相続したマンションの管理費が滞納されていたら?相続人の負担・相続放棄・売却前の対応を司法書士が解説
親が亡くなった後、マンションの管理組合や管理会社から、管理費・修繕積立金の督促が届くことがあります。
結論からいうと、亡くなった方に滞納があった場合でも、マンションを使っていないという理由だけで請求を放置することはできません。
相続するのか、相続放棄を検討するのか、売却するのかによって、取るべき対応が変わります。まずは滞納額と相続人、不動産の名義を確認し、期限のある相続放棄や相続登記も含めて整理することが大切です。
この記事でわかること
- 相続したマンションの管理費・修繕積立金を誰が負担するのか
- 死亡前の滞納分と死亡後に発生する管理費の考え方
- 相続放棄を検討するときの注意点
- 遺産分割・相続登記・売却を進める順序
- 司法書士・弁護士・税理士へ相談する場面

相続したマンションの管理費は放置できない
マンションの管理費は、共用部分の清掃、設備点検、管理員業務などに使われます。
修繕積立金は、外壁や屋上防水、エレベーターなどの将来の大規模修繕に備えるための費用です。
国土交通省のマンション標準管理規約でも、区分所有者が管理費・修繕積立金を納入し、未払いがあるときは管理組合が督促や法的措置を行うことが想定されています。
相続が発生しても、マンションの維持管理は続きます。相続人同士で話がまとまっていない間も、毎月の請求が増えていく可能性があります。
死亡前の滞納分と死亡後の管理費を分けて確認する
亡くなる前に滞納していた管理費
亡くなった方が生前に支払っていなかった管理費等は、相続財産だけでなく、相続上の債務としても確認が必要です。
相続は、預金や不動産などのプラスの財産だけを引き継ぐ制度ではありません。借金や未払金などのマイナスの財産も対象になります。
管理会社から届いた請求書では、次の項目を確認してください。
- 管理費と修繕積立金の内訳
- 滞納が始まった時期
- 遅延損害金や督促費用の有無
- 駐車場、駐輪場、専用庭などの使用料
- 訴訟や支払督促が始まっていないか
請求内容に争いがある場合や、すでに裁判手続へ進んでいる場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。
死亡後も管理費は発生する
マンションを誰も使用していなくても、区分所有権が残っている限り、一般的には管理費等の負担がなくなるわけではありません。
「遺産分割が終わるまで払わなくてよい」と考えて放置すると、滞納額が増え、管理組合との関係も悪化するおそれがあります。
相続人のうち一人が立て替える場合は、支払日、金額、支払先が分かる資料を残してください。後の遺産分割で精算方法を話し合う際に役立ちます。
誰がマンションを相続するかを早めに決める
遺言書がある場合
まず、公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局の遺言書保管制度の利用がないかを確認します。
遺言書でマンションの取得者が指定されている場合でも、遺言の内容、相続人、登記の方法を確認してから進めます。自宅で見つかった自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が必要になる場合があります。
遺言書がない場合
相続人全員で遺産分割協議を行い、マンションを取得する人を決めます。
管理費等の滞納があるときは、協議書に「マンションを誰が取得するか」だけでなく、滞納分や立替分をどのように精算するかも明確にしておくと、後の行き違いを減らせます。
ただし、相続人間で合意した負担方法が、そのまま管理組合に対して当然に通用するとは限りません。請求先や支払方法は、管理組合側にも確認しましょう。
関連記事:遺産分割協議書を依頼する専門家の選び方
相続登記をしてから売却・活用を進める
売却前にも相続登記が必要
亡くなった方の名義のままでは、相続人が買主へ直接所有権を移すことはできません。
通常は、相続人への相続登記を行い、その後に売買による所有権移転登記を行います。
相続登記は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請することが原則です。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
売却代金で滞納管理費を清算する予定であっても、売却までの期間に管理費は増える可能性があります。仲介会社へ依頼する前に、登記名義と滞納額を整理しておきましょう。
関連記事:相続不動産を売却する前の相続登記の流れ
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相続放棄を考えるときは管理費を支払う前に確認する
マンションの価格より、住宅ローン、管理費等の滞納、固定資産税、修繕負担などが大きい場合は、相続放棄を検討することがあります。
相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述します。
ただし、管理費を支払っただけで直ちに相続を承認したことになるとは限りません。支払ったお金の出所、支払いの目的、ほかの遺産の処分状況などによって判断が変わります。
相続放棄の可能性があるときは、預金を解約したり、マンションを売却したり、大規模な処分をしたりする前に専門家へ確認してください。
