う場合は、遺言書情報証明書を取得します。
古い相続登記の書類が手元にない場合でも、登記事項証明書や保管中の資料から確認できることがあります。分からないまま同じ戸籍を何度も取り直す前に相談すると、必要書類を整理しやすくなります。
関連記事:相続不動産を名寄帳・登記簿で調べる方法
遺言執行者が指定されている場合
遺言書に遺言執行者が指定されているときは、まずその人へ連絡します。
遺言執行者には、遺言内容を実現するために財産目録の作成や必要な手続きを行う役割があります。
指定された人が亡くなっている、辞退した、病気などで動けない場合は、利害関係人が家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てられる場合があります。
ただし、遺言の内容によっては、遺言執行者がいなくても相続登記を進められるケースがあります。選任が必須かどうかも含めて確認しましょう。
関連記事:遺言執行者がいない・動けないときの選任申立て
相続人全員が同意していれば解決できるとは限りません
相続人全員が遺産分割の内容に納得しているケースでも、遺言に相続人以外の受遺者がいる場合や、すでに第三者へ処分している場合は、その人の権利を無視できません。
また、遺言の有効性、遺留分、署名の真偽などについて争いがあるときは、登記だけを先に進めるのは危険です。
司法書士は、登記記録と資料を確認し、必要な登記申請書類を作成して法務局への申請を代理できます。
一方、相続人間の交渉や訴訟代理は司法書士の一般的な相続登記業務の範囲を超えることがあります。争いがある場合は弁護士と連携して進めることも大切です。
放置すると売却や次の相続が複雑になることがあります
現在の登記と遺言内容が異なるままでは、売却や担保設定の場面で手続きが止まることがあります。
さらに名義人が亡くなると、次の相続人まで関係者が広がり、必要な合意や書類が増える可能性があります。
遺言書を見つけた段階で、登記簿、遺言書、以前の協議書をそろえて確認することが重要です。
よくある質問
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相続登記が終わっていれば、後から見つかった遺言書は無効ですか?
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いいえ。登記が終わったという理由だけで、遺言書が当然に無効になるわけではありません。遺言の方式・内容と現在の登記を確認し、修正が必要か判断します。
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封がされた自筆証書遺言を家族で開けてもよいですか?
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勝手に開封せず、家庭裁判所へ検認を申し立ててください。公正証書遺言や法務局保管制度による遺言書情報証明書は、検認不要です。
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検認を受ければ遺言が有効だと確定しますか?
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検認は遺言書の状態と内容を確認する手続きであり、有効・無効を最終判断する手続きではありません。方式や本人の意思能力などに争いがあれば、別途検討が必要です。
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相続人の一人が登記の修正に反対しています。司法書士だけで進められますか?
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共同申請への協力が得られないなど紛争性がある場合、登記申請だけでは解決できないことがあります。弁護士への相談や裁判手続きが必要になる可能性があります。
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古い相続登記の書類が手元にありません。相談できますか?
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はい。現在の登記事項証明書、見つかった遺言書、手元の戸籍や協議書などをお持ちください。不足書類と取得方法を整理します。
まとめ|遺言書と現在の登記を早めに照合しましょう
相続登記後に遺言書が見つかったときは、登記が済んでいることだけを理由に遺言を無視してはいけません。
まず遺言の種類と検認の要否を確認し、現在の登記事項証明書、以前の遺産分割協議書、遺言書の内容を照合します。
登記の修正方法は、最初の登記原因や第三者の権利関係によって変わります。
売却や次の相続が発生する前に、司法書士へ資料を見せて整理することをおすすめします。
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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
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