また、相続放棄をすれば最初から相続人ではなかったものとして扱われますが、次順位の親族が新たに相続人となる場合があります。家族全体の順番を確認することが重要です。
管理会社から督促が届いたときの進め方
1.書類を捨てずに保管する
請求書、督促状、管理規約、総会資料、通帳、固定資産税の納税通知書をまとめます。
封筒も受取日が分かる資料になるため、保管してください。
2.相続人と不動産を調査する
戸籍を集めて相続人を確定し、登記事項証明書、名寄帳、固定資産税資料などで不動産を確認します。
マンションの専有部分だけでなく、敷地権、駐車場、物置などの権利がないかも調べます。
関連記事:名寄帳と登記簿で相続不動産を調べる方法
3.管理組合へ現在額を確認する
元金だけでなく、遅延損害金、督促費用、弁護士費用等が加算されていないか確認します。
相続人が確定していない段階では、戸籍や本人確認資料の提示を求められることがあります。
4.相続方針を決める
マンションの市場価格、ローン残高、滞納管理費、固定資産税、今後の修繕負担を比べます。
取得して利用する、賃貸する、売却する、相続放棄を検討するなど、期限内に方針を整理します。税金の試算が必要な場合は税理士、不動産価格の確認は不動産会社へ相談します。
司法書士へ相談するメリット
司法書士は、戸籍収集、相続関係の確認、遺産分割協議書の作成支援、不動産の相続登記を一連の流れで進められます。
マンションの名義を早く整理することで、管理組合への届出、売却、賃貸、金融機関との調整も進めやすくなります。
一方、管理費の請求額を争う、相続人間で取得者や負担割合がまとまらない、訴訟対応が必要といった紛争性のある案件では、弁護士への相談が適切です。
横濱つきあかり法務事務所では、まず資料を確認し、司法書士・行政書士として対応できる手続と、ほかの専門家との連携が必要な部分を整理しご紹介をしております。
よくある質問
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誰も住んでいないマンションでも管理費はかかりますか?
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一般的には、使用していないことだけを理由に管理費や修繕積立金が免除されるわけではありません。管理規約と請求内容を確認してください。
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相続人の一人が管理費を立て替えてもよいですか?
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必要な支払いとして立て替える場合は、領収書や振込記録を残し、遺産分割時の精算方法を相続人間で確認しましょう。相続放棄を検討している場合は、立て替える前に専門家へ相談してください。
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管理費の滞納があっても相続登記できますか?
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管理費の滞納と相続登記は別の問題です。滞納があるだけで相続登記ができなくなるとは限りませんが、売却や引渡しまでに清算方法を決める必要があります。
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マンションを相続放棄すれば管理費も払わなくて良いですか?
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相続放棄が受理されれば、原則として最初から相続人ではなかったものとして扱われます。ただし、支払い済みの費用、財産管理、次順位相続人などの問題が残ることがあるため、個別確認が必要です。
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管理会社から訴状や支払督促が届いた場合も司法書士へ相談できますか?
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書類の内容と請求額によって対応範囲が異なります。受取日から期限が進むため、放置せず書類一式を持って早めに相談してください。弁護士対応が必要な場合は、その点も整理します。
まとめ
相続したマンションに管理費・修繕積立金の滞納がある場合は、請求を放置せず、死亡前と死亡後の金額を分けて確認しましょう。
そのうえで、相続人と不動産を調査し、誰が取得するか、売却するか、相続放棄を検討するかを整理します。
相続登記だけでなく、管理費、固定資産税、売却までの維持費を含めて考えることが、負担を増やさないためのポイントです。
ひとりで抱えず、まずはお話をお聞かせください
何から始めれば良いか分からなくても大丈夫です。
横濱つきあかり法務事務所が、お話を丁寧に伺いながら状況を整理し、ご状況にあった解決方法を一緒に考えます。
「相談するほどのことか分からない」という段階でも構いません。
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🖋この記事の監修者
司法書士・行政書士 小林信之介
横濱つきあかり法務事務所
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